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構造改革特区推進会議
WG議事概要
2004年12月15日

 特区推進会議では12月15日、教育、医療・福祉合同WGを午前に、午後には農業、都市再生、自治制度合同WG、さらにそのあとWGメンバーと内閣府特区推進室の檜木参事官との懇談会を開催した。当日は、議会開会中の自治体も多く、やや少人数の会合となった。

 それぞれのWGで出された意見の大要は下記のとおりであるが、そのほか、全体を通ずるものとして、
@ こうしたWGは相互に意見交換を行うまたとない機会であるから、今後さらに続けていくべきである
A WGの開催は出来るだけ早めに連絡してもらいたい
などの意見が出され、次回は2月上旬に開催することになった。
 また、事務局から、目下、これまでの提案とそれに対する各省庁の回答などをすべてEXELのファイルに転換する作業を進めており、近日中にHPにアップする予定との報告も行われた。

1 教育、医療・福祉合同WG
* 第6次提案で、校長、教員の任免権を住民参加型の学校運営委員会に委任することについて、文科省は認めない態度であるが、総務省では地方公務員法上は制約を課していないという回答を行っている。
 これまで、住民参加型学校という提案を何度も繰り返し、それに対する回答も同じである。このままでは埒が明かないので、第7次提案では新しい手を考えていかなければならない。特に、具体的なネタを盛り込む必要がある。
* 国際教育特区が認定され、既に外国人教員を2人採用しているが、これを段階的に増やしていきたい。次のステップとしては、小中高一貫の私立学校を誘致したい。そのための校地や校舎は既存の3校統合の結果として生まれたところを活用する。
 その他のことはなかなか特区とするような計画がない。
* これまで歩いて通えるところに小学校を置くという村の方針で、小規模校が2校ある。しかし、塩尻市との合併で、この2校を維持していくことは難しくなり、統合は避けられない。そこで、この跡地利用が課題となる。学校の転用については、規制が緩くなったときっているが、なにがOKでなにがNOなのか、はっきりさせて欲しい。
* 小学校の統合はいくつか出てくる。財政が厳しく公共投資がしにくい中で、こうした施設を売るのがいいか売らずに活用するか、舵取りが難しい。
* 幼稚園で英語教育をしてきた株式会社が、父兄の要望もあり小学校を来年の4月から開校する。教員も外国人で日本の教員免許は持っていない。本来ならば、提案し認定申請して認定されなければならないのだが、見切り発車である。教育についての選択肢が広がるという面もあるが、実際にはこれでは学校教育法の学校とは認められないので、父兄は就学義務違反に問われるおそれもある。また、たとえばその「学校」の生徒を途中から小学校に編入する場合にはどうしたら良いのかといった問題もある。
* 市の教育委員会は県の教育委員会に逆らえない。なにか特区として提案する課題はないかと事務局に尋ねても、いつもないという回答だ。
* 教育委員会には自分の所から提案を行うという雰囲気がない。事務方からは進めにくく、結局、首長のリーダーシップが必要となる。福祉関係でいろいろ提案が行われており、成程と思うが、では自分のところでもやってみようかというところまで行かない。市長部局内でもばらつきがある。
* 第3次提案で公設診療所の民営化を提案したが、これに対して厚労省は当初Cといってきたが、最終的にはD−1となった。「現行制度でも出来そうだから、自分で考えろ。厚労省としては個々に判断する」ということらしい。医師の処遇の問題などいくつか未解決のことがあるので、再度提案しようと思っているが、まだ提案までには至っていない。
* どうも厚労省は特区を嫌がり、やるなら全国展開という傾向が強い。
* 首長の会合は、首長の研修にもなるので、出来るだけ出席するように勧めたい。

2 農業、都市再生、自治制度合同WG
* 株式会社によるダチョウ特区の事業が進行中であるが、一つのことが解決するとまた他の問題が出てきて、市も会社もいらいらする。仮設トイレは建築物でないということで話がついたが、細かなことでいろいろ躓いている。担当者レベルでなくトップ同士で大局的な判断をしていかないと事業は進まない。
* 農業についての株式会社の参入が認められたが、農地法の解釈も県によってまちまちだ。ハウスを作ろうとすれば建築基準法の規制を受け、また、そのための接道も必要になる。もともと耕作放棄地なのだから、そんなに条件が恵まれているわけではない。ひとつのことが認められても関連する多くの規制が立ちはだかってくるので、一度、農水省の担当者とサシで話をしてみたい。
* 森林組合の活性化のために、従業員にも組合員資格を付与することを提案しているが、これは組合制度の根幹を覆すものであるとして、認められていない。
* 市街化調整区域での開発を認めさせる件については、県と交渉してもうまくいかない。県によって対応はさまざまのようだが、うちの県は態度が厳しい。
* 土地利用に関しては県との調整が多く残されている。県と交渉すると、担当者によっても解釈がまちまちで、態度の硬い担当者の移動を待っていると解決することもある。また、うちの県と隣の県とは大分態度が違う。
* 土地利用については県の態度は厳しい。知事は市町村に権限を下ろす方針のようだが、実際に行われているのは細かなものばかりだ。
* 市街化調整区域の市街化地域への編入問題などがあったが、県の担当者が変わると協力的になって、問題は解消した。
* 農村工業導入促進法では人口10万人が限度となっているが、今回の合併で人口が10万人を越えてしまうので、合併にもとづくものは特例を求めている。第1次回答はD−1となっているが、これは既に導入計画が策定済みと誤解したためで、実際にはまだ計画は策定していない。
* 地籍調査については、国土調査法と不動産登記法との整合性が取れておらず、国交省では構わないというが法務省法務局の見解は違う場合がある。
* 岐阜市は水防団を独自に持っている全国でも数少ないところであるが、退職金や公務災害について、消防団には規程があっても水防団にはない。総務省本章はこれに理解を示していたが、消防庁は消防・水防一体化の立場である。しかし、国交省は水防法を来年春に改正する方針を示しており、ようやく問題は解決の方向に向かっている。
 水防団の団員が緊急時に自家用車に回転灯をつけることについては、国交省と警察庁の間の問題で、警察が実権を握っており、態度は硬い。
* 今回の第6次提案で、今年4月から施行した「ごみの散らばっていないきれいなまちにする条例」で規定する市民や事業者、イベント開催者等に対する義務規定に違反したものに対し、一定期間公益作業に従事させて、地域美化の大切さを身をもって学習する等の教育効果を期待する計画を提案したが、刑法や憲法の規定をどうクリアーするかが課題となっている。
* 市役所の支所の業務を郵便局に委託できるように提案を第2次提案から繰り返しているが、部分的に実現できるものの、まだすっきりとは解決していない。今後、NPOや嘱託職員などの活用も検討していきたい。
* 民生委員や人権擁護委員に外国籍の住民の就任を認めることを提案して断られたことがあるが、その後のフォローはしていない。
* 前回は30以上の提案を行ったが、今回は数を絞った。現在、三位一体改革などで市町村の財政が厳しくなっており、市町村リストラが避けて通れない。その結果、総務省関係の提案が多くなってきた。
* 今回、第6次提案として「職員リクルート特区」を提案した。これは、臨時職員の中で成績優秀なものを試験により正規職員とする制度であるが、総務省からの第1次回答はCであり、わざわざそうした制度を設ける必要はないというものだが、その実際の狙いは、一挙に正職員にしないで、臨時職員として能力を見極めたいというところにある。
* 「ノンストップ地方行政特区」というのは複数年度ローリング予算制度の導入を目指すものである。会計年度ごとに仕事も閉まり、4月、5月が端境期となり、9月、10月がピークとなる。こうした山や谷を無くし年間を通してフラットな状況にするために、複数年度を導入しようというものである。総務省では地方財務研究会を立ち上げて、こう会計制度全体の改革の中で対応していくということになった。
* 地域防災テレビ特区というのは、災害時にテレビで地域情報を流そうというもので、緊急時のために電波枠を割り当てることで、常時放送するわけではない。今の体制では全国放送あるいは関東一円ということになって、本当に必要なローカルのニュースを流すことが出来ない。
* 県との関係では、細かい補助金が多く、中には2000円というものもあるが、これでも手間は同じだけかかる。160本ほどの3分の2がこうした零細補助金である。国・県・市町村間で事務と財源の仕分けを抜本的に行わなければならない。補助金の統合化なども民間のシンクタンクの協力も得ながら案をまとめていきたい。また、生活保護や国保など市町村から国・県に返上すべき事務もあり、これのリストアップも行いたい。
* 最近提案を行っていない。現場に何かタマはないかと聞いてみても、直ちにないという返事が返ってくる。現場再度では現行法のままで良いという人が大多数で、現場の意識を変えることが先決だ。
* いま、合併の総仕上げの段階であり、とても特区にまで手が回らない。


3 檜木参事官との懇談会
* 今回の第6次提案は地味で小粒だといわれるが、提案している市にとっては切実な問題が多い。政策論としては物足りなくとも実務上必要なこともある。
* 機関委任事務がなくなったというが、福祉の分野では実態は変わっていない。たとえば、民生委員の活動は市町村単位なのに、推薦及び指揮監督権は都道府県知事にあり、かつ厚生労働大臣が委嘱するという形式を採っている。このため行政側の責任体制が不明確となり、これが民生委員と行政の連携体制にも影響を与えている。また、民生委員の数は、全国で20万人、埼玉県だけで1万人にのぼる。民生委員には名誉職的な人が3分の2いるが、残りの3分の1は必死になって働いている。児童委員など他の仕事との連携も必要だし、地域の総合的な仕事とするためには市町村の指揮監督にすべきだ。
*社会福祉主事は地方公務員法上の吏員で、かつ定数条例に定める常勤職員でなければならないと社会福祉法で定められているが、この資格要件を緩和し、民間経験者、再任用職員を活用できるようにすることを特区ではなく全国規模の規制改革で提案したが、吏員要件の緩和にはNOの回答(第1次回答)が出されている。
* 特区推進室としては、提案がなければ交渉できない。ダブっても良いから、全国的な規制改革の提案だけでなく、特区としても提案した方がいい。
* 各省庁に交渉するには、多くの自治体から提案が出ていることが望ましい。同時多発型の提案があれば一番いいが、それが実際にはなかなか難しいというならば、特区推進会議の名前で提案するのも一法だ。重要な提案が途切れないということが大事だ。
* 総務省関係の改革が遅れており、これからは多くの提案が出てくるのではないか。総務省は提案に意味があると思えば、まじめに対応するところがある。
* 全国展開のスピードが速すぎて、折角特区になっても取り消されるのは問題だ。もちろん、取り消されないよう、なにか追加的なものを認定申請して、特区として存続させる手もある。
以上