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市町村合併:アンケート調査では8割が合併に賛成(6〜7月)

2003/08/04

 6月〜7月に結果が明らかとなった、市町村合併についてのアンケート数は33件となった。そのうち、合併自体の是非、もしくは合併協設置の是非を問うアンケートは24件、是非も含めて合併の枠組みを問うアンケートは14件、まちづくりや合併に期待することや不安な点、新市名などを問うアンケートは6件。

 4月中旬〜5月の1カ月半に実施されたアンケートが40件程度だったことを考慮すると(詳しくは「合併アンケートでも合併賛成が多数(4月中旬から5月)」の記事参照)、徐々にではあるがアンケートの実施数は減少傾向となっている。合併に向けてアンケートの次の段階に移行している自治体が増えているということだろう。

 単独でアンケートを実施した自治体は、鹿児島・枕崎市、岩手・平泉町、長野・武石村など26件、合併協など複数の自治体が協力して実施したのは、奈良・吉野郡7町村合併協(後に東吉野村が加入し8町村に)、富山・砺波地域8町村合併協など6件。

 4月中旬〜5月に実施されたアンケートで、合併自体について、または合併協についての是非について問うアンケートが30件程度行われ、「賛成」が20件、「反対」が10件だったのに対して、6〜7月では、「賛成」の結果となったのが群馬・桐生市、岐阜・竜王町など20件で、「反対」の結果となったのが佐賀・西有田町、沖縄・多良間村など4件と「賛成」が8割を占めた。

 群馬・富士見村は7月、前橋市、大胡町、宮城村、粕川村の前橋広域4市町村との合併の是非を問う住民アンケートの結果を発表(回答率66.7%)。「2005年3月(合併特例法の期限)までに合併すべき」が51.3%、「期限にこだわらず慎重に検討すべき」が24.4%、「合併すべきでない」が16.9%となり、「合併賛成」が多数を占めた。
 この結果を受けて、富士見村は4市町村との法定協と分離して、前橋市との合併協を設置、2つの法定協で並行して協議を進め、合併特例法の期限までに一体となって合併を模索するとした。分離して協議を進めるのは、合併協定書締結後の議会議決で、1自治体でも否決するとすべてが白紙となるため。
 ところが、前橋市は富士見村との合併協議を断念する方針を表明。合併協議の前提条件が富士見村内でクリアされていない、村当局の合併に対する取り組みが消極的(村長が合併に中立的)な姿勢を取っているなどが原因。
 富士見村は「合併しない宣言」をした前村長がリコールされた後、「合併慎重派」の新村長が誕生したが、今回のアンケート結果では「合併賛成」となったことで、今後の合併問題のかじ取りが非常に難しくなっている。

 佐賀・玄海町は6月、町民アンケートの結果を公表(回答率81%)。現在の唐津・東松浦合併協で進めている合併について、「将来はした方がいいが、今のところは必要ない」「将来も必要ない」が合わせて59%、「合併特例法の期限までにした方がいい」「将来を考えると合併はやむを得ない」が24%となった。玄海町には原発関連の収入による150億円の基金があるため、合併は時期尚早とする意見が多かったと見られている。
 この結果を受けて、玄海町は臨時議会で、唐津・東松浦合併協からの離脱議案を可決した。

 奈良・新庄町、当麻町は6月、両町の合併についてのアンケート結果を公表した(回収率は新庄町56.45%、当麻町が65.15%)。新庄町では、「合併反対」が35.6%、「合併賛成」が33.0%、「どちらかといえば反対」が9.6%、「どちらかといえば賛成」が15.7%、「どちらともいえない」が5.8%。当麻町では、「合併反対」が43.6%、「賛成」が31.6%、「どちらかといえば反対」が8.5%、「どちらかといえば賛成」が10.6%、「わからない」が5.4%となった。
 当麻町は反対派が多数を占めたのを受けて、当初予定していた「2004年3月の合併は困難」とする考えを明らかにした。

 合併の枠組みについて問うアンケートは、茨城・飯能市、鹿児島・菱刈町、沖縄・上野村など14件。

 青森・弘前市は7月、市民アンケートの結果を公表(回答率60%)。合併について「賛成」「どちらかといえば賛成」が60.9%を占め、その組み合わせとして、弘前市も参加している「津軽南地域14市町村任意協」が49.6%、「弘前市と中津軽郡(岩木町、相馬村、西目屋村)」が35.3%となった。

 まちづくり、合併について期待する点、不安な点などを問うアンケートは、富山・射水地区広域圏合併協、宮崎・清武町・田野町任意協など6件。

 宮城・柴田町・村田町・大河原町合併協は6月、アンケート調査の結果を公表(回答率39.8%)。「合併に期待すること」については、「経費削減」が56.3%、「利用できる公共施設の増加」が32.0%、「財政力強化による生活環境の整備」が31.9%、「規模拡大による行政効率の向上」が31.9%。「合併した場合に心配なこと」については、「サービス低下と料金上昇」が51.2%、「中心部の発展と周辺部衰退」が48.6%、「公共施設が遠くなり不便」が40.9%、「財政面が改善されない」が29.8%となった。
 この結果を受けて、住民が経費削減を求めていることが明らかになったため、3町議会(定数62)の議員全員が合併後2年間市議として残ることのできる「在任特例」に反対する意見も出てきている。(田中潤)