1 総会議事
特区推進会議の代表選出まで、恒松制治行革国民会議代表を仮議長とし、並河信乃行革国民会議事務局長が進行役を務めた。
(1)規約、活動計画、予算
事務局から特区推進会議設立に至るまでの経緯を簡単に説明した後、議事に入った。
@ 規約
参加者から、名称については、a案「特区推進会議」、b案「特区戦略会議」の2案が、また、構成メンバーについてはa案「特区に関心を持つ市区町村長」、b案「特区により地域の自立を志す市区町村長」の2案が出されていたのでその選択を諮ったところ、いずれもa案についての賛成が多かったため、a案を採用することとなった。その他の項目は、原案通り承認された。
A 活動計画、予算
事務局から、原案について、発足前であるために活動計画や予算については大まかな案とし、随時見直していきたいとの説明を受け、原案を承認した。
また、事務局から、企画委員会やテーマ別委員会のほか、参加者からは地域別の委員会を設立すべきだとの意見も寄せられているとの紹介があり、必要に応じ地域別委員会などもつくることになった。
(2)役員人事
会の代表については、沢田秀男横須賀市長から、パイロット自治体会議、市町村主権フォーラムの代表を務めてこられた榛村純一掛川市長を推す提案が出され、満場一致でこれを承認した。
その後、榛村新代表から挨拶があったあと、副代表や監事の人選は代表に一任ということになり、総会議事は終了した。
次いで、滑川雅士内閣官房特区推進室長から、以下のような説明があった。
2 滑川雅士 特区推進室長説明要旨
今日お集まりの市区町村長の方々はすでに特区に対するご提案、あるいは具体的に特区計画の認定を受けられた方々がかなり多いので、細かいご説明よりもこれから特区をどのように進めていくのかについて、簡単にご紹介をさせて頂きたい。
@ 特区の期間
この法律は恒久法であるが、5年間やってみたうえで所要の見直しを行うということになっている。また、特区認定は5年全部ではなくて4年余りとなっており、特区の認定を受けたあとでその期間、活動して頂くということになっている。
5年間という法律の期間のなかで、どれだけ具体的な効果(ひとつは規制改革の全国展開に向けての入り口としての効果、もうひとつは地域の活性化についての効果)が挙がっていくのかをみながら、この法律の全体の動きを考えるということになっている。私どもとしては、こうして5年間はきちっとやっていき、そのなかで評価も行いながら、その後、この方法がいいのか、あるいはさらに良い方法があるのかを議論していただこうと思っている。この推進会議の活動期間はとりあえず3年ということであるが、そうした期間にわたって、皆様方から応援を賜れればありがたい。
A 特区と市町村合併
合併が進んでいるなかでの特区の作り方については、ひとつひとつ具体的にご相談していきたい。特区そのものの区域はかなり自由な作り方をしており、市区町村がベースになっているケースが多いが、市区町村のなかの特定の地域という申請もあれば、逆に複数の市区町村にまたがって特区が設定されるというケースもある。合併によって市区町村の名前が変るとか、特区の地域範囲が変るなどの事態が生じた場合には、計画の一部変更していただくことになるが、そうした形で申請頂ければ推進室としてはそれに対応して参りたい。
B 特区の進捗状況
昨年末に第1次の規制緩和項目をもとに特区法という形にまとめ、これに基づいて今年の4月、7月の2回にわたって特区の認定申請を受けた。4月の申請については4月に第1弾、5月に第2弾、合わせて117件の特区を認定を行い、現在7月の認定申請(49件)に対する認定作業を進めているところである。
第2次の特区規制緩和項目については、今年1月に提案を締め切り、2月に推進本部で決定したものを、5月に法律改正(特区法の改正)という形でまとめている。どぶろくとか学校に対する株式会社の参入などという項目が含まれているが、これについては10月に認定の申請を受け付けることにしている。10月以降は第2次規制緩和項目の入ったもの、より多くの規制緩和項目、特例項目をご利用頂いた形での認定の申請を受け付けさせて頂き、それを認定していくという作業を進めていきたい。
今、6月の第3次の提案募集の結果を関係省庁と調整をしているところで、9月に本部決定をしたうえ、年内に(どういう形で国会が開かれるのか分からないが)国会に特区法の改正案を提出し、ご審議頂くよう準備を進めていく。
さらに、規制緩和項目については年に2回程度提案を頂き、それを特区に関する特例として追加をしていきたいと考えており、今年の末、11月くらいに特区の第4次の提案募集を考えている。
C 特区の活用状況
これまで、どのようなものが特区として活用されているのかというと、4月の申請の中ではいわゆる産学連携関係の特区というものがかなり多く見られた。今回の7月の申請受け付けを合わせてみると教育関係の特区の申請が増えてきている。特区の特例項目の使いやすさというものがそれぞれについて違いがあるのかもしれない。
地域の活性化に関しては農業関係の申請がいろいろ出され、市民農園開設者の範囲の拡大をかなり申請を受け認定した。また、株式会社の参入についても申請が行われ、地域の活性化、地域間交流の高まりのために利用されつつある。
これからは、どぶろくなどさらに地域の特性を活かし、交流に貢献するような特例項目も出てくる。また、学校分野への株式会社参入も出てきて、さらに広がりが出てくることを期待している。
いずれにせよ、特区の認定申請は4半期に1度程度進めていくつもりであるし、年に2回の提案受け付けもしていきたい。皆様方からもよいアイデアを出して頂き、また出てきた特例につきましては積極的にご活用頂きたいと思う。
D 財政措置について
財政措置については、特区法にもあるように、新たな財政措置(税制も含まれる)を要するものについては特区提案として受け付けないということで、「F」というマークを付けている。
しかし、財政関係ということでも、たとえば新しい人が参入をする際に、これまでの既存の方々と同等の扱いを受けるところまで援助することは必ずしも新たな財政措置ではないのではないか。そうした部分については、それぞれの担当の各省に対して、イコールフッティングという考えから規制についてさらに検討してほしいということで議論をしている。つまり、新しい補助金をということではなく、こうしたイコールフッティングという考え方から、規制改革によって実現した参入者に認められていないということがあれば、遠慮なく提案していただきたい。
基本的には特区の特例というのは、その他の事情は変わらないということが前提である。その他の事情というのはすでに全国で行われている制度、あるいは補助・支援が変わらないなかで、特区についての特例が導入されるというのが基本的な考え方であるので、そうした意味でひとつひとつご検討いただければありがたいし、私どももそういう形での作業を進めて参りたい。
E 特区の評価作業
評価作業については、具体的には来年には始めて評価の結果を出す。全国に拡大できるものについては全国に規制の特例を拡大し、特区として引き続き進めるものについてはさらに特区での活用あるいは経験を積んでいただく、そして特区でうまくいかなかったものについては改めるという作業をする予定である。その際、具体的に進められている事例をひとつひとつ見せて頂き、いろいろ話をうかがいながら作業をしていくことになると思うので、これから具体化あるいはさらに深め方ということについてご努力いただければありがたいし、その過程でいろいろな課題、解決すべき問題などがあれば、私どもの方にいろいろな形でご教示頂ければありがたい。
3 林芳正自民党特区特命委員会事務局長(参議院議員)挨拶要旨
さらに、来賓として出席された林芳正自民党特区特命委員会事務局長(参議院議員)から、次のような挨拶があった。
特区の推進に関して、こうした市区町村長の会ができたということは大変喜ばしいことだと考えている。
特区特命委員会というのは、特区法をスムーズに検討するために麻生政調会長の発案で横串で検討するためにつくられたもので、ほかにもデフレ対策とか3つか4つか例がある。つまり、法案をそれぞれのパートに分けて審議いたしますとなかなかまとまらない。それぞれの部会は専門家(マスコミ的にいえば族議員)が沢山おられて、ひとつずつクリアしようとするっと通るものも通らないことになる。そこで、昨年夏ごろに構造改革特区の特命委員会をスタートさせて、一括して特区についての審議を行うことになった。委員長は野呂田衆院議員であるが、本日はそのご名代として出席させていただいた。
特命委員会の立ち上げの際には、一番問題となるだろうと思われる分野、つまり農林水産、厚生労働、文部科学といった分野の専門家に特命委員会の役員として入ってもらい、問題があると思うことについては特命委員会のなかで何度も議論をさせて頂き、なるべく外で文句を言われないようにした。特区法案の了承を党からとるために、政審、総務での説明は私がやらせていただいたが、本来ならば一言あるはずのお歴々が、皆、この特命委員会での議論に参加されておられたため、比較的すんなりと党内の承認を取ることができた。一方では、この特命委員会での審議で最初出された案よりも小粒になったのではないかというものもあるが、各部会でそれぞれ審議することにくらべれば、すんなりといったといえるのではないかと思う。
規制改革には総論賛成・各論反対といったことが多いが、是非皆様方の力で各論を実現させて頂きたい。実は、それぞれの分野で、この規制改革についてはやりたくないが自分のところの市長が賛成しているから改革には賛成するという方がずいぶん増えてきており、賛成と反対が拮抗してきた。
これまでは、規制する側が問題が起こったら大変だということで反対してきたが、実際にはやってみなければ分からない。そこでこれからは、責任を持ってやろうという自治体に特区でやってもらい、問題がなければ全国展開していくということになると思う。その際、ここにいる構造改革特区推進会議の皆様方がノウハウを共有して、横のつながりを持つことはありがたいことで、是非ともこの制度に魂を吹き込んで頂きたい。
【質疑応答】
次いで、会場からの質問に対し、以下のようなやりとりがあった.
質問:特区担当大臣と各省大臣とはどういう関係なのか。また、都道府県が障害になっているケースがあるが、どう思うか。
答(檜木・特区推進室参事官): 特区担当大臣というのは2つの顔がある。ひとつは規制改革について提案を受けて各省大臣と交渉する内閣官房の大臣としての顔。もうひとつは、内閣府の大臣として、計画の認定をする大臣という顔である。規制改革を行う大臣というのは、総理の命を受けた担当大臣であるが、所掌上、他の大臣に対して何らかの指示をするということはできない。この点については国会でも大臣は何度も質問されておりますが、大臣の答えは「権限があろうがなかろうがやる」ということである。大臣が皆様からの提案を宝物のようにして各大臣と交渉するという姿勢である。
もうひとつの内閣府の大臣としての大臣とは、特区の認定にあたって、皆様から計画に対して各省から同意を得る必要があるが、これについては特命担当大臣は他の大臣に対して勧告が出来るし、勧告に従わない場合には総理に対して意見具申ができるという権能が法律上担保されている。たとえば、皆様からの計画に対してどこかの省がこの計画は駄目だといった場合、なぜ駄目なのだといって勧告したり、それについて意見具申する権能がある。
特区担当大臣にはこうしてふたつの顔があり、若干性格が異なるが、うちの大臣は委細かまわずやると申されている。
都道府県が障害になるというの問題は、対応が難しい。県はヌエ的存在で、市町村から国の方に文句をいうと、それは県の問題だということになる制度がある。だからといって、国が県に対して、こうやれと指図するのかどうかということがあり、非常に難しい。
たとえば、文科省の分野で、小学校や中学校の設置基準は国の方は割合自由なのに、県の方が非常に重たくやっているところについては、文科省の方から、そういうことではなくてもっと緩やかなものにしろという通達を実際に出してもらったということもある。いろいろ国の方でもやりようがあると思うが、基本的に自治体の自由をどこまで尊重して考えていくかという問題も一方にはある。本当に県の規制というものが難しければ、小学校や中学校の設置基準のように国から何らかの指導をすることもあり得るが、そうなると自治体に対する国の関与が強くなるという問題が発生する。規制緩和ならば関与が強まってもいいではないかと割り切ることもあるかと思うが、関与は緩和の方向だけとは限らないので、難しい問題をはらんでいる。
質問:土地問題についての規制(開発規制、農業の規制)緩和がほとんど採択されていないが、土地規制に手を付けないと経済再生には結びつかないのではないか。提案はみなD、つまり現行法でできるといわれているが、実際には補助金が出ているから30年間はだめだと農水省は言っている。
答(自民党林事務局長): これまで特別区域を設ける制度は、新産・工特の時代からいくつもあったが、補助金とか無利子融資とか金銭的なメニューを用意したため、予算の制約を受けて1年に5つとか6つしかつくれなかった。今回は、それはやめよう、規制緩和だけでやるので、しっかり計画を作ってくれれば数はいくつでも出来ることになった。
今のお話は、その「はざ間」にあるような問題のようだ。補助金が出ていても、補助金の目的が達成された後に何かやるのならばいいのですが、まだ補助金を出した目的のことをやってもらう途中で新たに何かするという問題だと思う。
農地に関する問題は議論したのだが、農業に関する参入は結局リース方式だけになった。これも今後うまくいけば、タテ、ヨコに広げていきたい。タテ・ヨコというのは、参入する主体の範囲をもう少し広げるとともに、その参入方法もリースから購入にまでいくことである。
そこの地区の方(たとえば農協)と首長との間で話がつけばいいのではないかということも含めて議論は大分やったが、その地域だけのことで済むのか、影響がどうなるのか分からないということもあり、かなり狭い風穴しか開かなかった。したがって、狭い風穴で成果をあげて頂ければ、次のステップに進むということになるかと思うし、そのために評価委員会を作ったわけである。
したがって、その地域での合意が出来,また,財政上の問題もクリア出来ていれば、次のステップに進むことになると思う。毎年、新しいメニューを受け付けることになっており、これで終わりでこれ以上メニューを増やさないということではないので、折角あいた風穴が是非大きくなるように、それぞれのところでご努力いただきたい。
4 榛村 新代表発言要旨
この会のよびかけを行うにあたり、なぜ市長会でやらずに行革国民会議でやるのかという質問をいくつか受けた。私は、市長会というのは「機関である市長」のあつまりであるが、今度の会は「実在である市長」の集まりだと考えている。市長会は全国の市を代表するところであるから中央省庁とケンカはしないが、ここは教育や土地利用などそれぞれの専門専門で一家言のある首長の集まりであるから、中央省庁とケンカも辞さない。つまり、機関説と実在説の違いだと思う。こういう説明をしたら、「なるほどわかった」と言って参加したひともいれば、参加しなかったひともいた。
また、人口3000人で合併しないで頑張るというところの首長さんが、「合併しない特区」というのを認めてくれないかという話をされた。そういうところを特区にして頑張ってもらうというのも,ひとつの考えかもしれないと思った。
なお、土地利用の話が出されたが、農水省はいまだに土地の利用権ではなく所有権にこだわっている。農協も森林組合も所有者の団体だが、それを利用し,経営する団体に改めなければいけない。また、川の下流の住民が上流に水源税や環境税を支払うように、土地もそれを活用する立場からの取り組みもある。今後は、土地は所有権と利用権、活用権の3つに分けないと政策論として成り立たないのではないかと思うが、特区で農地関係がいろいろ出されながらスッキリしないのは、農水省でこの辺の整理が出来ていないからだろう。
5 鴻池特区担当大臣の挨拶
次いで、鴻池祥肇特区担当大臣を交えての立食形式の懇談会に移り、冒頭、鴻池大臣から以下のような挨拶があった。
今日は本当に嬉しい限りである。特区推進室30数名が、真槍と太刀を構えている各省に木刀と竹光で切り込んでいるわけであるが、そこにこのような有力な自治体の首長さん方が集まってご支援いただけることになり、こんなにありがたいことはない。お礼を申し上げる次第である。
特区は既に117認定され、また,近々40ほど認定することになる。こうした特区が全国で元気よく活躍していくことになれば、日本も活性化していくことになる。また、近々評価委員会を立ち上げるのも、しっかりやっているかどうかをチェックするという発想ではなく、面白そうなものは多少具合が悪いことがあっても、これは面白いと声を大にして100倍くらい誉めちぎり、全国に広げていくためである。前の三重県知事の北川さんにも加わってもらったのは、声が大きいところを買ったためである。したがって、そうした声にみなさん方もぜひ呼応していただきたい。
政局はあわただしさを増し、9月20日位で私の賞味期限も切れるかもしれないが、そのあとも引き続き情熱をもって取り組んでいくつもりである。なにか、お別れの挨拶みたいになってしまったが、「中央から地方へ、官から民へ」というスローガンをみなさんとご一緒に今後ともしっかり実行していきたい。
本日はどうもありがとうございました。
−了−
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