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退職金や給与を削減する自治体増える

2004/09/03

 大阪府は9月1日、2004年度から3年間で人件費削減などに取り組み、805億円の歳出を抑制する行財政計画改定素案を発表した。府の試算によると、府債残高が2004年度末で5兆円、累積赤字額は290億円だが、2007年度には1440億円に膨張するとのこと。歳出面では、3年間に職員を1000人減らしてボーナスをカットするなどで555億円を削減する。さらに、生活保護費の受給者に対する「もち代」廃止などで250億円を削減。
 また、大阪府は、職員の退職手当を分割払いする検討を始めている。高度成長期に大量採用した団塊の世代が退職年齢となり、2年後からは毎年1000億円以上の支給を迫られ、その時期が財政悪化のピークとも重なるのを受けてのこと。

 大阪・豊中市は3月、「退職手当条例」を改正。退職金の支払いについて、退職予定者に最高3回に分けた分割払いへの協力を呼びかける。退職金が2000万円を超える人は3回、それ以下の人は2回に分けて支払う。分割払いによる金利などの上乗せはない。

 退職手当以外にも職員の給与を削減する自治体も多い。以下、それらの取り組みの一部を紹介する。

 広島・三次市は2003年8月、全職員の給与を13%削減し、浮いた財源を時効で回収不能となった債権1635万円の穴埋めにあてる方針を明らかにした。だが、同市議会は10月、一般職員を削減対象から外すよう「市長等の給与の特例に関する条例」案が修正された。これにより、減額は11月から2ヵ月で合わせて、市長が給料1ヵ月分の30%、助役ら3役が同20%、24人いる課長が同18%で、総額は260万円。また、議員報酬も減額。減額は11月から2ヵ月で合わせて報酬1ヵ月分の10%で総額76万円とした。

 新潟・十日町市は2003年12月、2004年1月から15ヵ月間、市長ら4役の給与を減額するよう「特別職の職員の給与に関する条例」「教育委員会の教育長の給与、勤務時間その他の勤務条件に関する条例」を改正。3月には、一般職員給与を減額するよう「一般職員の給与支給に関する条例」を改正した。2004年度に限って実施する。4役減額分の180万円、職員減額分の1800万円、一般財源を合わせた3300万円を緊急雇用事業の財源とする。子育てや教育支援、公共施設の管理などの民間委託事業、障害者の雇用確保に充てるほか、市役所の退職者不補充に配慮して臨時職員採用も視野に入れる。

 青森・今別町は1月、3つの職員給与削減案から1つを選ぶため、全職員による投票を実施。@基本給2〜5%減、ボーナスに当たる期末勤勉手当一律35%減(年間1億1300万円削減)A基本給3〜6%減、ボーナス一律30%減(同1億900万円減)B基本給4〜7%減、ボーナス一律25%減(同1億400万円)の3案で投票を行ったが、過半数を獲得した案がなかったため、Bを除いた上位2案による決選投票を2月に実施し、@が選ばれた。

 宮城県は2月県議会で、「知事等及び職員の給与の特例に関する条例」を制定した。総額614億円規模で実施する「緊急経済産業再生戦略」の財源の一部に充当する目的で、県職員給料を2004年度から2年間、3.2%(総額84億円)を削減する。この条例制定をめぐって、知事が組合側との交渉を一方的に打ち切ったため、県職員3労組でつくる「県3者共闘会議」は9月、県に300万円の損害賠償を求める訴訟を仙台地裁に起こす方針。

 大阪・大東市は6月、一般会計の補正予算に「給与・報酬削減枠」を創設。市長や職員の給与などをカットして捻出した5502万円を、「スーパー防犯灯3基の設置」「公立の全23小中学校の正門をオートロック化する不審者進入対策」「若年者就業体験事業」「障害者雇用職域開発モデル事業」「市民1万人に対する健康意識調査」など6事業に充てた。

 福島・相馬市は6月、財政非常事態宣言を撤回。市が示した財政改善プログラムによると、2013年度までに130億円の歳入不足が見込まれるため、職員93人を削減するほか、基本給、ボーナス、退職金、各種手当などの10年間削減などを進める。

 富山・氷見市は7月、市単独で行っている市職員に対する給与削減について、2003年度と同様に5%程度を削減する方針を示した。市は2003年10月、人勧削減分(2.6%)に市単独分(2.4%)を上乗せして、職員給与を5%削減していた。

 なお、長野市では8月、2004年の大卒事務職員採用試験の受験者数(334人)が、同じ日に試験を行っている県の受験者数(325人)を上回ったことが分かった。2003年度から県の職員給与が5〜10%大幅に削減されたことのほか、組織改正条例案が否決されるなど、県の採用計画の策定が大幅に遅れたことなどが影響したとみられる。市は掛け持ち受験を防ぐ狙いで、県と同じ日に採用試験を行っているが、受験者数が県を上回ったのは「初めてではないか」とのこと。これまでは、ほぼ毎年、県の受験者が市の受験者を2倍ほど上回っていた。(田中潤)