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行革時評

先細りの構造改革特区、地域再生計画

事務局長 並河 信乃
2004/02/20

【A知事】特区というのは、いかにつまらんことまで国が関与しているかという一覧表。そういう効果は大きい、あれは。
【B知事】尻の穴の狭さをしっかりあらわしたものです、あれは。
【C知事】しかも、拒否するときの論理の貧困さね、なぜ認めないかという。
【A知事】あれは、本当にお笑いだね、これは。
【B知事】あれは酒のつまみになりますね。
【A知事】結局、そういうおせっかいを国がするということは公務員の定数が余っているということだな、国家公務員の。暇だからいろんなことに口出してくるんだな。

 これは昨年9月に開催された、知事さんたちのある会合の議事録の一部である。別件でインターネットの資料を渉猟していたら、たまたま見つけたものである。

 知事さんたちが口々に言うように、鳴り物入りで始まった構造改革特区だが、実際にはまだダイナミックな構造改革にはつながっていない。2月20日には第4次提案についての政府の対応が決定されたが、特区として認めるのは17件、全国的に実施するものは33件、あわせて50件に過ぎない。第4次提案は338構想も出され、それぞれの構想には複数の規制緩和項目が含まれていることを考えると、打率は1割にも満たないものになっていると思われる。

 2月27日には地域再生構想が決定される予定であるが、既に新聞で報じられているところでは認定されるのは140件だという。提案された構想数は673であり、これまた複数の提案を含んでいるから、打率は1割にも届かないものと思われる。昨年の12月19日から1月15日までという常識外の時期・時間にもかかわらず299自治体、93の民間企業・団体が応募した結果がこれでは、いささか問題なのではないか。

 農業や教育の分野に多少の変化が生ずる兆しもある。短気を起こさず、そうした芽を育てていくことは必要だろう。しかし、手付かずになっている分野はあまりに多い。今後、われわれはボツになった案件、あるいは最初から提案をあきらめている案件を拾い出し、相互に組み合わせて新たな政策体系の構築を目指す必要がある。

 小泉構造改革がかつて振りまいていた新鮮さを失った現在、この作業には大きな困難が伴うだろう。