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路上喫煙に関する自治体の取り組み

2004/09/29

 埼玉・川口市は9月27日、JR駅周辺での喫煙を一部禁止する条例案を2005年3月議会に提出する方針を明らかにした。実施する駅や違反者への罰金、条例の期限などは今後詰めるとのこと。同市は2000年4月に、「飲料容器等の散乱の防止に関する条例」を施行。歩行中や屋外での喫煙には、携帯用吸い殻入れの利用を努力規定として盛り込み、たばこの吸い殻や飲料容器などを捨てた場合、2万円以下の罰金を科すとした。

 神奈川・逗子市は9月市議会で、「歩行喫煙禁止及び空き缶等投げ捨て防止等に関する条例」案を提出したが、継続審議となった。人通りが多く、喫煙が身体に害を及ぼすような公共屋外の場所を「喫煙禁止地区」、空き缶などの投げ捨てが目立つ地区を「美化推進地区」にそれぞれ指定。地区内で違反した場合には、いずれも2万円以下の過料が科せられる。ただし、例外として市が設置した灰皿のある場所での喫煙は認めるというもの。禁止地区には、逗子海岸などが予定されており、海岸が指定されれば、全国で初めてとなる。同市は1998年6月に、「空き缶等の散乱防止等に関する条例」を制定。罰金の規定もあるが、刑事罰のため手続き上の問題で実際に罰金を科した例はなく、実効性に乏しかったため、市長権限で科すことができる過料を検討していた。

 名古屋市は9月市議会に、「安心・安全で快適なまちづくりなごや条例」案を提出した。指定された地区では路上喫煙が出来なくなり、違反した場合は2万円以下の過料が徴収されるというもの。また、公共の場所や他人の建物などに落書きをした者に対し、市が勧告や命令、名前の公表などができ、空き地の雑草除去を所有者に対し指導や勧告もできる。

 東京・国分寺市は9月議会に、ポイ捨て防止や、駅周辺などに指定予定の路上喫煙禁止地区での路上喫煙を規制する「ポイ捨て等の防止及び路上喫煙の規制に関する条例」案を提出したが、13日の本会議で撤回された。

 千葉・柏市は12月市議会に、「ぽい捨て及び違反ごみ出し防止条例」の改正案を提出する方針。市内すべての公道での路上喫煙を禁止、吸い殻のポイ捨ても市内全域で禁止し、違反者からは1万円以下の罰金を徴収するというもの。同条例は1997年7月に制定され、柏駅周辺を「喫煙抑制区域」とし路上喫煙を防止してきたが、罰則を伴わない努力規定のため、十分な効果が上がっていなかった。条例改正により、同区域を「禁煙強化区域」に指定し、違反者に罰金を科すことで実効性を高めるのが狙い。

 以下、路上喫煙などに関する最近の自治体の取り組みを紹介する。

 千葉・市川市は4月から、「市民等の健康と安全で清潔な生活環境の保持に関する条例」(市民マナー条例)を施行した。JR市川駅、JR本八幡駅・京成八幡駅、東西線妙典駅、行徳駅、南行徳駅周辺を路上禁煙区域に指定。地区内の道路上で喫煙したとき又は吸い殻を捨てたときは、1万円以下の過料を科す。ただし、当面は2000円。

 千葉・松戸市は4月から、「安全で快適なまちづくり条例」を施行した。6月以降、JR松戸、新松戸両駅周辺を重点推進地区に指定。路上喫煙やごみのポイ捨て、犬や猫のふんの放置などの迷惑行為を行った違反者を発見した場合、口頭注意と書面勧告に従わなかった場合のみ過料1万円以下を徴収する。

 東京・府中市は4月から、「まちの環境美化条例」を施行した。市内全域での吸い殻などのポイ捨て禁止や、駅周辺の美化推進地区の一部に「喫煙禁止路線」を指定して路上喫煙を禁じる。禁止行為及び喫煙禁止路線で喫煙を行った者に対し指導・勧告を行うことができ、これに従わない場合は、5万円以下の過料を科す。

 鹿児島市は6月、「みんなでまちを美しくする条例」を制定。「公共の場所や他人の土地での空き缶、吸い殻などの投棄、飼い犬のふんの放置の禁止」「公共の場所で喫煙する場合、備え付けや携帯用の灰皿を使用すること」「飲料販売業者は、店舗の敷地内に、空き缶・瓶の回収箱を設置するなどの必要な措置を講じること」などを義務付けた。違反者には2万円以下の過料を科す罰則規定を設けた。また、重点的に吸い殻投棄防止を推進する必要がある地区を、市長が「路上禁煙地区」に指定し、歩行中の喫煙を禁止する。同条例は10月から施行されるが、「天文館通り」と「天文館G3アーケード」とJR鹿児島中央駅の地下通路を「路上禁煙地区」に指定した。

 千葉市は6月から、「路上喫煙等の防止に関する条例」を施行した。JR千葉駅東口から駅前大通り周辺の中心部8haを禁止地区に指定。同地区内で喫煙し、市職員から喫煙をやめるよう指導や勧告、さらに命令を受けても従わない場合には2万円以下の過料(当面2000円)が科せられる。

 東京・板橋区は7月、改正された「エコポリス板橋クリーン条例」を施行。区内全域で喫煙しないよう努めることを新たに義務付けた。10月からは成増駅周辺や上板橋駅周辺、大山駅・区役所周辺を「路上禁煙地区」に指定し、違反者には1万円以下の過料を徴収する。

 東京・千代田区は8月、「安全で快適な千代田区の生活環境の整備に関する条例」の対象地域を拡大し、「水道橋・神保町地区」と「岩本町・東神田地区」を加えた。皇居を除く区全域で、これまで40%だった過料徴収区域が、52%に拡大。神保町古書店街一帯も路上喫煙が禁止された。

 東京・武蔵野市は4月から、「ようこそ美しいまち推進事業実施要綱」を施行。吉祥寺地区の繁華街に路上禁煙地区を指定した。ただし、指定地区内には4ヵ所のマナーポイントを設置し、そこでの喫煙をお願いする。

 仙台市は6月議会で、「火災予防条例」を改正した。同条例は、劇場や映画館、売り場面積が1000uを超える百貨店、スーパーなど消防局長が指定する建物は、一定の喫煙所を設けなければならないというもの。改正により、事業者や施設管理者が標識設置や館内放送など必要な措置を講じれば、建物内をすべて禁煙にすることもできるようにした。(田中潤)


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