地域ニュース 構造改革特区推進会議 シリーズ討論 行革時評
全国各地の主な条例 国民会議ニュース 行革関連新聞記事索引 意見書・報告書 TOPに戻る


競輪事業低迷 撤退する自治体も

2004/10/19

 群馬・太田市は10月15日、前橋市と共催している競輪事業から撤退することを明らかにした。太田市が前橋市に撤退金1億5000万円を支払うことで合意。前橋市は2005年2、3月に開催予定の競輪事業(6日間)を単独開催する。太田市は2005年3月に、尾島町、新田町、藪塚本町との合併を予定しており、「新市にギャンブルは持ち込まない」との基本方針を示していた。同市は1952年に競輪事業に参入。1997年度に9450万円を一般会計に繰り入れたのをピークに、繰入金は年々減少。2002年度は650万円、2003年度は参入以後初めてゼロとなった(繰入金総額は15億4280万円)。なお、前橋市も2003年度の一般会計への繰入金が2年ぶりにゼロとなっている。

 公営の競輪事業は全国計87自治体が実施しているが、2003年度の全国売上高は5年前に比べて3割減の9831億円で、30年ぶりに1兆円を割り込んだ。以下、競輪事業について、ほかの自治体のケースを紹介する。

 高松市は2003年度の競輪事業で、一般会計への繰入金が1950年度の開設以来、初のゼロとなった。同事業の繰入金は、開設から2002年度までに計395億円。市の包括外部監査を実施した公認会計士は2月、競輪事業について経営改善がなければ廃止する必要があると提言した。経営改善ができないという前提で策定した競輪事業のシミュレーションでは、一般会計への繰入金を2004年度からゼロと仮定して2005年度には繰越収支差額が損失となると予想。有効な経営改善ができず、事業を廃止する場合、敷地を売却すると123億円の歳入が期待できるとした。

 さいたま市は2003年度の競輪事業で、売上金から配当金、競輪場使用料、諸経費を差し引いた収支は3875万円の赤字となった。2001年度は7000万円、2002年度は180万円と3年連続の赤字。市は繰上げ充用で補填してきたが、2003年度分についても6月補正予算に1億250万円を計上した。

 静岡・伊東市は6月、赤字の続く伊東温泉競輪について、事業の継続を表明した。同競輪は1950年にスタートし、1991年度のピークには19億円の収益を上げたが、一般会計への繰り入れは2000年度からゼロとなった。2003年度は従業員の13%賃下げ、雇用調整など歳出削減策、車番3連勝単式などを導入したが、単年度赤字額は3億4000万円に拡大、累積赤字は4億5000万円に膨らんだ。

 水戸市は8月、県営取手競輪場で開催している競輪事業から撤退を表明した。同競輪場では県と、水戸市、土浦市、取手市が年12回、競輪事業を開催している。水戸市、土浦市の両市は1958年度から一部事務組合を設立して事業を運営。これまでに2市で計160億円以上の交付金収入を得ていたが、2002年度は5000万円、2003年度は3000万円の赤字を計上し、繰越金を充当しても1000万円程度の累積赤字が出る見込み。土浦市は既に撤退の意向を表明し、両市による競輪事務組合は2005年3月末で解散する予定。

 千葉・松戸市は9月、県が年8回、市が4回開催している松戸競輪について、県からの事業移管を受け入れ、2005年度からは市単独で開催する方針を明らかにした。また、経費削減などを図るため、事業の民間委託を検討する。県は2002年度に、同競輪で2億1000万円の黒字を確保したが、10年前に比べると10分の1に減少。負担が県財政に響くのを防ぐため、収益を上げている段階での撤退を決めた。

 一方で、大阪・岸和田市は4月、岸和田競輪2003年度決算で11億円の単年度黒字の見込みであることを明らかにした。同競輪は岸和田市と、泉大津市、貝塚市、泉佐野市でつくる阪南3市競輪組合、富田林市がレースを開催してきたが、2000年度には初の単年度赤字となり、2001年度も赤字で、2002年に同組合と富田林市が撤退。岸和田市のみが競輪事業を単独で実施。大幅な人件費削減、3連単方式の導入、ファン獲得に向けた施設整備などにより、6年ぶりの特別レースが行われた2002年度に続いて、2003年度は2001年度を40億円上回る227億円の車券売り上げを記録。人件費や払戻金を差し引いても黒字を達成した。(田中潤)