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森林環境税を導入する自治体 増える

2004/10/05

 福島県は9月28日、2006年度から「森林環境税」を導入する方針を決めた。「県森林審議会」が中間とりまとめで、同税の必要性を提言した。持続可能な林業を支援するための森林ボランティアの募集や、森林保全の拠点施設整備などの施策を展開する方針。課税方式や課税額などは検討中だが、納税対象者が均等に年間1000円を負担している個人県民税に、数百円程度を上乗せする方式が有力。

 森林環境税は高知県と岡山県で導入されている。

 高知県は2003年3月、「森林環境保全基金条例」を制定。2003年度から県民税(個人・法人)に500円を上乗せした。税収は年1億4000万円を見込む。課税期間は5年間で、継続は改めて検討する。
 また、県は9月議会に、世帯主に限定してきた課税対象を2005年度以降、収入のある配偶者にも拡大するための条例改正案を提出した。課税対象となるのは、給与所得が年間93万円以上(高知市のみ96万5000円以上)ある配偶者。国が地方税法を改正したことに伴う措置で、5万5000人が新たに対象となるとのこと。

 岡山県は2003年12月、「森林の保全に係る県民税の特例に関する条例」を制定した。新税の通称は「おかやま森づくり県民税」で、2004年度から施行。新たに徴収する額は個人が年間500円、法人が現行の県民税均等割の5%に当たる4万〜1000円。年間で4億5000万円の税収増を見込む。税収は、間伐促進や森林整備の担い手育成などの事業費にあてられる。実施期間は5年間で、効果を検証して見直しを検討する。

 鹿児島県と鳥取県も2005年度からの導入を決めている。

 鳥取県は3月、「森林環境保全基金条例」を制定した。個人県民税及び法人県民税の均等割の超過課税方式で、個人は300円、法人は均等割額の3%相当額(600円〜2万4000円)が新たな負担となる。税収は1億円程度の見込み。森林環境保全基金に税収を積み立て 税収の使途が明確となるように管理する。

 鹿児島県は6月県議会で、「森林環境税条例」を制定した。県内に住む個人県民税均等割の納税義務者から一律年500円を徴収する。事業所がある法人県民税均等割の納税義務者からは、均等割額の年額5%を上乗せする。個人県民税均等割の年額は1000円から1500円となる。課税対象は個人56万人、法人3万1600社で、年間の税収見込みは3億4000万円。

 森林環境税の導入を検討している自治体も増えており、以下、その一部を紹介する。

 岐阜県は7月、森林管理の費用負担の在り方や森林環境税的な新税の導入の検討を始めた。県民税均等割超過課税方式が適当だとし、個人には現行の1000円に500円を、法人には資本金に応じ、2万円から80万円をそれぞれ超過課税する方式を軸に検討し、2004年度内にも結論を出す。試算では使途として考えられる山林整備やパトロールなどの活動経費が年間7億6000万円で、税収規模は5億5000万円とのこと。

 岩手県は8月、「森林づくり検討委員会」が森林整備の財源確保を目的に2005年度導入を目指している森林環境税(仮称)について、県民税に均等割りで上乗せする課税方式が適切とする考えを中間報告書に盛り込む方針を固めた。

 愛媛県は8月、森林環境税(仮称)の税制面と使途をそれぞれ協議していた「両検討委員会」が課税方式を「県民税均等割り上乗せ方式」とし、個人県民税では課税対象者に年額500円を上乗せすることなどを盛り込んだ素案をまとめた。法人は資本金に応じた現行税率に5%上乗せする。

 熊本県は9月、森林保全対策などの財源に充てる新たな法定外目的税「森林環境税」(仮称)について、2005年度からの導入を目指す考えを明らかにした。県民税の均等割分に個人、法人とも年間500円程度の税を上乗せする方針。個人県民税の均等割(年額1000円)と、法人県民税の均等割(資本金に応じて2万〜80万円)に、それぞれ500円を上乗せした場合、年間3億円の税収が見込まれる。

 滋賀県は9月、新たな森林づくりのための財源として、県民税に上乗せして県民個人や法人から徴収する案を、「森林づくりの費用負担を考える懇話会」に示した。既存の県民税徴収システムを利用して徴税コストが低く抑えられることから「県民税均等割超過課税方式」が適当と提案した。

 大分県は9月、「森林環境税制懇話会」で望ましい税制として県民税に一定額を上乗せする「県民税超過課税方式」を提案し、懇話会が了承した。個人は現行年額1000円に一律500円を、法人は年額に一律5%をそれぞれ加算する。年間の税収は2億9000万円になる見込み。(田中潤)