東京・新宿区は9月区議会で、ワンルームマンション新築時に、高齢者向けにバリアフリー対応を義務付ける条例案を提出する方針。2004年4月施行を目指す。専有面積29u未満のワンルームタイプが30戸以上あるマンションが対象で、そのうちの1割を手すりの取り付けや床の段差をなくすなど高齢者対応の部屋にすることを義務付ける。そのほか、管理人室や緊急通報システムを設置し、敷地内に1台以上の駐車スペースを確保する。
不動産情報サービスの東京カンテイの調べによると、東京都区部の2002年の新築ワンルーム供給戸数は6123戸。2001年は5545戸、2000年は4522戸と増加傾向にある。それでも、新宿区のように高齢者向けにワンルームマンションを規制する動きはまれで、都内では単身者のマナーの悪さなどが問題で規制をかける動きが目立つ。
渋谷区は7月、「ワンルームマンション等建築物の建築に係る住環境の整備に関する条例」に基づく改正規則を施行。建設時にごみ保管所の届け出を義務付け、「可燃」「不燃」「資源」の分別徹底を求めた。
中央区は7月、「中央区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例」を施行。10戸以上の共同住宅で、専有面積40u未満の住戸の合計面積が、建物全体の3分の2以上になる集合住宅については、建築できないようにした。新築マンションの容積率を上乗せする特例も、ワンルーム住戸の部分は算定から外す。
千代田区では6月、岩本町1丁目会が住民主導による、ワンルームマンション建設を規制するガイドラインを作成。専有面積30u以下のワンルームタイプが5戸以上、2階建て以上のマンションが対象で、建設計画について町会と事前協議し、ガイドラインの内容を守る覚書を取り交わす。「町の景観上、販売活動の張り紙や看板の設置をしない」「入居者が町会に加入して町会費を納めるようマンション管理規約に定める」「入居者がごみ出しルールを守らない場合、管理組合や管理会社、建築主が責任を持って対応する」などを定めた。
また、同区は1月に「ワンルーム形式集合建築物に関する指導要綱」を改正しているが、同町会内で建設計画がある場合、区は建設事業者との事前協議の際、町会のガイドラインを紹介して配慮を求めていく。
豊島区で検討されている「ワンルームマンション税」構想については、9月末に大学教授や弁護士などで構成する「区法定外税検討会議専門委員会」が最終報告を提出する予定で、同区の判断が注目されている。
似たような例として、蔵造りの街並み周辺地域のマンション建設を抑制する埼玉・川越市の「マンション税」、市中心部の景観保全のため、町家などの維持・改修の財源に充てる京都市の「まちなみ税」の創設が検討されている。(田中潤)
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