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市町村合併:7月住民投票、合併に反対が3分の1

2004/08/24

 佐賀・七山村は7月11日、唐津・東松浦の合併議案を否決した村議会(11人)の解散(リコール)の是非を問う住民投票を実施(投票率91.31%)。「賛成」が1186票、「反対」が736票となり、「賛成」が有効投票の過半数を上回り、リコールが成立、同議会は同日付で解散した。8月8日には、村議選が実施され、合併推進の議員が多数となった。

 宮崎・北郷町は7月11日、日南市、南郷町との枠組みによる法定協設置の是非を問う住民投票を実施(同76.26%)。「賛成」1946票、「反対」1156票となり、有効投票総数の過半数が設置に賛成し、法定協設置が決まった。住民投票は、住民発議による3市町の法定協設置議案を日南市、南郷町議会は可決したが、北郷町議会が否決したのを受け、住民団体が6月に実施を本請求していた。

 7月に実施した合併に関する住民投票は、七山村と北郷町以外はすべて合併の賛否や枠組みについて問われた。七山村と北郷町の結果や、枠組みを問う住民投票で自立以外を選択した結果については合併に「賛成」とみなすと、実施された全25件のうち「賛成」は17件、「反対」は8件と、3分の1近くが「反対」の結果となった。以下、「賛成」、「反対」の結果別にそれぞれの住民投票を紹介する(なお、複数の自治体でそれぞれ同時に実施した場合については、結果が実施した全自治体で「賛成」でなければ、【反対】に分類した)。

【賛成】
 長野・奈川村は7月11日、松本西部任意協(松本市、安曇村、梓川村)での合併の是非を問う住民投票を実施(同91.05%)。「賛成」が541票と「反対」の265票を上回った。村長は結果を尊重し、合併協議を継続することを表明した。6月に住民投票の結果を受けて任意協から離脱した波田町を除いて、4市村での合併を模索する。安曇村は住民懇談会、梓川村は住民アンケートの結果を受けて合併推進の立場を表明。松本市は8月末まで住民説明会で市民の意見を聞き、市長が合併の可否を判断する。奈川村長は自立推進の立場のため、最終的に松本市が合併を受け入れた場合、辞職を検討する。

 長野・望月町は7月11日、佐久市、臼田町、浅科村との合併の賛否を問う住民投票を実施(同82.68%)。「賛成」が4427票、「反対」が2573票となった。町長や議会は従来の枠組みによる合併を推進する意向。2003年11月の意識調査では「反対」が4ポイント上回ったが、町長は合併推進を選択し、今回の住民投票の結果で、町長の方針が追認された格好。

 埼玉・滑川町は7月11日、合併の枠組みを問う住民投票を実施(同63.01%)。「東松山市と吉見町を含む8市町村で合併」が3706票、「合併しない」が2100票、「法定協が設置されている滑川、小川、嵐山、玉川、都幾川、東秩父の3町3村で合併」が1009票となった。同町は22日、3町3村の法定協から離脱の意向を表明した。法定協は8月31日に解散する予定。

 宮城・河北町は7月11日、石巻地区1市5町(石巻市、雄勝町、河南町、桃生町、北上町、牡鹿町)との合併の是非を問う住民投票を実施(同79.56%)。「賛成」が4857票、「反対」が3597票となった。町長は3月に、法定協からの離脱を表明し、町議会が離脱決議案を可決しており、今回の住民投票では町長の意向が否定された格好。町は8月10日、協議加入案を可決。19日には7市町での法定協を再開した。

 群馬・伊香保町は7月11日、渋川地区(渋川市、北橘村、赤城村、子持村、小野上村)との合併の是非を問う住民投票を実施(同74.67%)。「賛成」が1361票、「反対」が736票、「その他(5年以内に判断)」が225票の結果となった。同町は2003年8月から、渋川地区の任意協に参加しているが、町長が自立の立場を表明し、住民投票に踏み切った。住民投票の結果を受けても、町長は「自立の方針に変わりはない」としている。

 群馬・境町は7月11日、伊勢崎市、赤堀町、佐波東村との合併の是非を問う住民投票を実施(同70.21%)。「賛成」が1万2299票と「反対」4289票を大きく上回った。これを受けて、町長は合併推進を打ち出した。

 山口・豊田町は7月11日、下関市、豊浦、豊北、菊川町との合併の是非を問う住民投票を実施(同81.30%)。「賛成」が2793票と「反対」の1758票を上回った。町長は合併反対だが、「住民投票の結果には従う」としており、1市4町の合併は進展する見込み。

 岡山・日生町は7月11日、備前市、吉永町との合併の是非を問う住民投票を実施(同72.29%)。「合併する」が3058票、「合併しない」が2041票となった。3市町は合併協議を進めてきており、町長は「町民の理解得られた」とした。

 長野・牟礼村は7月25日、合併の是非や合併相手を問う住民投票を実施(同71.35%)。「三水村と合併」が2208票、「合併せず自立」が1480票、「長野市と合併」が827票となった。同村長は翌26日、三水村と法定協を設置する意向を示し、8月11日に法定協を設置した。両村は2003年12月に住民アンケートを実施。三水村は「賛成」多数だったが、牟礼村が「反対」多数となり、両村の任意協が中断していた。

 宮城・若柳町は7月25日、栗原郡9町村との合併の賛否を問う住民投票を実施(同74.57%)。「賛成」が6217票、「反対」が2452票となり、翌26日には、合併関連議案を可決した。同町議会は6月の臨時会で、新市庁舎の位置などを巡る反対意見から、9町村との合併関連議案を否決。その後、同町長は住民意向調査を行って合併議案を再提出する意向を示し、協議の結果、住民投票の実施が決まった。

 愛知・木曽川町は7月25日、一宮市、尾西市との合併の是非を問う住民投票を実施(同62.04%)。「賛成」が8040票となり、「反対」の7622票を148票上回った。住民投票条例案は3月定例会で議員提案されたが否決され、5月臨時会で住民側からの直接請求でほぼ同じ条例案が可決された。

【反対】
 埼玉・吉川市と松伏町は7月11日、両市町の合併の是非を問う住民投票をそれぞれ実施(同54.72%、62.11%)。吉川市では「賛成」が1万3498票、「反対」が1万1035票で「賛成」が、松伏町では「賛成」が5107票、「反対」が9401票で「反対」が上回って、合併は白紙となった。法定協は9月30日に解散する予定。吸収合併される形となる松伏町では、越谷市との合併を望む声が強まるなど反対運動が広まっていた。

 埼玉・春日部市、宮代町、杉戸町、庄和町は7月11日、4市町での合併の是非を問う住民投票をそれぞれ実施(同53.93%、66.76%、59.92%、60.48%)。春日部市では「賛成」5万5880票、「反対」3万2227票、宮代町では「賛成」7666票、「反対」1万1035票、杉戸町では「賛成」1万2809票、「反対」9800票、庄和町では「賛成」1万2623票、「反対」5794票となり、春日部市、杉戸町、庄和町は「賛成」が上回ったが、宮代町は「反対」が上回った。この結果を受けて宮代町長は12日、「単独でやる」と表明。法定協では13日、4市町での枠組みでは合併をしないとする議案が提案され、承認された。

 長野・南箕輪村は7月11日、伊那市、高遠町、長谷村との合併の賛否を問う住民投票を実施(同71.29%)。「反対」が4618票と「賛成」の2902票を大きく上回った。村長は自立の意向を表明し、21日には4市町村の合併研究会から脱会、研究会は解散した。一方で、高遠町も11日、住民意向調査を実施。「賛成」が3254票と「反対」の1448票を上回り、南箕輪村の住民投票とは逆の結果となった。南箕輪村以外の3市町村は9月に、法定協を設置する予定。

 千葉・和田町は7月11日、鴨川市との合併の是非を問う住民投票を実施(同75.71%)。「反対」が2664票と「賛成」の927票を大きく上回った。この結果を受けて、同町は19日に、安房郡7町村(富浦町、富山町、鋸南町、三芳村、白浜町、千倉町、丸山町)との合併協議に正式参加した。町長は館山・安房9市町村合併が破たんした後、安房8町村での合併を目指してきたが、町議会は4月に鴨川市との合併推進を決議。5月には住民投票条例を可決した。

 千葉・白井市は7月11日、印西市、印旛村、本埜村との合併の賛否を問う住民投票を実施(同68.02%)。「反対」が1万9245票となり、「賛成」6762票、「どちらとも言えない」1536票を大きく上回った。一方で、印旛村も12日、住民アンケート調査の結果をまとめ、市町村合併への関心度は「関心がある」、「ある程度関心がある」を合わせると81.2%となり、「無関心」17.3%を大幅に上回った。4市村の合併の是非を問う設問では、「賛成」が44.9%で「反対」の24.3%を上回った。それでも、白井市長は住民投票の結果を受けて、合併議案を市議会に提出しない方針を正式に表明した。法定協は8月31日に解散する予定。

 長野・喬木村は7月11日、飯田市、上村、南信濃村との合併の賛否を問う住民投票を実施(同83.08%)。「反対」が2958票と、「賛成」の1936票を上回り、村長は翌12日に任意協を離脱する意向を示した。同村が離脱すると、上村、南信濃村は飯田市と道路が繋がっていないため事実上の飛び地となる。一方で、上村も12日、住民意向調査の集計を実施。「賛成」が51%、「反対」が21%、「村・議会にまかせる」が28%と、「賛成」が過半数を占め、喬木村の住民投票とは反対の結果となった。

 群馬・榛名町は7月11日、高崎地域(高崎市、箕郷町、群馬町、新町、吉井町、倉渕村)との合併について賛否を問う住民投票を実施(同70.61%)。「反対」が6415票で、「賛成」6330票をわずかに上回った。この結果を受けて、町長は13日、自立の意向を表明した。この住民投票は、高崎地域との合併論が強かった町議会に対し、「自立」の道を模索する町長の意向で実施された。

 熊本・南小国町は7月11日、小国町との合併の賛否を問う住民投票を実施(同79.16%)。「賛成」828票、「反対」2407票となり、8月6日、両町はそれぞれ法定協廃止案を可決した。両町は2006年3月末までの合併に向け、新町名を「小国町」とすることや新庁舎を現南小国町役場敷地内に建設することなど、合併に必要な45の協議項目のうち、13項目で合意していた。町は2003年12月、住民アンケートを実施。回答した町民のうち61.5%が小国町との法定協移行に反対する結果が出ていた。(田中潤)