地域ニュース 構造改革特区推進会議 シリーズ討論 行革時評
全国各地の主な条例 国民会議ニュース 行革関連新聞記事索引 意見書・報告書 TOPに戻る


児童数増加を受けてマンション建築規制 西宮市

2004/10/18

 兵庫・西宮市は10月16日までに、児童数急増地域での建設を規制する指導要綱をまとめた。要綱は2005年春施行の予定。10戸以上の集合住宅を建設しようとする場合、業者に建設時期の1年以上の延期や戸数の変更を求めるというもの。児童の受け入れが困難になっている1校区が規制の対象になるほか、今後5年以内に5校区が対象になる見込み。また、商業地域などでのマンション建設を規制する指導要綱もまとめた。商業、近隣商業、工業・準工業の各用途地域で、容積率の8割を超すマンションを建設する場合、8割を超える床面積の4分の1は店舗などにして「にぎわい創出」機能を持たせるというもの。阪神・淡路大震災のため、戸数制限や協力金などの開発規制を解除した結果、同市ではマンションの建設ラッシュが続き、転入者が急増していた。同様の規制は、以前にも紹介した東京・江東区や、京都市などで実施されている。

 以下、建築規制を実施している最近のケースを紹介する。

 仙台市は7月、都市部などの市街化区域以外の開発を抑制する「土地利用方針」の素案を示した。市街化調整区域や都市計画区域外などの「郊外部」は、実施可能な開発を公益施設や日常生活に限定。開発面積の20%以上について、緑化を図るよう事業者に求める。森林保全区域では、開発残地の森林率を20〜40%確保させる。水道水源保全区域は、廃棄物処理施設など水源汚染の危険がある開発を抑制。住宅主体の集落では工場などの設置主体を排除する。なお、3月に一部施行された「杜(もり)の都の風土を守る土地利用調整条例」は、郊外部で開発事業を行う場合、開発計画と市の土地利用方針との整合性を図った上で、市長と協定を締結する手続きを定めている。

 横浜市は10月15日、中区の山手地区で、建物の高さを制限するなどの地区計画を都市計画として決定した。元街小学校やフェリス女学院などがある14haが対象。すでにマンションなどが建っている地域2haは高さ15m以下、その他の地域は10m以下に制限し、スーパーなど店舗の設置を禁止する。また、敷地1区画の最低面積を165uとし、土地の分割売買を防止する。

 山形・鶴岡市は12月市議会で、「大規模建築物等の景観に関する条例」を提出する予定。市内全域を対象に、「建築面積500u」「高さ13m(煙突や鉄塔などの工作物は15m)」をそれぞれ超える建築物を造る際に、市への事前届け出を義務付けるというもの。業者や個人から届け出を受けると、市はデザインや色彩などの誘導基準に基づいて、助言や指導を行い、誘導基準を守らない場合は、氏名公表などのペナルティーを科す。また、11月の都市計画審議会では、第1〜6学区の市街地で建築物の高さを制限する都市計画高度地区の指定を行う方針。地区内では、住居系用途地域は15m以下、業務系用途地域は20m以下。歴史的な建造物が集積している鶴岡公園を中心とした地域は「歴史文化ゾーン」とし、用途地域にかかわらず15m以下とする。工業団地とJR鶴岡駅周辺の高度利用地区は制限適用外。高度利用地区周辺は「駅前ゾーン」と位置付け、35m以下に規制を緩和する。

 反対に、建築規制を緩和する自治体もある。

 東京・三鷹市は9月、住居地域での工場の建て替えや改修をしやすくするため「特別住工共生地区内における建築制限の緩和等に関する条例」を制定した。@野崎1丁目(4.7ha)A上連雀1丁目(0.8ha)B中原3丁目(1ha)C大沢6丁目(6ha)の4ヵ所を特別住工共生地区に指定する。ただし、良好な居住環境も守るため、マージャン店、パチンコ店、危険物などの製造工場、3000uを超える大型店舗などの建築は新たに制限する。

 東広島市は10月から、市街化調整区域での開発を可能にする地区計画の運用基準を施行した。「市街地形成誘導型」や「郊外住宅地誘導型」、「農村集落定住誘導型」など5パターンを想定。最低でも0.5ha以上の面積が必要で、建物の種類も一定の規制を行う。ただし、乱開発を防ぐため、地域住民主体で地区計画の原案を作成し、各権利者の全員同意を必要とする。

 岐阜県の都市計画審議会は10月6日、百貨店「岐阜高島屋」がある岐阜市日ノ出町2丁目地区の建築物容積率制限を緩和する都市計画決定を答申した。容積率が800%から1000%に緩和され、岐阜高島屋の1階から2階にかけての吹き抜け部分1800uを店舗にすることが可能となる。2003年にJR岐阜駅北と柳ヶ瀬通周辺の30uが国の都市再生緊急整備地域に指定され、規制緩和が可能となった。

 また、東京・千代田区は11月から、建築物の解体工事を行う際に、工事概要を記した標識の設置と近隣住民への事前説明を義務付ける要綱を施行する。80u以上の建築物の解体工事が対象。工事概要や現場責任者の氏名、連絡先を記した標識を工事開始の1ヵ月前までに設置する。近隣への説明は@高さ20m超で解体床面積3000u以上の建築物解体の場合は工事開始2週間までAその他は5日前までに開き、結果を区長に報告するよう義務付ける。(田中潤)


【関連記事】
建築物の高さ制限 条例や都市計画で実施」(2004/06/03)
江東区が建設中止求めたマンション、今も建設中」(2003/04/07)