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自治体による防犯・監視カメラについての取り組み

2004/10/04

 10月3日付の北海道新聞によると、札幌市ではススキノに街頭監視(防犯)カメラを設置する構想が浮上しているとのこと。道警は2003年4月に、市の予算で20台の監視カメラを設置するよう求めたが、設置・運営にかかる数千万円の予算と、映像の管理・運営上の問題を理由に断ったが、女性を風俗店で働くよう勧誘するカラス族の規制を目的とした条例の制定を検討する市と道警の意見交換が始まり、道警側からカメラ設置問題が再び提起される見通し。

 以下、自治体による防犯・監視カメラについての取り組みを紹介する。

 兵庫県は2004年度から、防犯カメラを設置する商店街に対し、設置費用の一部を助成する制度を創設した。助成制度は1商店街で設置するカメラを10台と想定し、ビデオや非常ベルを含め費用の4分の1、上限100万円を支給。県は、各市町村にも同額の助成措置をとるように要請する予定で、実現すれば商店街の負担は半分となる。ただし、万引き防止などを目的とした店内カメラは対象外。また、管理責任者を定め、映像を犯罪捜査以外の目的で第3者に提供しないなどの規約を作ってもらう。

 板橋区は4月から、区自身が設置する防犯カメラの取り扱いや映像管理方法などを定めた「防犯カメラ運用基準」を施行。商店街などの設置に区が補助金を出す基準を定めた。基準は、「施設ごとに管理責任者を置く」「設置場所にカメラを置いたことを明示」など。「個人情報保護条例」に基づき、本人が映像開示を求めることもできる。

 富山県は5月、富山市の総曲輪通りに防犯カメラを設置。費用820万円の半額を国、県、市が補助し、半額は同商盛会が負担した。計20台のカメラが取り付けられ、24時間運用される。運用規定を設け、モニターテレビによる常時監視は行わず、映像は2週間分を保存し、事件などがあった際に映像を調べる。

 滋賀県は6月、県内の店舗や駐車場で設置が進む防犯カメラの運用に関する指針案をまとめた。すべての防犯目的のカメラ設置者を対象に、防犯カメラの運用責任者を決め、カメラの設置を利用者や通行人に知らせることなどを求めている。画像については「法令に基づく場合」「個人の生命、身体、財産を守るための緊急の場合」「捜査機関の要請」以外は提供を禁じ、2週間程度の保存後消去するとしている。

 杉並区は7月、「防犯カメラの設置及び利用に関する条例」を施行した。防犯カメラを設置する際、区長への届け出を義務付ける。対象場所は、鉄道の駅の自由通路、売り場面積が3000uを超えるスーパー、定員が500人以上の劇場など。これらの場所に設置する鉄道事業者や、自主的な防犯活動をする団体などに届け出義務が生じる。また、郵便局が道路上にカメラを設置した場合も届け出が必要で、日本郵政公社を届け出義務者に加えた。

 神奈川・厚木市は7月から、新たに市街地などに「ライブカメラ」を増設し、ITを通じてまちのカラー映像を24時間、生中継している(http://www.city.atsugi.kanagawa.jp/livecamera_new/)。災害時の情報収集が主な目的。カメラを設置するのは、市街地が市役所第2庁舎11階など3ヵ所。設置費用は1台50万円。ITで見る人が自らカメラの向きや倍率を捜査できる。プライバシーの侵害などの指摘もあるため、倍率は10以内に抑え、動く角度も制限する。市によると、「人の顔や車のナンバーは特定できず、録画装置もないので問題はない」とのこと。

 福岡・三橋町は7月、自転車・バイクの盗難が多い柳川駅の町設無料駐輪場に防犯カメラ2台を付け、モニターと録画装置を近くの柳川署西鉄駅前交番内に設置した。設置費用130万円のうち半額は、駅利用者の多い柳川市が負担した。カメラは24時間稼動。カメラ設置にあたり、町はプライバシーや肖像権の保護を目的とした運用規定を定め、画像データの提供は事件捜査に限り認めるとし、申請書の提出を義務付けた。画像は2週間程度で消去するとのこと。

 神戸市は8月、自治会などが道路上に防犯カメラを設置する際、近隣とのトラブルなどを防ぐためのガイドラインを策定した。道路法では、道路上に看板などの工作物を設ける際、市など道路管理者の許可が必要とされる。ガイドラインでは、取り付けを生活道路など設置する団体とかかわりのある地点に限定。安全通行のため歩道で2.5m以上の高さへの設置としている。また、カメラがあることを知らせる表示や、住民合意を示す書類の提出も求めている。使用料にあたる占用量は、自治会などの設置で収益性のないケースでは免除される。

 静岡県は9月、県管理の防犯カメラについての運用要領を決めた。「個人情報保護条例」を踏まえ、県の文化・教育施設や庁舎、公園などに設置した防犯カメラを対象に、「撮影区域ごとに管理責任者を置く」「画像の保存期間は原則として1ヵ月以内」などの項目が盛り込まれている。個人情報画像の利用と提供の制限や、第3者からの画像開示請求などについても規定された。(田中潤)


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