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自治体で広まる人事評価制度

2004/10/20

 北海道は10月19日、「分限処分」について、処分までの具体的な手続きを定めた取り扱い方針をまとめた。11月から運用を始める。分限処分は@勤務成績が良くないA心身の不調のため職務遂行に支障があるB職に必要な適格性を欠くなどを理由に職員を降任や免職できるというもの。今回の方針では、手続きの透明性を重視。勤務実績が悪い職員には「1年以上の勤務状況記録などの提出」「対象職員に対する事前通知」「研修などの矯正措置の実施」などの段階を踏んだ上で、副知事をトップとする内部の適格性審査委員会が処分を判断する。また、「心身故障」では、医師2人による診断を義務付けた。

 富山県は10月から3ヵ月間、本庁各部局の1〜2課で「目標管理制度」を試行。職員が個々に目標を決め、施策や業務の成果、進捗度などを自己評価し、管理職と面談の上で最終診断するというもの。2005年度は本庁と出先まで試行の対象を広げ、2006年度から本格導入し、昇給や昇進に反映させる方針。

 そのほか、職員の人事などに関する自治体の取り組みを紹介する。

 岐阜・多治見市は2004年度から、「部下による上司の勤務評定制度」を導入。部長や課長の管理職が対象で、部長を直属の課長が、課長を副主幹と総括主査が評価。勤務評定項目のうち、能力と態度の2項目を5段階で評価する。評定書は記名式。上司の優れた点や改善すべき点を記入する意見欄も設ける。結果は、評定される職員の上司に報告され、その職員の指導に反映するほか勤務評定や人事異動の資料としても活用する。
 また、同市は2004年度から、勤務評定に基づく職員の降格制度の運用も開始。管理職をはじめ、総括主査以上か主査以上が対象。勤務評定制度に基づき、2〜3年間、評価の低い職員にその旨を通告した上で、その後猶予期間として6ヵ月、改善がなければ降格する。市は2001年度から、全職員を対象に、「目標管理による勤務評定制度」を導入。目標達成度などの実績、能力、態度の3項目を得点化する形で評価し、昇格や勤勉手当などの処遇に反映している。

 甲府市は2004年度から、課長職への昇任に資格試験を導入。在職2年以上の課長補佐が対象。試験は2段階制で、政策立案能力をみる企画提案書と論文での1次試験と、業務実績を記入した自己申告書と勤務評定書、面接による2次試験を実施する。2次試験に合格した上位得点者から次年度の昇任者を決める。勤務評定は部局をまたいで設置する「勤務評定審査会」が行い、民間人を含む外部から試験官を選ぶ。

 鳥取県は4月、勤務評定を反映する新給与制度を導入、「勤務態度が悪い」などを理由に職員9人の定期昇給を停止した。平均的な職員と年間で5〜15万円の格差が生じるとのこと。同制度は積極性や企画力など役職に応じて11〜17項目をそれぞれ5段階評価し、総合評定(最高1〜最低5)を付ける。昇給の対象から除外するのは、主に総合評定が「5」の職員で、改善が見られた場合は、年度内に再び昇給の対象とする。

 栃木・南那須町は2004年度、人事評価制度を試行的に導入することを決めた。臨時などを除く全職員が対象で、仕事の達成度合いや取り組む姿勢などを基準に「S、A、B、C、D」の5段階で評価する。評価のポイントは@成果A習熟能力B習得能力C意欲・態度の4つ。それぞれ仕事の速さや正確さ、企画立案能力など計20項目の評価要素を設定して評価する。Sは90点以上で「目標をはるかに上回り、組織に大きな成果をもたらす」と設定。最も低いDは39点以下で「目標をはるかに下回り、業務に重大な支障を及ぼす」と定めた。

 東かがわ市は2004年度から、@勤務評定A目標設定B職員研修を主体とした「人材育成システム」を実施。@は職員が自己申告書に基づいて職務の満足感や達成度などを申告。上司が部下の仕事を評価する一方、職員も管理職の能力を評定する。Aは従来の係を廃止し、課長が課内を2つ程度のグループに分けて各リーダーを任命。リーダーが年間目標を設定。達成できれば、他のグループの仕事を応援できる。Bは職場でも研修部門を設け、勤務態度が悪い、あるいは資質に欠ける職員を再教育する。

 川崎市は2004年度から2年間、部長級以下の全職員を対象に、人事評価制度を試行的に実施する。@業績評価とA能力評価の2本立てで、仕事内容をよく知る直属の上司が1次評価者、一次評価者の上司が2次評価者となる。@は個々の職員が複数の業務目標を立て、評価者が難易度などを勘案し、年度末に目標ごとの達成度を評価する。Aは知識や職務への取り組み姿勢を項目ごとの指標に基づいて評価する。最終評価は5段階に分かれ、それぞれ給与や昇任などに反映される。

 静岡・富士市は7月から、職員の交通事故に関する取り扱い要領を改正、飲酒運転で検挙された職員を原則として懲戒免職処分とした。

 長野県は7月、部課長級職員265人を対象に、業績管理制度を導入すると発表。評価結果を12月支給分ボーナスから「勤勉手当」に反映させる。課長級職員については部局長が1次評価し、知事・副知事が2次評価する。部長級職員については副知事(空席のため当面は経営戦略局長)が1次評価、知事が2次評価する。2004年度は、部課長級職員は1次評価者と面談して目標を設定し、目標の達成度を自己申告する。評価結果はA〜Eの5段階。Cの勤勉手当を従来通りの基準額とし、B、Dはそれぞれ5.6%の増減、A、Eはそれぞれ11.1%の増減となるよう設定する。人数の配分はCが70%、B、Dは13%、A、Eは2%。部長級で最大16万円、課長級で10万円の差がつく。

 山梨県は9月から、総括課長補佐クラス以上の職員を対象に新評価制度を試行。2005年度は一般職員にまで範囲を広げて試行することを検討している。@業績評価とA能力評価を併用。@は主に給与に、Aは主に人事に反映させる。@は第1次評価者(課長・室長クラス)との面談を通して各職員が3〜5項目の目標を設定し、年度末近くにその達成度などを100点満点で自己評価する。Aは「意欲」「部下の育成力」「企画力」など40項目に関して、各職員が同様に自己評価する。点数を5段階評価にあてはめ、第1次評価者との面談で評価を修正。第2次評価者(部局長クラス)が評価を確定する。

 沖縄県は9月から、管理職を対象に「新たな人事評価制度」を試験導入。課室長を上司である各部局の次長が評価し、部長が調整者となる。2005年度は全職員に試行対象を広げ、2006年度には本格実施する方針。業務目標の達成度をはかる業績評価と、判断力や企画・計画力など7項目からなる能力評価の2種類で評価し、自己申告による評価を基に評価者の上司と面談し、それぞれの目標の設定や進行状況、達成度などを評価シートにまとめ、人事課と本人に内容を伝えるというもの。

 秋田県は9月から、部長以下の一般職を対象に「職員人事評価制度」を導入。評価の指標は、@業績A能力B態度・姿勢の3つ。各職員が3段階で自己評価し、それを参考にした上で上司2人がそれぞれ5段階の絶対評価を付ける。各部長の評価は、副知事が担当する予定。(田中潤)