白鳥神社・彫刻

1.君津市域にある寺社彫刻の特徴

 江戸時代の彫師、武志伊八郎信由(波の伊八:1751〜1824)の彫刻に感動し、作品の鑑賞・撮影に奔走しました。一段落ついたことを契機に、君津市域の神社・仏閣の石造物や仏像をテーマに活動を始めました。散策を重ねるうちに、武志家(現・鴨川市打墨出身)とは異なる後藤家(現館山市北条出身)の彫刻が、数多く存在することを発見しました。確認した作品の彫師は、後藤橘忠明と後藤義光です。


2.後藤家の系譜と後藤橘忠明の関係

 師匠は後藤流八代後藤三次郎常俊といい、初代は後藤利兵衛橘義光で(1815〜1902)に活躍した人です。師匠は「武志伊八郎信由」とほぼ同世代の人で、初代義光は晩年の伊八との面識はあったのではないかと推察されます。二代目は、後藤門治良光利。三代目が後藤義光です。多分、花厳院にある向拝彫刻は三代目の作品でしょう。
 後藤庄三郎橘忠明は、初代義光の門人四天王(兵三・義信・義久・忠明)の中の一人です。


3.後藤系彫刻作品の紹介

  花厳院(三代目 後藤義光  大正5年1月22日作)
  久原寺(口伝より作者は「千倉の人」。昭和48年頃の作)
       *三代目の弟、後藤義孝か門下の後藤義徳。制作年代か
        ら推察すると後藤義徳の可能性が高い)

  宝蔵寺
      (後藤橘忠明 明治32年10月作  55歳)
  長泉寺
      
(後藤橘忠明 大正11年10月作  78歳)
  三石山観音寺
      (後藤橘忠明 昭和 4年 4月作  85歳)
  妙浄寺
      (後藤橘忠明 昭和 8年11月作  89歳)


 現在までに把握した作品は以上です。これからも確認、探索作業を続けます。それにしても、武志家初代 伊八郎信由(73歳没)・後藤家初代 利兵衛橘義光(87歳没)・門下 庄三郎橘忠明(89歳存命)と、この時代の彫師は長寿者が多いようです。 

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