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ハンターも高齢化、北海道が育成に

2003/05/19

 5月19日付北海道新聞によれば、北海道はハンターの育成事業に着手する方針を決めたとのこと。狩猟者人口の減少と狩猟者の高齢化によって、ヒグマやエゾシカの管理捕獲の担い手が減少しているのが原因。

 北海道の狩猟者人口は2001年度で9300人と、ピークだった1978年度の2万人から大きく下回っている(全国の狩猟者人口も1999年度が23万人と、ピークの1970年度の53万人から半減)。さらに、全国の狩猟者の70%が50歳を超えており、ハンターの高齢化が問題となっていた。

 大成町などでは毎年ヒグマを有害駆除しているが、狩猟免状の保持者が70代の2人しかおらず、そのうちヒグマ猟ができるのは1人のみ。
 さらには、若者が狩猟免許を取ろうとしても、育成する人材もいないのが現状。

 そこで、北海道は今年度に1500万円の事業費を検討し、7月の定例道議会に提案する模様。狩猟者向けテキストの作成に着手して、そのテキストを使って経験のあるハンターに狩猟教室を開いてもらう予定。
 環境省によれば、ハンターの育成を行政が行うのは初めてとのこと。

 以前に紹介したイノシシによる被害(2003/04/17の記事を参照)も、ハンターの減少がイノシシの増加につながっているのではないかと見られている。

 イノシシの駆除は「鳥獣保護及び狩猟に関する法律」で狩猟免許の所持者に限られている。そこで、群馬・桐生市は構造改革特区2次募集で、イノシシによる被害を防ぐため、狩猟免許のない住民も捕獲檻を管理できることを提案。それに対して環境省は、「見回りや寄せエサの補給活動は、捕獲行為に含まれないことから、規制の対象外である」と回答している。

 また、ハンターは狩猟者登録税などを支払い、鳥獣保護行政の財源の一部を負担している。自治体は有害鳥獣捕獲やクマの奥山放獣(移動放獣)、野生鳥獣の生息数調査などの作業をほぼボランティアに近い条件で委託するなど、ハンターに実働面でも大きく依存している。それだけに、ハンターの高齢化は今後の鳥獣保護行政にとって深刻な問題となっているのだ。(田中潤)