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構造改革特区、第6回認定申請は101件

2004/10/22

 内閣府は10月19日、構造改革特区(第6回認定)及び地域再生計画(第2回認定)の申請受け付け結果を公表した。特区は101件、地域再生計画は39件の申請があったとのこと。ただし、株式会社が病院経営を地域限定で認める「病院特区」については、参入可能な分野が、脊髄を損傷した患者に対する再生医療や肺癌患者らへの遺伝子治療など一部の高度医療に限られたため、申請自治体はゼロとなった。以下、地方紙等で紹介されたものの一部を紹介する。

【特区(教育関係)】
■宇都宮市「うつのみや生き生き宮っ子特区」
 市内小学校2校を対象に、授業科目「会話科」を設けるというもの。3年生以上が対象で、総合的な学習の時間(5〜6年生110時間、3〜4年生105時間)の35時間分を当て、日本語の表現力、英会話力、コミュニケーション能力を育てる。さらに全学年で毎週3回、15分程度の「朝の会話タイム」を設け「会話科」で学んだ内容を定着させる。

■東京・世田谷区「世田谷「日本語」教育特区」
 区立中学校で学習指導要領にない日本語教育科目を新設するというもの。「表現」や「日本文化」など、日本語について多角的に学ぶ新科目設置を目指す。

■群馬・大泉町「英語教育特区」
 公立小学校の全児童を対象として「英語科」の授業を行うというもの。「生活科」と「総合的な学習の時間」を減らし、「英語科」の時間を創出する。1年生は後期のみで、毎週1時間の年間20時間、2〜6年生は毎週1時間年間35時間の授業を行う。「聞くこと」「話すこと」を主体としたカリキュラムを組む。

■岐阜・大垣市「水都っ子わくわく英語プラン特区」
 市内小学校の授業に「英語科」を新設するというもの。2005年度は3〜5校で実施、2006年度は市内全17校で実施する予定。3〜6年生が対象で、毎週1時間で年35時間実施。総合的な学習の時間の一部を英語科へ切り替える。コミュニケーションを重点に積極的に英語を話す児童の育成を目指す。

■栃木・小山市「英語教育推進特区」
 市内全小学校で授業科目に「英語科」を設置するというもの。2006年度の完全実施に向け、2005年度は研究推進校として5校ほどに英語科を設置する。英語科の授業時間は年間で1〜2年生が10時間、3〜6年生が30時間〜35時間を予定。1〜2年生は授業時間を10時間純増、3〜6年生は「総合的な学習の時間」の一部を振り替える。

■北九州市「「自立と共生の教育」特区」
 教育課程を学校独自で自由に編成し、多くの時間を体験活動に充てるようにできる小学校を設置するというもの。教科の勉強だけでなく、羊の飼育、織物づくりなどを豊富に取り入れ、自然体験学習を充実させる。学校教育基本法施行規則で、小学校では、学習指導要領で定められた授業時間数を消化することが決められている。また、私学の場合、文科省の通知で、学校の土地と校舎は学校法人が所有することを定めている。以上の2点の規制緩和を求める。

■熊本・久木野村「教育特区」
 不登校や中途退学者らを対象にした株式会社立の単位・通信制高校を設立するというもの。教育センターに通学する「平日通学コース」「土曜通学コース」や、ITなどを利用した「Web学習支援コース」の3コース。さらに平日の午後は生徒の志望に合わせた専門コースの実施を予定。 それぞれの科目の単位取得に年間20〜30日ほど必要なスクーリングを集中して行うことも予定している。

■宮城県「みやぎ私立学校教育特区」
 県内全域を対象に、私立学校が柔軟なカリキュラム編成や教科指導を行うというもの。「小学校で教科別担任制を導入し、わかりやすく専門性も高い授業を行う」「小1から英語の授業を行う」「不登校の子どもがITを活用して家庭で学習する」などを予定。

■熊本・御所浦町「教育特区」
 漁業体験や化石発掘などを通じた自然体験型のスクーリングを特色とする、株式会社による通信制高校を設立するというもの。町が有償で貸与する。

■神戸市「国際みなと経済特区」
 司法試験などの予備校を経営する東京リーガルマインドが「株式会社立大学」を開くというもの。「総合キャリア学部総合キャリア学科」を置き、法曹や弁理士、公務員、公認会計士などの育成プログラムを設ける。入学金24万円、授業料は年90万円。

■長野市「インターネットアカデミック特区」
 校地・校舎を持たず、ITのみで授業を行う大学院を設置するというもの。設置課程は、理工学系情報学専攻の数理情報学講座。

■東京・文京区「IT人材育成特区」
 ITの資格取得を容易にし、生涯学習を促すというもの。初級シスアドや基本情報技術者といった情報処理に関する資格講座を区や区内大学などに開設し、受講修了者には試験の一部を免除する。

【特区(農業関係)】
■新潟・十日町市、川西町、中里村、安塚町、浦川原村、松代町、松之山町、大島村、牧村「越後里山活性化特区」
 市町村合併により東頚6町村(安塚町、浦川原村、松代町、松之山町、大島村、牧村)が実施してきた「東頚城農業特区」のエリアを拡大し、「NPOなどによる空き家情報提供(宅地建物取引業法の緩和)」「農地取得の下限面積を10a以上まで緩和」「農業生産法人の農家民宿経営」などの拡大事業を可能にするというもの。

■石川・羽咋市「羽咋のとっても簡単就農特区」
 新規就農者が農地を購入する際の最低面積を50aから10aに引き下げるというもの。

■宮城・松山町「「醸華邑(じょうかむら)」構想・水田農業活性化特区」
 耕作困難になった町内の農地を所有者から町が有償で借り受けて、それを有償で貸し付け、酒の原料となる米を栽培するというもの。町では農業の高齢化や後継者不足が進んでおり、耕作放棄面積が急増し、2000年には41haとなった。

■京都・舞鶴市「まいづる『グリーンツーリズムの郷』創造特区」
 市内農村部全域を対象に、「企業などが地方自治体から農地を賃借して農業経営」「新規就農者らが農地を取得する場合の下限面積を10a以上に緩和」「市民農園を開設できる主体を一般農家などに拡大」「農家民宿での消防設備簡易化」などを認めるというもの。

■宮崎県「神話・伝説のふるさとツーリズム特区」
 20市町村で構成する同特区の中で、三股町に限って酒税法の「年間6k?以上製造する」と定めたどぶろくの製造免許の取得条件の緩和を追加するというもの。条件が整えば、残りの19市町村へも拡大を求める。大量に造る必要、能力はないが、グリーンツーリズムにどぶろくを取り入れたい農業者にとって、最低製造量の設定は大きなハードルだった。

■石川・鶴来町「白山・鶴来ツーリズム創造特区」
 伝統の酒造りで町おこしにつなげるため、酒米栽培から醸造、販売まで一貫して行う場合、どぶろくの年間製造見込み数量を6k?以下でも良いこととし、農家が経営する民宿やレストランでどぶろくを作れるというもの。

【特区(都市再生関係)】
■千葉県「戦略的企業誘致推進特区」
 土地開発公社が分譲用に所有・造成した土地を対象に、企業進出が見込める土地に限定して、賃貸を認めるというもの。これまでは「公有地の拡大の推進に関する法律」で、所有地の処分について分譲が基本で、賃貸は認められていない。

■北九州市「市民力が創る「環境首都」北九州特区」
 CO2削減などを目的とし、排ガスの少ない車2台を複数の事業所が共有して、自由に利用できるようにするというもの。

■滋賀県「国際物流特区」
 関税を納めずに外国からの輸入貨物を保管できる「保税蔵置場」の設置規制について、税関から25km以内に限定されているのを100km以内に規制緩和するというもの。

【特区(医療福祉関係)】
■神奈川県「福祉有償運送セダン型車両特区」
 県内全域を対象に、NPOによる高齢者や障害者の有償移送サービスに関し、特殊装備のない乗用車でも特例としてサービスを提供するというもの。道路運送法などでは、NPOが有償移送サービスを行えるのは、回転シートや車いす用リフトなどを付けた福祉車両に限っている。

■秋田県、秋田市「秋田デイサービス特区」
 デイサービスセンターが一定枠の身体障害者を受け入れられる「相互利用制度」を拡大し、これまで対象外だった知的障害児・障害者を受け入れるというもの。

■茨城県「いばらき幼保連携特区」
 幼稚園で保育所児が合同活動できるというもの。

■秋田・鹿角市「幼保一体的運営特区」
 同じ年齢の幼稚園児と保育園児を一緒に保育するというもの。

■佐賀県、江北町「こども園特区」
 幼稚園と保育園に分かれていた園児を「混合クラス」に編成するというもの。保育室を共用し、3〜5歳児を混合クラスにする。

■富山県「とやま幼稚園早期入園特区」
 富山、高岡、氷見、滑川、砺波の5市と、立山、小杉、福野、井波の4町の幼稚園を対象に、満2歳を迎えた幼児は次の4月から幼稚園に入園できるというもの。

■北海道・佐呂間町「いきいき子育て特区」
 町立幼稚園の閉園に備えて町立保育所定員を増員するというもの。

【地域再生計画】
■北海道「北海道一村一雇用おこし促進事業」
 地場産品を活用した特産品の加工販売など一定要件を満たした雇用創出事業に対し、事業費の50%(限度額250万円)を助成したり、新規雇用1人につき30万円を補助するというもの。

■福井県「ふくい産力強化計画」
 繊維や眼鏡などの優れた技術を生かし、最先端の技術分野の創出を目指すというもの。国が用意する141の支援措置のうち「低利融資」「補助金で導入した研究機器の転用」「特許や知的財産の活用促進」など5つを使い、中小企業の支援や大学の基礎研究の実用化などを進める。(田中潤)