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市町村合併:12月の住民投票の結果

2005/01/06

【東北】
◆浪岡町長の解職成立/リコール
 青森市との合併を選択したことに端を発した浪岡町の加藤新吉町長の解職の是非を問う住民投票が12月26日行われ、即日開票の結果、解職賛成7037票、反対4043票と解職賛成が反対を2994票上回り、加藤町長の解職が成立、同町長は失職した。解職成立により、浪岡町では50日以内に出直し町長選を行う。投票率は66.24%であった。
 浪岡町では青森市との合併に反対する町民有志が2004年2月、「住民投票を求める会」を設立。同会の本請求した合併の是非を問う住民投票条例制定案が、町議会5月臨時会で否決されたため、同会は10月30日、町長解職を本請求し、住民投票は12月6日告示された。
 しかし、青森市と浪岡町は10月13日に合併協定に調印し、青森県議会は12月16日に両市町の合併関連議案を可決した。これにより、仮に出直し町長選で合併反対派町長が誕生しても、法的に合併が覆ることはなく、両市町は2005年4月1日に合併する。
 県では「大差での解職成立という事態は重く受け止めるが、投票結果が合併への賛否とイコールとは限らない」と、大量の解職賛成票を必ずしも合併反対の民意と同一視はできないとの認識を示している。


【関東】
◆相模原市、45%が津久井地域との合併に賛成
 神奈川・相模原市が12月15日発表した相模原市と津久井地域の合併に関する市民アンケートの結果(最終結果)によると、消極的な推進も含めて合併に賛成する意見が約46%となった。アンケート調査は市民1万人を対象にして11月8日から17日まで郵送で行われ、有効回収率は35.8%。
 合併の是非では、「合併するべきである」15.3%、「合併することもやむをえない」30.5%で、「合併するべきでない」12.3%、「できれば合併するべきでない」18.8%と、合併反対は3割強にとどまった。「どちらともいえない」は17.3%だった。
 小川勇夫市長は津久井地域との合併を巡り、住民投票を実施しない考えで、このアンケート調査結果をもとに津久井郡4町(津久井、城山、相模湖、藤野)との合併を推進する。
 しかし、11月の町長選で合併推進の天野町長が6選を果たした津久井町以外は波乱含み。城山町は6月の町長選で合併に慎重な小林町長が合併推進の現職を破って当選。10月のアンケート調査では相模原市との合併に賛成が多い結果となったが、町では合併か自立かの模索を続けている。議会は合併推進派が多数を占め、12月には住民投票条例が成立した。相模湖町は11月の住民投票で合併反対が賛成を上回ったが、溝口町長は合併協議の継続を決定。藤野町は6月の合併推進の住民投票の結果を受けて相模原市と協議に入ったが、議会は反対派が大多数という。また、相模原市も1月23日に市長選挙が行われ、合併問題も争点になりそう。


【甲信越】
◆真田町長リコール不成立 反対52% 合併協議推進へ
 長野・真田町の箱山好猷(よしのり)町長に対するリコールで12月5日、解職の賛否を問う住民投票が行われ、開票の結果、解職に「反対」が3713票(有効票の52.19%)で、「賛成」の3401票(同47.81%)を上回り、町長解職は成立しなかった。投票率は77.98%。
 合併を推進してきた箱山町長の続投が決まったことで、上田市域(上田市・真田町・丸子町・武石村)の法定合併協議会は合併特例法期限をにらみ、2004年度内の県への合併申請を目指す。ただ、各市町村は住民の意向をあらためて確認する方針で、真田町も合併の賛否を問う住民投票を2005年1月末に予定しており、合併が実現するかどうかはなお流動的だ。
 上田市域四市町村の合併について、真田町の2回の住民意向調査で賛否が拮抗する中、箱山町長は合併の賛否を問う住民投票条例の制定を求めた町民の請求に反対を表明、これまで投票を行わないまま合併協議を進めてきた。リコールは、これに反発した「真田町の民主主義を守る会」が10月、町内有権者の39%の署名を添えて行ったもの。

◆増穂町、「鰍沢との合併」に反対が52%
 山梨・増穂町で12月5日、鰍沢町との合併の賛否を問う住民投票が実施され、即日開票の結果、「反対」が4307票(52.3%)で、「賛成」の3922票(47.7%)を385票上回った。投票は永住外国人を含む18歳以上の町民を対象に実施、投票率は75.88%だった。
 合併に関する「民意確認」は、峡南地域北部4町の枠組みから離脱後、2003年6月の町長選、2004年3月の住民意向調査に続いて3回目。町長選では「南アルプス市との合併」を公約に掲げた河西町長が当選。意向調査では同市との合併を望む人が44.8%で最多となり、「鰍沢町」が37.3%、「単独存続」が17.9%だった。
 今回の住民投票では「非鰍沢派」が多数を占めたが、反面、「鰍沢派」も3月の意向調査と比べると得票率を約10ポイント伸ばした。
 南アルプス市は増穂町からの任意協設置要請に対して、5月に「増穂町内がまとまっていない」などとして設置の凍結を伝えている。河西町長は「ひとまずの方向付けができた。すぐに南アルプス市ということはないが、長いスパンで考えて、まずは足元を固めていきたい」と述べ、2005年4月以降の南アルプス市との合併を視野に、当面は単独で進む方針を示した。
 一方、増穂住民から合併を断られた格好となった鰍沢町も、南側は合併で新身延町が誕生、西八代郡3町も法定協での協議が進んでいて、当面は単独で進む公算が大きくなった。

◆都留・道志2市村の合併は白紙
 任意合併協議会で法定協議会設置を確認していた山梨・都留市と道志村は12月6日、市議会、村議会にそれぞれ法定協設置案を提出、都留市議会が賛成多数で可決した一方、道志村議会は反対多数で否決した。議会後、道志村の佐藤卓司村長は「厳しい財政状況だが(都留市との)合併は断念するしかない」と述べ、両市村の合併協議は白紙に戻されることになった。道志村は当面、単独存続する方針。
 道志村では10月8日から15日にかけて都留市との合併に関する住民意向調査を実施。回答のあった1559人(回収率88.28%)のうち54.4%が合併反対、賛成は45.0%であった。
 道志村は2003年6月に、横浜市との“越境合併”を目指して同市に要請をしたが9月に断られ、また都留のほか西桂、秋山を含めた4市町村の枠組みでの合併協議を進めたが、2004年1月に西桂町が離脱したことを契機に枠組みは白紙となった。その後、都留市に協議を申し入れ任意協を設置し、法定協への移行を目指していた。
(編集部注:10月の住民投票結果の記事に掲載漏れでしたので、ここに収録しました)

◆飯田市、住民調査で合併賛成多数 3市村で法定協提案へ
 長野・飯田市の牧野光朗市長は12月9日の市議会合併特別委員会で、下伊那郡上村、南信濃村との合併の是非を問う住民意向調査で、合併賛成が反対を上回ったことを明らかにした。市長は「南信州の将来を見据え合併協議を進めたい」と述べ、特別委も法定協設置の方針を了承した。
 意向調査は、市政懇談会(住民説明会)参加者と、抽出した有権者を対象に郵送する二つの方式で実施。市政懇では参加者の88%に当たる1541人から回答を得た。「賛成」「どちらかといえば賛成」が計55.8%となり、「反対」「どちらかといえば反対」の計36.5%を上回った。郵送方式は有権者2000人を抽出して11月25日に郵送。12月6日までに859人から回答があった(回答率43%)。その内訳は賛成が44.6%、反対が43.3%で、わずかに賛成が上回った。
 牧野市長は委員会で「市の経済的自立度が上がってから合併する、というのが最も望ましいシナリオ」としながらも、合併しない場合に予想される2村の厳しい状況について「南信州広域連合長として看過できない」と強調。「ぎりぎりの判断」として合併協議を継続する立場を示した。
 3市村の合併協議は、2004年7月に当初の4市村による枠組みから喬木村が住民投票の結果を受けて離脱、しかし、上、南信濃両村が飯田市に協議継続を求めていた。

◆黒川村、中条町との合併に賛成
 新潟・黒川村は、中条町との合併に関する村民アンケートの集計結果を、12月16日までにまとめた。「合併協議を進める」と答えた人は72.3%で、「考えなおす」13.8%、「どちらとも言えない」13.9%を大幅に上回った。
 アンケートは老人ホームなどを除く全1590世帯に1枚ずつ配布。12月8、9の両日に村内25会場で行った集落懇談会で回収した。回収数は918枚だった(回収率57・7%)。
 中条町は2002年10月、新発田市、加治川村、紫雲寺町の4市町村研究会から離脱、2003年12月に黒川村と任意協設置、2004年9月には法定協を設置、2005年9月に新市「胎内市」を設立することになっている。

◆与板町、長岡市への編入合併賛成が82%
 長岡市と合併するか単独でいるかを問う新潟・与板町の住民投票は12月26日に投開票が行われ、長岡市との合併賛成が3298票、82.06%を占め、単独賛成の721票、17.94%を大幅に上回った。山崎忠弥町長は同日夜、「町民は合併による住民サービスの維持を望んでおり、そのため、長岡市との合併協議を進めたい」との意向を示した。
 与板町は三島郡の与板・和島・出雲崎3町村合併による「良寛町」設立を目指していたが10月末に協議が破たん。出雲崎町は自立、和島村は11月の住民意向調査の結果長岡市への編入合併方針を決定、与板町も住民投票で将来について町民の意思を確認することになった。

◆野沢温泉村、飯山市との合併に反対が54%
 長野・野沢温泉村で12月26日、隣接する飯山市との合併の賛否を問う住民投票が行われ、開票の結果、合併に「反対」が1735票(54.5%)で、「賛成」の1446票(45.5%)を289票上回った。有権者数は3702人、投票率は86.93%。「一票でも多い方に従う」としていた高橋善造村長は、合併を断念する意向を表明。27日の村議会で高橋村長は辞意を表明、また、両市村で構成する法定合併協議会の解散も了承された。
 村では5月に住民アンケート調査を行い、その時も合併反対が56.4%を占めたが、高橋村長は「具体的な新市像を研究する」とし、7月に飯山市と法定合併協議会を設置。12月中旬から住民懇談会で、合併協議の結果を説明してきた。


【北陸】
◆松岡町、永平寺町・上志比村との合併に6割支持
 福井・松岡町は12月、永平寺町、上志比村との合併についての町民意向調査を行った。意向調査は、松本町長が町長選後、町民の意向を知った上で合併に臨みたいと実施。20歳以上の町民8348人を対象にし、現在任意で協議が進められている3町村合併を(1)進める(2)進めない(3)その他−の3つから選んだ。9日から郵送を開始、18日までに5972人(71.5%)から回答があり、20日、町議会市町村合併特別委員会で松本町長が結果を報告した。
 それによると、合併を「進める」が59.9%(3577人)、「進めない」が23.7%(1415人)、「その他」が14.8%(883人)、無回答が1.6%(97人)だった。「その他」のなかでは、「福井市との合併」が578人で一番多く、次いで「合併に反対」が28人。このほか丸岡町との合併を希望する声などもあった。期限内の3町村合併を望む声が約6割を占めたことを踏まえ、松本町長は町長就任以来初めて郡内合併を目指すと明言、町会は了承した。
 この後、松本町長をはじめ議長、合併特別委員長が永平寺町、上志比村を訪れ結果を報告。合併協議会会長の伊藤永平寺町長と副会長の鈴木上志比村長は合併の枠組みが堅持されたことを歓迎した。


【近畿】
◆岩滝町、合併賛成の6割「3町で」
 京都府岩滝町が11月下旬に実施した宮津与謝1市4町の合併問題に関する町民アンケート結果で、合併に賛成する人が半数を超え、そのうち6割近くが岩滝、野田川、加悦の3町での枠組みを望んでいることが分かった。
 アンケートは、町内の20歳以上の男女から約3分の1の1800人を無作為に抽出し、郵送方式で実施。11月19日から30日までで、全体の64.2%にあたる1156人から回答を得た。
 調査によると、合併の賛否に関する質問では、「大いに賛成」「どちらかというと賛成」が56.5%と半数以上を占め、「できれば反対」「絶対反対」が31.8%となった。
 また、賛成と答えた人を対象にした「どの枠組みが1番望ましいか」という質問には、加悦、野田川両町を含めた「3町」が57.3%とトップ。次いで「1市4町」が13%、宮津市と伊根町を含めた「1市2町」は12.6%だった。
 今年7月末に1市4町の法定合併協議会が休止されており、糸井弘志町長は「この結果を踏まえて、できるだけ早く枠組みを決めたい」と話している。


【九州】
◆菱刈町、大口市との合併に反対多数
 鹿児島・大口市と合併することの可否を問う菱刈町の住民投票が19日行われ、即日開
票の結果、合併に賛成が2697票、反対が3015票と、318票差で反対が上回った。
 神園勝喜町長は「町民の最終的な意思なので厳粛に受け止めたい」と述べ、22日に開かれる伊佐地区合併協議会(大口、菱刈)で離脱表明する意向を示した。その上で「町民は大口市を含む広域合併を希望しているので(2005年3月に吉松、栗野で発足する)湧水町と時間をかけて話をしたい」と述べた。この結果、同協議会が2006年3月31日を目標にしていた「伊佐市」発足は白紙となり、大口市も当面単独の道を歩むこととなった。
 投票は20歳以上の町民が対象。大口市との合併に賛成か、反対か、いずれかの欄に○をつける方式。当日の投票資格者数は8125人。投票総数は5806票(有効5712票、無効94票)で投票率は71.46%だった。
 両市町合併をめぐっては町議会の合併対策調査特別委員会が11月、「同意できない」とする方針を確認。議会意思を示した上で直接請求された住民投票条例案を可決した。神園町長も9日の町議会で議会に同調する姿勢を示していた。条例では成立要件に投票率60%を規定。成立した場合、町民、町長は結果を尊重する、となっていた。