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自治体による新規就農支援策

2004/10/26

 10月26日付徳島新聞によると、徳島県の新規就農施設等支援資金制度の初適用者が決まったとのこと。同制度は、初年度の貸付限度額が青年(18歳以上40歳未満)2800万円、中高年(40歳以上55歳未満、知事特認で65歳まで)1800万円と高く、返済期間は5年据え置きの12年。収益性が見込めるかなど就農計画の審査が厳しく、2000年10月の制度開始以来、適用がなかった。県の就農支援資金制度は、農業大学校などで勉強する@研修資金、就農準備のためのA準備資金との3本立てとなっている。いずれも無利子融資。融資限度額は、@では農業大学校等が月額5万円、先進農家が月額15万円、指導研修(青年のみ)が200万円、Aでは200万円となっている。10月25日時点で、@は24人、Aは3人が適用を受けている。

 以下、自治体による新規就農支援策を紹介する。

 神奈川県は2003年度から、「中高年ホームファーマー制度」を実施。耕作する見込みのない耕作放棄地を県が農家から借り受けて整備し、高齢者を中心とした希望者に貸し出す。1人当たりの耕作面積も初年度が100u、翌年度は300〜500uに広がる。ただし、除草などの手間もかかり、初年度参加者100人のうち25人が脱落した。参加費は100u当たり年間5000円。種や苗、肥料代などを含めると年間10〜20万円程度が相場。

 和歌山県は2004年度から、「農業をやってみようプログラム」を実施。農業を目指す県内外の27人が農業技術修得のための研修に励んでいる。講義だけでなく、実際に作業しながら野菜や果樹、花の生産技術を学ぶ。

 岩手県は5月、建設業などの異業種から農業参入を支援するため、総合相談窓口となる「農業参入企業相談センター」を設置した。@農地取得、農業生産法人の設立A農畜産物の流通・販売B農業生産技術などに関する相談、情報提供を行う。併せて、農業に参入した先行事例の調査、マニュアル、データブックの作製にも取り組む。また、各地方振興局にも同様の窓口相談を設け、相談業務のほか、農業団体や市町村と企業の連絡調整に当たる。

 佐賀県では5月末時点で、2004年の新規就農者は100人で、3年連続100人台となったことを明らかにした。県は1995年度から、無利子で就農研修資金(月額最高15万円)や施設資金(最高2800万円)を貸し付け、新規就農を後押し。1994年には40人台まで落ち込んだが、2003年は113人、2004年も100人と3桁台を維持した。

 山形県は6月から、新規就農情報メールマガジン「山形で農業してみっべ!」の配信を始めた。毎月1回の配信で、県立農業大学校が編集と発行を担当する。農業を始める際に必要な手続きや、就農研修の受け入れ先農家や施設の一覧、県や各市町村などの支援制度などを紹介する。

 大分県は8月、盆帰省者で農業に関心のある人や他産業従事者で就農を考えている人を対象に、「農業再発見ツアー」を実施した。地域の篤農家へ案内し、農家出身者のUターンを促すのが狙い。一方で、経験や年齢を問わない研修を県立農業大学校で開くなど、非農家への門戸開放にも力を入れている。
 また、大分県は5月、意欲ある農家の規模拡大を支援する「野菜経営塾」を始めた。冬季のイチゴ、ピーマンといった季節品目で課題となっている労力の確保を実現し、雇用型経営への転換を図る。2年間で計8回開く。塾生は経営規模が平均以上で、規模拡大を希望する比較的若手の経営者31人。作型の違う農家が地域の労働力を有効に活用できる体制づくりを進める。塾生は雇用経営の視察研修などを経て、最終的に実践計画を策定する。

 静岡県は9月、新規就農者養成実践研修生を募集した。研修生は40歳未満で非農家また第2種兼業農家出身者が対象。研修地への就農が可能であることが条件。2ヵ月の事前研修を経て、1年間の実践研修に入る。

 山梨県は9月、33の農業生産法人(4月1日時点)を2013年までに90法人確保する方針を明らかにした。農業の担い手を確保して活性化を目指す。県は大規模農業を展開する農業生産法人の育成のため、農業改良普及センターを中心に人材育成や啓発活動などを進めている。

 埼玉県は9月から、就農相談窓口を休日にも開き、新規就農者の支援を強化する。就農相談を受け付けた相談者名や相談内容を記載したカードを作り、関係団体で回覧することで、情報の共有化も図る。また、農業改良普及員による生産技術や経営のマンツーマン指導を強化し、経営が軌道に乗るまでを見届ける。安い資金で就農できるよう、中古農機具の一覧表を作ることも予定している。

 千葉県は2005年度から、「アグリチャレンジファーム」整備事業を始める。農業に関心のある県民に、農作業の実践を通じて農業に対する知識を習得してもらい、将来の新規就農者を育成する。市民農園的な「ふれあい農園」、就農に興味があり、野菜など多少の農業栽培経験のある県民向けの「プレチャレンジファーム」、農業を職業として志望する県民に貸し出す「実践農場」を整備する。貸し出し期間は1年が基本。長くても2年程度と考えている。(田中潤)