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パイロット自治体会議から特区制度推進会議への経緯
2003.8.6
行革国民会議事務局
2003/08/27
(以下は、設立総会の席上で事務局から説明した設立までの経緯の概略である。なお、添付の資料(パイロット自治体から特区制度までの経緯)も参照されたい)

パイロット自治体制度の提案
 行革国民会議の発足は1983年である。これは土光臨調(第2次臨時行政調査会)が解散するにあたって、土光臨調に参加した民間委員が中心となって、さらに行革の議論を深めていこうとするためであった。特に、官僚(とくに大蔵省)主導の改革にあきたらず、本当の行政改革を実現していこうというものであった。
 こうした発想にたって国民会議は民営化や情報公開などの課題に取り組んできたが、特に地方分権については議論を積み重ね、1990年11月には「地方主権の提唱」を発表した。それはちょうど第3次行革審(会長鈴木永二氏)が発足した1ヵ月後のことであった。
 第3次行革審は91年に「豊かなくらし部会」(部会長細川護煕氏)を発足させ、地方分権の問題を取り上げることになったが、その部会には恒松制治国民会議副代表(当時。現在は代表)や並河信乃国民会議事務局長も参加し、そこでの議論の結果、パイロット自治体制度の構想を打ち出すことになった。
 パイロット自治体制度(地方分権特例制度)は92年12月の閣議決定を受け、94年4月から5年間の時限措置として実施された。第1次指定は20市町村、第2次指定は19自治体と制度の貧弱さに比べればまずまずの応募状況であったが、法律改正を要しない範囲での実験では十分なことができなかった。また、都道府県が極めて抑圧的な対応を示したりするケースも散見され、さらに自治省(当時)も中核市などの構想には熱心であっても、民間の発想によるパイロット自治体制度にはきわめて冷淡であった。

パイロット自治体会議の設立
 国民会議では、パイロット自治体制度を提唱した自負心と責任感から、なんとかこの制度に応募が増えるよう、また、この制度が利用しやすいものになるように努めてきたが、制度が発足する直前の94年1月に自治体の首長有志による「パイロット自治体会議」を結成した。「自治体会議」の設立当初のメンバーは、宇都宮、岡山、掛川、柏崎、釧路、高知、鷹巣、高松、田川、天童、徳島、松江、真鶴、三鷹、三原の各自治体首長で、榛村純一・掛川市長が代表に就任した。自治体会議は総務庁担当者との意見交換やお互いの情報交換などを行ってきたが、分権の議論の中心は地方分権推進委員会における機関委任事務の廃止問題などに移ってきたため、パイロット自治体会議での議論も次第に地方分権推進委員会の委員との懇談会などに変わっていった。

地方主権フォーラムへ改組
 パイロット自治体制度は1999年3月末で5年間の実験期間を終え、終了した。小学校などの空き教室の活用などいくつかの実績はあげたものの、さしたる成果は上がらなかったというのが一般的な評価である。傘下自治体の意見を聞いても、最大の成果は職員の意識改革であったというものが多い。市町村が霞ヶ関を相手に回して政策実験に取り組むということは、かなりの勇気が必要であり、それに挑戦したところとしなかったところとの違いは大きい。
 パイロット自治体制度の終焉に伴い、「自治体会議」も解散することを検討したが、地方分権一括法案が閣議決定され、翌年から実施される状況のもとで、地方分権の実験に取り組んだものが静かに旗を巻いて退場するのもいかがなものかという議論もあり、99年6月、市町村主権フォーラムという名前で再出発することにした。再出発当時のメンバーはパイロット自治体会議に途中から参加したところも含めて、大垣、各務原、掛川、鎌倉、桑名、鯖江、鷹巣、田川、彦根、藤沢、三鷹、柳井、横須賀である。

特区推進会議の設立
 市町村主権フォーラムは内部に財政研究会を設け、2000年12月には市町村の立場からの税源移譲問題の試案を発表するなどの活動を行ってきたが、2002年になって特区制度が急浮上したことに伴い対応を協議した結果、パイロット自治体からのいきさつもあり、この問題には積極的にかかわるべきだということになった。
 その後、メンバー間で意見を交換した結果、主権フォーラムは解散し、新に特区問題を専門に扱う会議を設けることになった。具体的にはフォーラムのメンバーである掛川・榛村市長、沢田・横須賀市長、河内山・柳井市長が中心となって、新たな会議への参加を多くの自治体に呼びかける「呼びかけ人」をお願いして回ることになり、6月には以下の方々が「呼びかけ人」に就任された。
阿部 孝夫(川崎市長) 石田 芳弘(犬山市長) 小川 勇夫(相模原市長) 小川  敏(大垣市長) 小澤 良明(小田原市長) 河内山哲朗(柳井市長)  北脇 保之(浜松市長) 沢田 秀男(横須賀市長) 清水 聖義(太田市長) 榛村 純一(掛川市長) 末吉 興一(北九州市長) 西寺 雅也(多治見市長) 萩原 誠司(岡山市長) 穂坂 邦夫(志木市長) 細江 茂光(岐阜市長) 松浦 幸雄(高崎市長) 松尾 徹人(高知市長) 恒松 制治(行革国民会議代表)

 特区推進会議への呼びかけは、上記呼びかけ人の連名で特区制度に提案されたところ、特区に認定を申請されたところにはすべてご案内を出し、また、それ以外でもこうしたことに関心をお持ちだと申し出られたところにもご案内状を出した。その結果、8月6日の設立総会までに参加を申し出られた自治体の数は86自治体(5村10町2区69市)になった。
以上