東京・中央区では、7月からワンルームマンションの建築を制限する「中央区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例」が施行される。日本橋や、銀座、月島などの15地区で、整備計画の内容を変更。10戸以上の共同住宅で、1戸の専有面積が40u以上の住戸の合計面積が、建物全体の3分の1に満たない集合住宅は、建築が認められなくなる。 不動産情報の東京カンテイによれば、2002年1月〜9月までの首都圏の新築ワンルームの供給戸数は4037戸で年間では6000戸を超える見通し。昨年は5545戸、一昨年は4522戸と1995年以降徐々に拡大しているとのこと。 中央区でも98年以降人口が増加し、投資目的のワンルームマンションも増えた。だが、ワンルームマンションに入居する単身者は地域コミュニティの参加に消極的で、「定住人口の維持回復」を目指す中央区にとって問題となっていた。
単身者はゴミ出しのルール違反など居住マナーも悪いので、東京都内の他の自治体でもワンルームマンションに関する規制を強化している。
渋谷区では1月から「ワンルームマンション等建築物の建築に係る住環境の整備に関する条例」を施行した。1戸の専有面積を18u以上として、駐車場や駐輪場、ゴミ置き場の併設を努力義務とした。また、ファミリー向けも併設。管理人室も配置し、常駐管理人もなるべく置く。違反事業者は最終的に社名を公表する。
世田谷区では2002年4月から、「世田谷区建築物の建築に係る住環境の整備に関する条例」を施行。1戸の専有面積を25u以上とし、管理人の常駐義務も盛り込んだ。
千代田区では2002年12月に指導要綱を見直し、マンション建設後も管理会社が居住者のゴミ出しや違法駐車、住民登録、地域コミュニティの参加などを継続的に状況報告することを求めた。
豊島区では2002年2月にワンルームマンション新税を打ち出した。建物が3階以上で、床面積が25u以下の部屋が15戸以上かつ総戸数の3分の1以上ある新規建築のワンルームマンションには、1戸あたり50万円程度の税金を建築主に課税するというもの。期間5年間の法定外目的税で、年間3億3000万円の税収を見込む。 2003年度の導入を目指していたが、「ワンルームマンションの新築は土地の有効利用であり、公共部門が介入すべきではない」という意見もあり、現在調整中の状態。
単身者の住む場所は、徐々に限られていく傾向にある。(田中潤)
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