個人蔵

佐藤善次郎肖像画
 1912年  45.5×38.0p

  
        『在る郷土史』
       ― 上総の歴史と文化 ―
                   
宮本栄一郎著


(・・・・・昭和34年に、敬助未亡人八重さんは七十六歳であったが、私への返書にも慎重な配慮をされ、亡き夫の芸術については一見識を持っておられた。一つだけその資料を紹介する。)

 
小学校時代、敬助の画家としての天分を発見したのは佐藤善次郎氏であった。小学校の終わりの頃、教室で一人武者絵を描いているとき、通りかかった先生は、しばらくそれを凝視され、一、二ヵ所に筆を入れ、黙って立ち去った。この日の感動が、彼の天分の自覚を助けたのではないだろうか。敬助はこの先生に私淑していた。