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教員の公募・自己申告制、広がる

2004/09/14

 群馬県は9月9日、県立校に5年以上勤務し、現任校に3年以上勤務する教諭を対象に、「教員人事希望表明制度」を2004年度末から導入すると発表した。各校は10月下旬ごろに公募内容を公開し、教員は12月上旬ごろまでに異動希望を現任校の校長に提出。異動希望教員の一覧表は公募校に通知され、県教委は公募校の校長の意見書を考慮して異動を実施する。

 長崎県も2005年4月の定期人事異動で、同一県立校に6年以上勤務した教員に異動先を1校に限って希望する権利を与える自己推薦制を取り入れる予定。県立校と盲・ろう・養護学校の教職員が対象。自己推薦書に得意分野や、教科指導・クラブ活動での指導実績などを記入、学校長経由で県に提出する。反面、学校長の裁量を拡大、同一条件の教員を留任させるよう教育長に申告できる制度も設けた。

 文科省の集計によると、4月現在で1都2府6県1政令市(東京都、京都府、大阪府、埼玉県、千葉県、奈良県、和歌山県、広島県、鹿児島県、京都市)が、校長の教育理念や学校運営方針に基づいて教員を公募する制度を実施しているとのこと。

 埼玉県は2003年度から、県立校の校長が学校の改善計画を公開し、教員を募集する制度を導入。14人が応募し、7人が配置された。

 千葉県は2003年11月、意欲や熱意のある教員を指定した高校へ優先的に送り込む「公立高校教員応募制度」を始めた。中退者の解消など課題克服に取り組む「自己啓発指導重点校」として2校、学力アップを目指す「進学指導重点校」として5校を指定。指定7校への応募の対象は、現任の公立高校に3年以上勤務する教員。第1条件は部活動の指導や進学指導などに意欲と実績のあることで、自ら希望するだけでなく現任校の校長の意見書や実績資料などを添えて提出。書類選考のうえ合格者は2004年度の移動時にそれぞれの指定校に配置する。

 京都市は2004年度、新規採用から10年以上経過し、在籍する学校で3年以上勤務した教諭に行きたい学校を選ぶ権利を与える「FA(フリーエージェント)制」を導入した。教諭が自分の得意分野や専門性をアピールし、受け入れを希望する学校長と直接話し合う。一度FA宣言を使うと6年間は再宣言できない。小学校から中学校へといった校種の違う学校間の移動もできない。2004年度のFA権を持つ対象者は、全教諭の6割で3100人。受け入れを希望する学校長との面談の結果、110人の移籍が成立した。

 鹿児島県は2004年度から、県立校教諭を対象に、新設校に配置する教員を公募。11人の応募者から7人を配置した。

 そのほかの教師の異動に関する自治体の施策を紹介する。

 宇都宮市は2004年度、県人事の枠組みの中で、小中学校の校長が打ち出す教育方針に賛同する教師を市内の他校から獲得できる新たな制度運用を導入した。対象は管理職を除く一般教員で、現在勤務する学校に3年以上勤務していることが条件。各校長が具体的な教育方針を打ち出し、その方針に基づいた募集要項を全小中学校に配布。募集要項を見た教員は、自己アピールを添えた文書を市教委に提出し、希望する学校を指名するというもの。現行の人事制度の中で、校長の裁量権を拡大して運用する。募集枠は各校1人。

 山口県は4月から、小学校教員3人を幼稚園に派遣した。「幼・保・小一貫指導」の先導者を育てる試みで、幼児期の教育について理解を深める一方で、小学校での指導のあり方を改善する。

 ちなみに、栃木・鹿沼市は1月から、自治体職員を学校に派遣している。市内の全小中学校31校を対象に、各部から推薦のあった市職員31人を派遣する「市役所の先生」事業で、パソコン、チームティーチングによる授業、水泳、環境学習、部活動など16項目を用意。指導内容や方法、期間などは派遣職員と学校側との調整の上で決める。(田中潤)