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市町村合併:11月の住民投票結果 吸収合併への拒否反応強まる

2005/01/06


【北海道】
◆浜益村で住民投票 石狩市、厚田村との合併「賛成」が圧倒的
 北海道・石狩市と厚田村との合併の是非を問う浜益村の住民投票は11月7日に投開票を行い、「合併する」が1158票で「合併しない」の384票を大きく上回った。開票終了後、木村康美村長は会見で「村民は賢明な判断をしてくれたと思う」と述べ、合併推進の考えをあらためて表明した。投票有資格者は1879人。投票数は1552票、無効票は10で、投票率は82.6%だった。

【東北】
◆盛岡・矢巾・玉山3市町村合併から矢巾町離脱
 岩手・矢巾町と玉山村は11月1日、盛岡、矢巾、玉山の3市町村合併の是非を問う住民アンケートの結果をそれぞれ公表した。矢巾町は合併反対が6割を超え、玉山村は賛成が反対をわずかに上回った。
 矢巾町のアンケートは町内全世帯8442世帯が対象で4326世帯(回収率51.24%)が回答。合併「反対」の62.3%に対し、「賛成」は24.83%にとどまった。「時期尚早」12.11%、無効0.76%だった。川村町長によると、反対の理由に、町への満足度の高さを挙げる記載が多かったという。
 玉山村のアンケートは村内全世帯4137世帯が対象で3064世帯(回収率74.1%)が回答。合併「賛成」は37.8%、「反対」が36.6%と拮抗。「判断できない」が25.6%だった。
 結果を受けて工藤久徳玉山村長は「法定合併協議会に参加し、合併に向けて努力したい」との方針をあらためて表明した。一方、矢巾町の川村光朗町長は8日、町議会市町村合併等調査特別委員会で「町民の意思を尊重し、議会の賛同が得られるなら自立の道を進むべきと考える」と述べ、盛岡市、玉山村との法定合併協議会へ事実上参加しない意向を表明した。谷藤裕明盛岡市長は同日午後の市議会議員全員協議会で「残念な結果だが、玉山村と法定協に移行し、夢のある地域づくりに向け取り組んでいきたい」と述べた。任意合併協議会の3市町村の枠組みでの協議から、2市村で特例法期限内の合併を目指すこととなった。
 もともと、盛岡広域の合併協議は2003年3月、盛岡市、矢巾町、滝沢村が呼び掛け盛岡地方合併問題研究会を設置。12月に盛岡市が任意協設置を呼び掛け、2004年1月下旬に玉山村と矢巾町が参加、雫石町、紫波町、滝沢村が不参加と回答。その後、3市町村が8月まで8回、任意協で協議を重ねてきた。

(訂正:「市町村合併:10月における住民投票結果」の記事で、矢巾・玉山のアンケート調査発表を10月1日と誤って掲載しました。正しくは11月1日ですので、10月の記事からは全文削除いたします。お詫びして訂正いたします)。

◆田老町、宮古市などとの合併に町民賛成4割超
 岩手・田老町は11月16日、法定合併協議会を設置している宮古市、新里村との合併の是非を問う住民アンケート結果を集計、公表した。合併賛成は1407人で4割を超え、反対720人、どちらとも言えない!110人を上回った。これを受け、野中良一町長は町議会12月定例会に合併関連議案を提案する意向を初めて表明した。同日、熊坂義裕宮古市長、山口通男新里村長も同様の考えを示した。 
 アンケートは町内に住所がある20歳以上の3966人を対象に行い、3290人が回答(回収率83%)。合併に「賛成」42.76%、「反対」21.88%で、賛成が反対の2倍近くに上った。「どちらとも言えない(分からない)」は33.73%。記入がないなどの「無効」は1.61%、53人だった。
 3市町村は12月上旬に合併協定に調印。3市町村の12月議会に合併関連議案を提案する。
 野中町長は2004年2月、法定合併協議会の設置関連議案を臨時議会に提案する際、「住民の意思を把握するため住民投票かアンケートを実施したい」と述べ、合併の是非に対する自身の態度は明らかにしていなかった。

◆井川町アンケート、合併「反対」が「賛成」上回る
 秋田・井川町は11月29日、五城目、八郎潟両町との合併の是非を尋ねた町民全員アンケートの結果を公表した。「賛成」が26.0%、「反対」が39.3%、「2005年3月の合併申請にこだわらず、問題点を解決してから合併」が33.7%だった。 アンケートは18歳以上の5077人を対象に、3つの選択肢から1つを選ぶ方式で実施。回答率は92.2%だった。
 3町は、新町・湖東町の2005年10月発足を目指し協議中。合併協定52項目のうち、未合意は▽新町の事務所位置▽財産・債務の扱い▽五城目町開発公社の扱い▽新町まちづくり計画―など6項目。
 井川町が合併について町民アンケートするのは3度目。前回(2003年10月)は3町合併に「賛成」が47.8%、「反対」が19.3%、「分からない」が30.9%だった。

◆能代市アンケート調査、白神市に殆ど否定的
 秋田・能代市は能代市、琴丘町、二ツ井町、八森町、山本町、八竜町、峰浜村による能代山本市町村合併協議会で新市名を「白神市」としたことに批判が高まっていることを踏まえ、11月15日から30日にかけて市民意向調査を実施した。11月27日に市議会合併特別委員会で行われた概要報告では、市民が望んでいる新しい市の名称については「能代市」が60.3%と多数を占め、合併協議会が決定した「白神市」には8.8%と低い支持となった。
 その最終結果は12月に発表されたが、新市名については、白神市が8.5%、一部に白神を含むが1.2%であったのに対し、能代市は59.0%、一部に能代を含むが13.5%、白神,能代を使わないが4.9%、名称8にはこだわらないが9.3%、わからないが1.5%という結果となった。なお、7市町村の合併そのものには45.5%が賛成し、合併反対が20.8%、どちらでもよいが24.6%、わからないが6.0%、欠損が3.1%であった。アンケートの送付数は4万6458通、回収率は67.8%であった。
 能代市はこの結果を受けて12月10日に合併協議会で新市名を白神市から能代市に変更することを提案、この否決を受けて協議会から離脱することを表明した。新市は2005年10月に発足する予定であるが、12月21日には残った6町村の首長は名称を尊重し合併努力を続けていくことを申し合わせている。


【関東】
◆吉井町、高崎と合併に「反対」
 群馬・高崎市との法定合併協議会設置の賛否を問う吉井町の住民投票が11月7日に行われ、即日開票の結果、「反対」が6159票で「賛成」5844票をを315票上回った。投票率は59.70%(男59.23%、女60.15%)だった。
 吉井町では、5月の住民投票で「高崎地域合併」が多数を占めたが、自立など反対派が半数を超える町議会は法定協関連議案を相次いで否決。このため、斎藤町長は住民の直接請求に基づく法定協設置を目指し、2回目の住民投票を選んだ。斎藤町長は「予想外の結果だが、民意は真摯に受けとめなければならない」と合併を断念、11月8日には高崎市を訪れ、今回の合併断念を報告、また、同時に離脱の予定であった多野藤岡広域圏の5市町村を訪問、同広域圏に残留することを伝えた。当日有権者数は2万295人(男9905人、女1万390人)

◆馬頭、小川町が法定協設置へ アンケートで7割賛成
 栃木・馬頭、小川両町は11月9日、それぞれの町で2町合併に7割以上が賛成となったと、全戸アンケート調査の結果を発表した。この結果を受けて、両町は11月12日に臨時町議会を招集し、議決を経て16日に法定合併協議会「馬頭町・小川町合併協議会」を設立した。2005年3月末までに県知事に合併申請を行い、2005年度内の合併を目指す。
 もともとこの両町は南那須町、烏山町とともに広域行政事務組合の枠組みによる「南那須地区合併協議会」を設け、2005年3月に那須南市を設立する予定であったが、協議会は10月31日に解散し、白紙となった。両町は財政シミュレーションなどを基に、「将来的に単独での行政運営は困難。二町合併に向けた協議を進めることが次善の策」と考え方を提示。住民に「そう思う」「思わない」のいずれかで回答を求めた。
 馬頭町のアンケート回収率は80.65%で、有効回答率は95.47%。このうち74.77%が2町合併推進に賛成、反対は25.23%だった。
 小川町の回収率は76.74%で、有効回答率は95.64%。賛成は77.29%、反対は22・71%だった。

◆藤原町、4市町村との合併賛成が多数
 栃木・藤原町が今市市、日光市、足尾町、栗山村と合併する是非を問う住民投票が11月28日行われ、賛成が4024票と有効投票の半数を上回った。投票率は58.42%。反対1317票、無効は134票だった。投票結果について八木澤昭雄町長は「住民の方々に感謝申し上げる。予定されている12月3日の合併調印式に参加し、その後の町議会での合併議決でも住民投票の結果による住民の意思を尊重し、合併に向けた議決がいただけるものと確信している」とコメントした。 同町では2004年7,8月に開いた合併の住民説明会で住民投票を求める声が相次いだ。町議会の一部などに根強い反対論があり、立場を明確にできずにいた八木澤昭雄町長が11月2日の臨時議会に住民投票条例案を提出、合併の賛否を住民の判断に委ねることにした。

◆相模原市との合併に相模湖町は僅差で反対、城山町は賛成
 神奈川・相模原市は津久井郡4町(津久井、城山、相模湖、藤野)との合併協議を進めているが、相模湖町では11月28日、合併の是非を問う住民投票が行われ、「単独町政を維持する」が2508票、「相模原市、城山町、津久井町及び藤野町との合併」が2455票と僅差の結果となった。投票者資格者数は7799人、投票者総数は5011人で投票率は64.25%。住民投票条例は9月議会で制定された。
 相模湖町では合併推進の溝口町長が10月3日の町長選で再選を果たしたが、住民投票では逆の結果となった。溝口町長は「結果は尊重するが、町議会や関係機関と対応を協議する」と述べ、その後、12月9日の町議会特別委員会で、「結果は五分五分。単独町政は最良の選択ではなく、合併協議を継続する」との方針を明らかにした。
 一方、城山町では10月に住民アンケート調査が行われ、回答の50.5%が合併は必要、また、その相手先は相模原市が63.1%と圧倒的な結果となった。アンケートは住民1万8679人に発送、45.4%の8478人から回答があった。


【甲信越】
◆栃尾の住民投票 合併賛成が多数
 新潟・長岡地域との合併の可否を問う栃尾市の住民投票が11月7日実施され、即日開票の結果、賛成が65・02%で反対を30ポイント上回った。馬場潤一郎市長は同日夜、「市民の合併への熱意を感じた。長岡市など6市町村と相談して前向きに合併を検討したい」との意向を表明した。開票結果は賛成9655票、反対5193票。投票率は72・46%。
 長岡市は中之島町、越路町、箕島町、山古志村、小国町と長岡地域合併協議会を設置、2005年4月1日に新長岡市に移行する予定。

◆和島村も長岡市への編入に賛成
 新潟・和島村では11月1日から7日にかけて合併についての地域説明会を7会場で開催、その際のアンケート調査で、長岡市と合併に賛成が68.58%、合併しないほうがよいが22.65%、その他が8.77%という結果となった。この結果に基づき、和島村は長岡市に協議会設置を申し入れた。
 和島村は与板町、出雲崎町と「良寛町」設立の協議を行ってきたが、10月に協議は破綻。それぞれの議会が11月4日に合併協議会解散を議決、19日に廃止された。出雲崎町は自立の道を選択した。

◆上九一色村では甲府との合併反対が53%
 山梨・上九一色村で11月28日、甲府市との全村合併の是非を問う住民投票が実施され、即日開票の結果、「反対」が614票で、「賛成」536票を78票上回った。「甲府市との全村合併」が多かった6月の意向調査の結果が覆された格好で、意向調査に基づいて村が進めてきた「全村で甲府」の合併方針に待ったがかかった。小林実村長は「結果を尊重する」としており、村議会は29日全員協議会を開き、「全村甲府」の合併方針を断念することを決めた。
 投票は甲府市との全村合併に「賛成」「反対」のいずれかに「〇」を付ける二者択一方式で、永住外国人を含む20歳以上の村民を対象に実施。「反対」は53.4%、「賛成」46.6%、投票率は87.05%(男86.43%、女87.67%)で、意向調査の回答率97.0%を下回った。
 6月に行われた意向調査では「甲府市との全村合併」が51.72%を占め、「村北部は甲府市と、村南部は富士河口湖町と合併」の48.28%を上回った。そのため甲府市に協議入りを要請したが、市側が「村内の意見集約が十分でない」と難色を示し、村民意思再確認のために住民投票を行った。
 村は2002年に法定合併協議会を設け、北部は甲府市などと、南部は河口湖町(現富士河口湖町)などと分村合併を目指した。しかし、南部は富士河口湖町の先行合併で、北部は中道町の離脱で枠組みが崩れ、合併針路が定まらなくなって混乱が続いた。
(12月7日、上九一色村は村議会市町村合併特別委員会を開催、村北部は甲府市と、村南部は鳴沢村との枠組みで2005年3月までの分損同時合併を目指す方針を決定した。)


【中部】
◆加茂地域合併破たん/美濃加茂市民の意向調査で反対多数
 岐阜県加茂郡の7町村との合併について住民の考えを投票で問う美濃加茂市の市民意向調査の投開票が11月28日行われ、「反対」が「賛成」を上回り、8市町村の合併は、事実上破たんした。編入する側の市が意向調査を実施するのは県内で初めてで結果が注目されたが、美濃加茂市民は周辺の加茂郡との合併を選択せず、加茂地域の合併は最終段階で頓挫した。
 調査は20歳以上の全有権者37041人を対象に実施。投票率は49.18%だった。1市7町村の枠組みで合併することに「賛成」「反対」「どちらともいえない」の三択方式で行われ、市は投票率に関係なく、全有権者の20%以上に達した得票結果を尊重することにしていた。
 調査の結果、「賛成」6618票(得票率36.4%)、「反対」9808票(同54.0%)、「どちらともいえない」1731票(同9.5%)で、反対が有権者の20%(7408票)以上に達した。
 8市町村は2003年春、法定協議会を立ち上げ、美濃加茂市に編入することや合併期日を2006年1月にすることなどを決めていた。市では最終段階で市民の賛同を得て合併の機運を盛り上げるために調査を実施したが、市の意向とは反対の結果になった。
 反対票が賛成票を上回った結果に合併協議会長を務める川合良樹市長は「結果は尊重しなければならない。法定協を早急に開いて(離脱を)説明しなければならない。郡の立場を理解しているので責任は痛感している」と苦渋の表情で語った。

◆浜北市、浜松などとの合併は「賛成」と「やむ得ない」で56%
 静岡・浜北市は11月30日、市議会全員協議会で、浜松市など天竜川・浜名湖地域の11市町村と協議している合併の是非を問う市民1万人アンケートの結果を公表し、「賛成」と「やむを得ない」の合計が約56%に達したことを明らかにした。
 賛否の回答は4つの選択肢から選ぶ方式。「賛成」は32.5%(2335人)、「やむを得ない」は23.4%(1683人)を占めた。一方、「反対」は35.4%(2541人)で、「分からない」が8%(575人)だった。アンケートは、20歳以上の市民から無作為抽出した1万人を対象に、郵送方式で行なわれ、調査期間は11月4〜18日とし、7187人から有効回答を得た。
 賛成の理由は「行政改革が進むと思うから」が1165人と最も多く、「政令指定都市になれるから」(731人)が続いた。反対理由は「住民負担が重くなると思うから」が1642人と大半を占めた。


【近畿】
◆合併相手は「東近江市」 蒲生町民の7割近く
 滋賀・蒲生町は合併に関する町民アンケートを実施、その結果が11月15日発表された。それによると、合併に賛成が83.2%、その相手方として東近江市が80.8%、近江八幡が6.4%、当面単独で合併を検討12.2%と東近江市との合併が圧倒的となった。
 東近江市は、八日市市、愛東町、永源寺町、五個荘町、湖東町の1市4町で設立する新市であるが、山中・蒲生町長や正副議長は15日に八日市市などを訪問、町民の意向を伝えた。これに対し、1市4町の合併協議会会長を務める中村功一八日市市長は「正式な申し入れがあれば、1市4町で協議したい」と答えたという。蒲生町は16日に正式に合併申し入れを行った。
 なお、蒲生町は日野町と2005年2月17日に合併する予定で2004年4月には新市名も公募し、「蒲生市」となる予定であったが、7月に日野町で町長のリコール請求の動きから町長が辞職、新町長は合併反対の方針を打ち出し、合併は破談。9月には近江八幡市から合併を持ちかけられていた。

◆八千代町、「3町合併」が最多
 兵庫・八千代町の住民投票が11月28日に行われ、3つの選択肢のうち、中・加美町との「3町合併」が2036票を集め、「西脇市を含めた合併」(1380票)、「合併しない」(171票)を上回った。投票率は75.61%。
 八千代町では、議会が9月、住民グループの請求した3町合併に関する住民投票条例制定案を否決。しかし、その後11月に議員提案され、3択による住民投票が決まった。11月14日の町長選でも、「3町合併推進」を訴えた現職が「反対」で臨んだ新人を抑えて再選しており、「3町合併」が再度、町民の信任を得たことになる。
 3町は西脇市、黒田庄町を含めた1市4町の合併も一時模索したが、最終的に足並みがそろわず、2003年9月、3町だけで法定合併協議会を設置し、2005年3月末の合併に向けて協議を進めている。
(なお、住民グループによる住民投票条例制定案を否決した議会に対して、住民グループは議会の解散を請求。その住民投票は12月19日に行われたが、議会解散に賛成1194票、反対1619票と、解散の賛成票は有効投票の過半数に達せず、解散案は否決された。投票率は59.34%)


【四国】
◆中土佐町は「大野見村と合併」を選択
 須崎市、大野見村いずれかとの合併か、単独自立かを問う高知・中土佐町の住民投票は11月14日に実施され、即日開票の結果、合併相手の選択は「大野見村と合併」が2963票と有効投票の70.46%を占め、「須崎市と合併」の1242票を1721票上回った。これにより、須崎市と進めてきた「黒潮市」設立を目指してきた法定協議会は解散した。中土佐町は大野見村とも法定協を持っており、そこでは新町名は「中土佐町」、本庁舎も現在の中土佐町役場とすることが決まっている。しかし、大野見村は窪川町とも法定協を設置しているため、中土佐町・大野見村の合併が決まったわけではなく、中土佐町は大野見村側の意思決定待ちとなる。一方、須崎市はほかにどことも協議会を設置しておらず、当面の自立が事実上確定した。なお、須崎市は2004年2月、須崎・大野見合併のための法定協設置の是非を問う大野見村の住民投票で大差で「ふられた」経緯がある。今回の中土佐町の住民投票でも新市の周辺部になることを嫌い、「須崎とは合併したくない」との町民感情があったといわれている。
 西森・中土佐町長は15日に須崎市、大野見村双方を訪問。笹岡・須崎市長は「次(の合併論議の際に)は合併したいと言ってもらえる須崎市をつくりたい」と応じた。高橋・大野見村長は「合併相手として望んでもらえたことには感謝する。が、こちらも住民投票で村民の意思を問いたいと考えている。掛け持ちで法定協を設置している窪川町の動向を最重視しながら、判断させていただきたい」と話し、直ちに同町との合併に進めないことへの理解を求めた。

◆由岐町、3町合併に賛成59.64%
 2005年10月に新町「美海町」発足を目指す日和佐、牟岐両町との合併の是非を問う徳島・由岐町の住民投票は11月28日に行われ、賛成1114票(有効投票の59.64%)、反対754票(同40.36%)で賛成票が多数を占めた。
 投票権は17歳以上の住民で、投票率は64.21%(男60.57%、女67.17%)。
 3町は2003年2月、法定合併協議会を設置。人口15,000人規模の新町づくりに向けて協議を進めてきたが、本庁舎位置と課の配置をめぐり、協議が1年半にわたって難航。2005年3月1日に決まっていた合併期日を10月1日に変更した。
 今回の住民投票は、町が町議会9月定例会に同投票条例案を提案し、可決された。11月8日に本庁舎を日和佐に置くことなど法定協での協議がすべて終了したのを受け、実施に踏み切った。
(12月27日、由岐町議会は由岐町議会(定数12)は、2005年10月1日に日和佐、牟岐両町と合併し、新自治体「美海町」を発足させる新町設置議案を片矢昭文議長を除く起立採決の結果、賛成4、反対7の反対多数で否決した。また、日和佐町議会(定数14)も同日、賛成4、反対9で新町設置案を否決した。牟岐町議会は24日、賛成多数で可決している)



【九州】
◆宮崎市と合併せず 高岡町長、住民アンケートで方針
 「宮崎市との合併はせず自立を目指す」―。高岡町の吉元正憲町長は11月16日、住民アンケートを基に町の方針を示した。“自立”選択は半数をわずかに上回ったが、回答率は有権者の15.5%。9月には町議会が一票差で合併の住民投票条例を可決したが、吉元町長は「実施しない」と言明。同日の町長の方針に合併推進派の町議は強く反発している。
 合併説明会は10月から11月2日まで町内42ヵ所で開催。約1602人が出席し、アンケートに1517人が回答した。町内の有権者は9月1日現在で1万366人。アンケートでは782人(51.6%)が「自主自立」と回答、「宮崎市と合併」は427人(28.1%)、「よく分からない」190人(12.5%)だった。
 宮崎市との合併をめぐり、2002年の法定協設置を賛否を問う住民投票ではわずか60票差で否決。しかし、2003年の町議会は設置を可決するなど、論議は迷走を続けている。
(その後、高岡町議会は12月6日、臨時議会を開き、議員提案による宮崎市への編入合併案を8対7の賛成多数で可決した。また、宮崎市議会も高岡町議員の要請を受けて12月9日、高岡町との合併促進決議案を可決した。また、町民グループは、12月27日、町長のリコール請求を4397人の署名簿を添えて町選管に提出した。)

◆田野町、宮崎市・清武町との1市2町合併に58%が賛成
 宮崎・田野町の合併の枠組みと是非を問う住民アンケートで、町民の約6割が宮崎市、清武町との1市2町による合併を望んでいることが、11月28日の集計結果で明らかになった。
 アンケートは「田野町単独」「田野町と清武町」「田野、清武町と宮崎市」の3つの合併パターンのうち、1つを選択するもの。その結果、有効枚数のうち、58.0%(3270人)が「田野、清武町と宮崎市」と回答し、「田野町と清武町」は23.61%(1331人)、「単独」は18.39%(1037人)、だった。
 アンケートは町が3日、町内在住の20歳以上の男女に配布し、19日までに回収した。回収率は61.16%で、回答者5762人のうち無効は1.32%(124人)だった。
 結果を受け、田野町の丸目賢一町長は「住民の意見を最大限に尊重する。宮崎市との合併が6割という数字は無視できないもので、今後、議会や清武町などと相談して決めたい」と話した。

◆清武町では投票率45%で“不成立”
 宮崎・清武町でも合併の是非、枠組みを問う住民投票が11月28日行われ、投票率は45.56%で、条例で「町長が投票結果を尊重しなければならない」と定められている「50%」に到達せず、事実上不成立に終わった。開票は行われ、その結果は「合併しない」が最も多く4701票、「宮崎市・田野町との合併」4000票、「田野町との合併」988票となった。
 住民投票は、宮崎市との合併を推進する市民グループが10月13日、条例制定を直接請求。23日の臨時議会で可決され、実施されたもの。
 清武町は2004年1月、田野町との2町、宮崎市との1市1町で2つの法定合併協議会を設置。宮崎・清武合併協議会には3月から田野町も参加、1市2町で協議を進めてきた。いずれも10月中旬までに協議を終了している。
(清武町一ノ瀬町長は12月7日、町議会特別委員会で自立の方針を明らかにし、議会もこれを概ね了承した。)

◆佐土原町では宮崎市との合併に7割強が賛成
 宮崎・佐土原町では10月1日〜31日の間、町内の中学生以上2万9961人(うち中学生1156人)に宮崎市と合併すべきか、佐土原町で自立すべきかのアンケート調査を行い、11月8日に開封集計した。それによれば、宮崎市と合併すべきが72.16%、自立が26.62%、無効が1.22%であった。アンケート回収率は63.17%。
 (宮崎市は隣接する佐土原、高岡、田野・清武町と3つの合併協議会を持っているが、このうち佐土原町とは12月21日編入合併案が両議会で可決され、2006年1月に新「宮崎市」が誕生する見込み。また、田野町議会は12月17日、宮崎市と新たに法定協を設置するとともに、協議終了後住民投票を行うとの町長の方針を受け、法定協設置と住民投票条例を可決した。)

◆溝辺町、「1市6町」の合併に賛成
 姶良中央地区合併協議会(国分、溝辺、横川、霧島、牧園、隼人、福山)の1市6町による広域合併か、隼人町などとの小さな枠組みでの合併かなどを問う、鹿児島・溝辺町の住民投票は11月21日行われ、即日開票の結果、1市6町が4422票を獲得。成立条件だった「投票率70%以上」「投票資格者の2分の1以上」をクリアし成立した。投票率は83.15%。当日の有資格者は6813人で、投票総数は5665票(有効5640票、無効25票)。投票は1984年11月22日までに生まれた永住外国人を含む町民が対象で、3つの選択肢のいずれかに○をする方式。
 町議会は6月、「1市6町は広すぎる」などとして協議会離脱を決議。溝辺を除く1市5町は「姶良中央合併協議会」を設立し協議を進めている。溝辺町では1市6町による合併推進の町長と議会が対立。住民グループが住民投票条例案を直接請求したが、議会は成立条件を修正、ハードルを高くして可決した。

◆瀬戸内町では「6市町村」合併に反対6割
 奄美大島地区合併協議会(名瀬、大和、宇検、瀬戸内、住用、笠利)の枠組みでの合併の是非を問う瀬戸内町の住民投票は11月21日行われ、即日開票の結果、賛成3128票、反対4563票で、反対が有効票の約6割を占めた。
 義永秀親町長は「住民の正しい判断が示されたことを胸に秘め、町民、議会、町の三者が一体となって試練の嵐を乗り越えていきたい。町民の町おこしへの決意に感謝する」とのコメントを発表、協議会から離脱する意向を示した。
 当日有権者数は9139人(男4312人、女4827人)。投票は20歳以上の町民を対象に行われ、投票総数は8138票(有効7691票、無効447票)で投票率は89.05%だった。6市町村での合併に賛成、反対のいずれかに○をつける二者択一方式。町民、町議会、町長は結果を尊重すると条例で定めている。
 町議会特別委は9月、「6市町村合併は名瀬市への一極集中を招く」などとして法定協離脱を全会一致で確認、義永町長も住民説明会で「町、議会、町民が一体となれば自立できる」との見解を示していた。