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川崎市 ホームレス宿泊施設開設指針を改定

2004/08/25

 川崎市は8月23日までに、ホームレスが低額で入居できる宿泊施設(2種宿泊施設)の開設について、行政指導の指針を改定した。施設開設の際に事業者と周辺住民がトラブルになるケースの増加に対応。「事業者は開設3ヵ月以上前に市へ事前相談する」「事業者と近隣住民は合意事項について協定を締結する」「施設入所を目的で市外の野宿者を転入させない」などとした。法的拘束力はないが、実質的に開設のハードルを高くした。

 以下、最近の自治体のホームレス対策について紹介する。

 埼玉・川口市は3月から、ホームレスを対象にする宿泊所の建築主や運営者向けの指導要綱を施行した。宿泊所を設ける際は4ヵ月前までに市に事前相談を求め、地元町会や市と、説明会合意事項や要綱の趣旨について協定を結ぶよう指導する。開設した宿泊所が守らない場合は、市が入所者に移転を指導する。要綱とは別に指導指針を設け、文教施設などから100m以内の設置は避けるほか、1室定員1人にするなどの基準を示している。

 東京・新宿区は2004年度補正予算に、ホームレス対策として3635万円を盛り込んだ。ホームレスの相談に応じる巡回員を従来の2人から4人に増やし、緊急一時保護センターへの入所面接や引率などを担当する常駐の相談員として社会福祉士1人を配置。同区は4月、ホームレスが増加している新宿中央公園の24時間警備を開始したが、継続して民間の警備会社に委託し、昼に2人、夜間に3人を置く。

 東京都は4月から、ホームレスなどの生活困窮者が生活保護を受けながら利用する民間宿泊所の基準を都独自に定めた。厚労省の基準では、広さにかかわらず、1部屋の単価を月額5万3700円とし、入居者数で割った金額を1人当たり利用料(住宅扶助費)としている。これに対し、都の新基準では、1部屋に2人以上が居住する場合、1人当たり4.95uを基準面積、3万9000円を基準単価として、居住スペースが基準面積よりも広い場合には金額を加算、狭い場合には減額する。

 札幌市は2004年度から、ホームレスの中で就労意欲のある人が就職や住居を見つけられるよう手助けする自立支援事業に乗り出した。高齢や障害のため1人で生活できない人が対象の救護施設(定員460人)の空き教室を活用。働く意思がある希望者を募り、同施設を宿泊施設として最長3ヵ月間提供する。同施設を運営する社会福祉法人の生活指導員がハローワークや事業主への求人の問い合わせをしたり、保証人がいなくても住居や仕事を見つけられるよう、事業主や家主へ働きかける。

 名古屋市は2004年度から、ホームレス支援策として、市の支援で就職を見つけてアパートに入居した人たちを対象に生活相談を始めた。社会福祉法人が市の財政支援を受けて、自立を果たした人が再び、路上生活に戻らないようにする「アフターフォロー事業」で全国初の取り組み。

 大阪府は6月、ホームレスの再就職支援を委託する事業者を募集した。ホームレスに宿舎を提供しながら就職を斡旋している自立支援センターの入所者が対象で、希望を募ったうえで2004年度は30人を選ぶ。再就職を支援する専門業者が、個別面談で職歴や適性などを把握し、企業を回って求人を探す。就職に失敗した場合は原因を調べて対策を練る。2004年度予算案に委託費2310万円を計上した。

 仙台市は6月、2005年1月にホームレスの緊急一時宿泊施設(シェルター)設置を計画している公園について、シェルターの開所後に公園を改修し、地域ぐるみでホームレスの自立を支援する推進協議会(仮称)を組織化することを明らかにした。シェルター退所後の就労や住居探しを地域全体で支援する。

 広島市は10月に、ホームレスの社会復帰を後押しする自立支援ホームを設ける予定。支援ボランティアと協力して運営する。入居者がいない市内の職員住宅の2室(各3DK)を利用する。定員は5人。グループホーム形式で運営する。ボランティア団体の世話人が常駐し、日常生活の指導や職探しの相談などに応じる。期間は最長6ヵ月。2008年度までの5年間運営する。

 京都市は10月、ホームレスの就労支援に向けた「自立支援センター」を開設する予定。アパートなどを借り上げて原則3ヵ月にわたり、食事の提供や就職活動の支援を行う。定員は20人。運営は民間法人に委託する。(田中潤)