君津地方四市の力石を各市ごとに紹介する。『千葉の力石』をはじめ、『富津市史』『君津市史』、そして、『神社探訪 狛犬見聞録・注連縄の豆知識』などの書籍やサイトを参考に、これまで多くの力石を撮影してきたが、そのほとんどが神社に残されていた。また、現在は青年館や自治会館になっているが、敷地内に小さな祠があったり石像物があるなど、かつては神社や山王堂のような施設があった場所に力石が残されている場合も多かった。寺院に残されている場合でも、境内に集会場があったり境内に隣接して神社がある場合があった。おそらく、村社のような神社の境内に若者が集まり力くらべを行い、勝利した若者の名前や石の重さを彫り込み、その神社に奉納したり、あるいは力石競技が行われなくなり境内にそのまま置かれるようになったのだろうと推測される。中には、植え込みの土留めや築山に再利用されている力石もあった。 力石の分布をみると、小櫃川、小糸川、湊川流域に多かった。この三河川は、かつて川船運航がさかんだった川である。この川船運航に携わった人々が、力石競技を行い、結果として三河川の流域に多くの力石が残されたと推測することは容易であろう。3個の力石が保存されている君津市六手の八幡神社の近くを流れる小糸川の川岸には、河岸が設置されていたそうである。 すべてが川船運航と関係があったわけではなく、港の近くや純農村地帯にも力石は残されていた。港湾関係者や漁師、そして農業に従事する人々の間でも、仕事が終わった後や祭りの余興の一環として、さかんに力石競技が行われていたことが想像される。 「富津市の力石」の最後に紹介している、小久保上岩入や志駒観音堂の力石は、『千葉の力石』や『千葉県南房総地方の力石の調査・研究』には出ていなかった力石であった。木更津市牛袋八幡神社や、君津市上湯江自治会館にある石も、力石の可能性がある。他にも、まだ公になっていない力石がありそうだ。新たな力石の情報があったら、ぜひお知らせ下さい。 |
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