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市町村合併:町の要件緩和

2004/09/14

 宮崎県は9月定例会に、「町としての要件を定める条例」改正案を提出した。現行では、町となるべき要件として@人口5000人以上A中心市街地は550戸以上B第2、3次産業就業者が増加傾向にあるなどの6要件が定められている。改正案は、@村と村が合併する場合、人口5000人以上であれば、ほかの要件を満たしていなくても町を設置できるA町と町、または町と村が合併して新しく町を設ける場合は、6つの要件を満たさなくても町として認めるというもの。合併新法の期限が切れる2010年3月31日までの合併に適用される。県内では、北郷村、南郷村、西郷村、諸塚村が2006年1月に合併する予定だが、4村が合併した場合、1万人となり人口要件は満たすものの、役場が置かれ中心地となる予定の西郷村は260戸で550戸に足りない。さらに、第2、3次産業就業者も減少しており、町になる要件を満たすことができないので、4村は2003年12月、県に対して条例改正を陳情していた。

 以下、同様の条例を制定した自治体を紹介する。

 長野県は2003年10月、合併後の新自治体が町になるための要件を緩和するよう「町としての要件に関する条例」を改正。2005年3月末までの特例期間中であれば、すべての要件(6項目)を満たせなくても、町を含む合併は無条件で町になることができ、村だけの合併でも人口のみを満たせば町になることができるようになった。

 鹿児島県は3月、「町となるべき普通地方公共団体の要件に関する条例」を改正。「町を含む合併なら、要件を備えなくても町になれる」との特例条項を設けた。@人口5000人以上で戸数1000以上A中心市街地を形成する区域内に戸数500以上が連なるB必ず特定郵便局以上の通信機関があり税務署、公共職業安定所、支庁、警察署などの官公署が1つ以上あるなど8項目の要件がある。県内では、吉松町と栗野町の合併が実現しても、一部要件を満たさず「村」になる可能性があった。

 岩手県は6月定例会で、「町としての要件に関する条例」を改正した。町政施行している自治体が特例法の適用を受け他町村と新設合併した場合、人口1万人に満たなくても町制を認可。さらに村同士が合併した新自治体にも要件を適用せず、無条件で町制施行を認める。

 北海道は3月、町の要件を緩和して、2005年3月までに合併すれば無条件で町と認めるよう「町としての要件に関する条例」を改正した。合併特例法で、市については2005年3月までの合併に限り、人口3万人以上と規定し、市を含む新設合併なら要件を満たしていなくても市になれるとしている。だが、町についての要件はないため、1948年施行の道の条例が適用される。町の要件は、@人口5000人以上A市街地戸数が700戸以上B商工業などの従事者と同一世帯の人口が最近5年間で増加傾向にあるC交通機関や官公署、金融機関などが整備され、道内他町と比べ、遜色がないなど7項目あり、道内で合併協議を進める町と町、町と村などの組み合わせでは、町となれないケースも少なくなかった。

 反対に、北海道・蘭越町、ニセコ町、喜茂別町、倶知安町、真狩村による法定協は8月、合併特例法で定める「市制施行」の条件を満たしながらも、合併時にはあえて「町制」を施行することを決めた。5町村のエリアでは合併後も人口減少が続き、合併から20年後の2025年には2万6000人にまで落ち込む見込みのため、無理に背伸びせず身の丈にあったまちづくりを目指して、町制施行が望ましいとした。市制を選択した場合、1町村でも法定協を離脱すると人口が3万人を割って特例が適用されず、自動的に町にならざるを得ないため、残った町村に「あそこが抜けたから市になれなかったと非難されたくない」との思惑が働いたとみられる。さらに、市に昇格した場合に義務付けられる福祉事務所などの設置で、将来の財政負担が大きくなることも理由。(田中潤)