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幸手市長リコール署名が3分の1を突破、五霞町との県境合併は窮地に

2003/07/04

 埼玉・幸手市では7月2日、市長に対するリコールの署名運動に取り組んでいる市民団体「久喜市との合併を優先させる市民の会」が、現時点での市民の署名が1万6500人になったと発表した。これで署名数がリコール本請求に必要な有権者の3分の1(1万5060人)を突破、市長は苦しい立場に追い込まれることとなった。
 市長は茨城・五霞町との県境合併に向けて取り組んでいるが、4月27日の市議選の結果、久喜市との合併を推進する反市長派の数が市長派を上回り、市長と議会の意向がねじれていた。(詳しくは、埼玉・幸手市と茨城・五霞町との県境合併、暗雲漂うの記事を参照)
 6月2日の市議会では、「久喜市・鷲宮町との合併優先に関する決議案」を賛成13、反対10(退席1)の賛成多数で可決した。それでも、「久喜優先」の表現を入れるか否かで議会内調整が終日難航。
 6月19日、「市民の会」は合併についての市長の手法を疑問視し、市長のリコール運動に踏み切った。期限は7月17日まで。当初の目標だった1万8000人をさらに引き上げ、2万人の署名を目指す。
 市長側もリコールに対抗。6月18日には、市長が「幸手市が久喜市・鷲宮町との合併を確実に実現できる保証がなく、大きな問題があり、理解し難い」とする声明を発表。22日には後援会集会が行われ、法定期限内に五霞町と合併した後に久喜との合併を目指すという、持論の二段階合併論を主張、「リコールに反対します」と書かれたステッカーを大量作成し、リコール阻止に動いている。

 大分・犬飼町でも、合併についての町長と議会の意向がねじれている。
 5月18日の住民投票の結果を受けて、町長は大分市との合併に動き出したが、7月2日の臨時議会で、町長提案の大野郡5町2村合併協議会に対する離脱申し入れ議案を賛成6票、反対6票の同数の末、議長裁決で否決。これを受けて、町長は議長に退職申出書を提出。地方自治法により、議会が同意するか、20日が経過すれば町長の辞職が成立する。議長が町選管に通知してから50日以内に出直し町長選挙が実施される。
 他方で、町議会に対する住民の反発もあり、議会が大野郡合併協からの離脱案を否決した場合、反対した議員のリコールに踏み切るという動きもある。
 町長が合併の相手先として望んでいる大分市は、犬飼町が現在参加している大野合併協から離脱することを条件とし、その後で合併協議に応じるとしている。


犬飼町周辺
 
 広島・大和町では7月2日、町長が辞任し、再び町長選に立候補する意思を表明した。同町では、町長が1市5町の東広島圏域から1市2町の三原圏域へ合併先を転換したことをめぐってリコール運動が起きていた。2002年春の住民アンケートの結果を受けて、同町は東広島圏域での合併を目指していた。今年4月の町長選で、現町長が合併先をはっきりさせないまま立候補して無投票で再選。5月2日の町議会で、町長は東広島圏域からの離脱を表明、議会から承認を得た。それに対して、「東広島市との合併を進めてくれる」と考えていた町民がリコール運動に取り組み始めたが、町長はいったん辞職して住民投票を避け、町長選で信を問う戦術を選択した。(田中潤)


大和町周辺