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合併アンケートでも合併賛成が多数(4月中旬から5月)

2003/05/30

 4月中旬から5月までに、結果が公表された合併アンケートの数は40弱、そのうち合併の是非を問うアンケートでは、「賛成」が20弱と「反対」の10弱を倍近く上回る結果となった。
 アンケート数では、3月から4月中旬にかけて(2003/04/19の記事参照)とほぼ変わらない結果となった。3月から5月にかけて公表されたアンケート数は約80で、1月から2月にかけて公表されたアンケート数の約100(2003/03/10の記事参照)と比べて、アンケートは減少傾向にあることが明らかになった。4月に統一地方選が行われ、合併が争点となった地域では、それが合併アンケートの代わりを果たしたことも考えられる。

 この1ヶ月半で合併アンケートを単独で実施した自治体は、金ヶ崎町(岩手県)や秋田市、大東市(大阪府)、砥部町(愛媛県)など全体の約85%。根上町・寺井町・辰口町合併協議会(石川県)や六日町・大和町・塩沢町(新潟県)など複数の自治体が協力して実施したアンケート数は全体の約15%。

 合併自体の是非や法定協設置の是非を問う形のアンケートは全体のおよそ半数。枠組みを問うのは5分の1。是非や枠組みの両方を問うのは4分の1となった。

 橋本市(和歌山県)では20歳以上の全市民を対象に市民意向調査を実施(回収率50.9%)。伊都郡4町1村との合併について、「賛成」8.4%、「どちらかというと賛成」15.6%、「他の組み合わせなら賛成」4.1%、「どちらかというと反対」26.9%、「反対」28.5%となり、「反対」が「賛成」の2倍以上という結果になった。市長は「この結果を踏まえて判断する」としており、市議会でも反対派が多数であるので、現在の枠組みでの合併は困難な模様。

 栗原地域8町村(宮城県)では20歳以上の住民約6万人を対象に住民意向調査を実施(回収率92.3%)。合併特例法の期限である2005年3月までの合併について、「必要」が23.6%、「どちらかといえば必要」が13.7%、「必要と思うがよく検討したほうが良い」が36.9%、「必要ない」が8.1%、「どちらかといえば必要ない」が13.5%となり、期限内の合併を望む声が7割を超えた。栗原地域では7月に法定協を設置する予定。

 瀬戸町(岡山県)では18歳以上の町民を対象に意識調査を実施。中間集計で、合併の枠組みとして「赤磐郡」が52.7%と、「岡山市」の44.9%を上回る結果となった。それを受けて瀬戸町は5月23日、岡山市と周辺市町で構成する「県南政令市構想(北部地域)研究会」から脱退することとなった。

 南河内町(栃木県)では全有権者1万5610人を対象に合併アンケート調査を実施(有効回答率37.05%)。合併に「賛成」は66%、「反対」は12.1%となり、合併に賛成の声が多いことが明らかとなった。枠組みでは、宇都宮市を中心とした「1市8町」が32.1%、「石橋、国分寺との3町」が22%、小山市中心の「1市3町」が18.3%、「近隣の5町」が16%と続いた。町長は5月26日、「(南河内を含む石橋、壬生、国分寺、上三川の)5町合併を視野に入れつつ、近隣自治体のできるところから対等合併を進めていきたい」と方針を表明した。

 榛原町(静岡県)では18歳以上の町民を対象に「市町村合併に対するアンケート」を実施(回答率53.5%)。合併について「関心がある」が77%となり、その必要性についても「必要」「どちらかといえば必要」の意見があわせて68%を占めた。枠組みは、「榛南3町」が38%、「1市7町」が17%。榛南3町は3月、島田市に対して金谷町・川根町・中川根町・本川根町も含めた1市7町の枠組みでの合併協議を再検討するよう求めていたが、島田市は「時間的に難しい」と回答していた。

 なお、アンケートの結果と自治体の意向に明確なズレが見られたケースは玉村町(群馬県)のみ。

 玉村町では5000戸を対象とする「市町村合併に関するアンケート」を実施(回答率51%)。「関心がある」「ある程度関心がある」が計約86.0%、このうち「合併を進めるべき」「どちらかというと合併を進めるべき」が計約52.4%となった。枠組みについては「伊勢崎市方面」が47.1%で最も多く、「高崎市方面」が29.1%、「前橋市方面」が13.5%。町長は広域圏合併に反対を表明しているが、「伊勢崎市方面」(伊勢崎、赤堀、佐波東、境)を望む町民の声が最も多いことから、町と町民との間にズレがあることが明らかとなった。

 合併の是非や枠組みではなく、合併後のまちづくりや合併で期待することなどを問うアンケートは全体の10%弱。

 桐生市(群馬県)では18歳以上の市民3000人を対象に「市町村合併市民アンケート」を実施。「合併で期待する効果」は、「職員や議員の削減による経費節減」が複数回答で66.1%、「人口減と少子高齢化の緩和」が43.2%と続いた。

 根上町・寺井町・辰口町では18歳以上の住民各1500人を対象に合併に関する意識調査を行った。行政サービスの現状に対しては、「保健・医療体制」「各種福祉対策」「環境対策」について、「満足」「やや満足」が30%以上だったのに対して、「商工業」で49%、「情報通信」で45%、「観光」で36%が「不満」「やや不満」と回答、産業などの立ち遅れを指摘する声が多かった。
 合併に期待する点では、「公共料金などの負担の軽減」が35%、「人員削減など行政の効率化」が20%、「3町の個性を生かした相乗的なまちづくり」が13%となった。
 それに対して、合併に対する不安では、「公共料金の格差是正による負担増」が27%、「行政区域が広くなり、サービスがまばらになる」が21%。

 海南町、海部町、宍喰町(徳島県)では3町の全住民4739人を対象に合併アンケート調査を実施(20.4%)。合併後のまちづくりへの期待については「保健・医療・福祉の充実」が69%、「若者が快適に住み続けられる」が45%で、最も少なかったのが「地域の歴史や伝統を生かす」の8%。合併後の不安については「税金や公共料金など住民負担の増加」が67%、「(庁舎を置く)中心地域と周辺地域での(行政サービスの)格差」が60%となり、合併後の福祉に期待しながらも行政サービスの地域格差に不安を抱えていることが明らかとなった。(田中潤)