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ディーゼル車規制に対する自治体の対応

2004/07/28

 岡山県は7月26日、ディーゼル車の排ガス中の粒子状物質(PM)を削減するため、2005年度から完全施行する「環境への負荷の低減に関する条例」の削減規定の素案をまとめた。発がん性の恐れのあるPM削減に向けた年次計画の作成など義務づける「特定事業者」の指定要件として、事業所の位置やディーゼル車の所有台数を定めた。

 自動車窒素酸化物(NOx)・PM法で、新車登録から8〜12年経ったディーゼル車について、2003年10月以降、NOxなどの国の基準を満たさなければ首都圏の1都3県や愛知県、三重県、大阪府、京都府の8都府県の対象地域(276市区町村)で車検に通らなくなった。

 ディーゼル車の走行規制を実施している自治体もある。

 兵庫県は2003年10月、NOxとPMの排出基準を満たさない車両を通行規制するために、「環境の保全と創造に関する条例」を改正した。NOxを含めた運行規制は全国初。対象車両は総重量8トン以上のディーゼル車など。違反車両には、20万円以下の罰金が課せられる。

 東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県の1都3県では2003年10月から、ディーゼル車の走行を条例で規制(埼玉県「生活環境保全条例」、千葉県「ディーゼル自動車から排出される粒子状物質の排出を抑制する条例」、東京都「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」、神奈川県「生活環境の保全等に関する条例」)。新車登録から7年を経たトラックやバスは、排ガス浄化装置(DPF)を付けなければ4都県を走ることができないとした。違反事業者には運行禁止命令が出され、従わない場合は50万円以下の罰金が科せられる。
 また、千葉県は7月16日、ビデオカメラで車両のナンバープレートを撮影し、ディーゼル車の排ガス規制違反を発見する検査方法を導入した。撮影したナンバープレートを基に車検証を確認し、千葉市、さいたま市、横浜市、川崎市の4市を加えた8都県市への届け出内容と照合する。違反した場合には運行禁止命令などの厳しい措置や指導を行う。週1回程度のペースで行い、年間3万件程度の検査を行う方針。東京都に次いで2番目の実施となる。

 ディーゼル車の買い替えなどで、自治体が助成しているケースもある。

 大阪府は7月から、自動車NOx・PM法の基準を満たさないディーゼル車の買い替えについて、金融機関などと創設した緊急融資制度の受け付けを始めた。担保は購入車両のみで第3者保証人も必要なし。融資限度額は1事業者3000万円、貸付期間は5年以内。融資利率は年2%(変動金利、7月1日現在)、保証料率は4.5%。府は保証料率の3%相当分を補助する。

 静岡県は4月から、微粒子除去装置を取り付ける大型ディーゼル車保有企業、個人に対し、国と協調して取り付け費用の一部を補助する事業を始めた。触媒の酸化作用によって除去する「酸化触媒」、フィルターで除去する「DPF」装置が対象。補助率は4分の1(国も4分の1)で、上限は「酸化触媒」が10万円、「DPF」が25万円。「酸化触媒」1752台、「DPF」18台の計1770台分を見込み、1億8000万円を予算化した。

 大分県は2004年度予算案に、ディーゼル車の排ガス対策として、県内の路線バスへのDPF導入の助成費用など392万円を計上した。車種ごとに定められた国の排出基準を満たさない車両への、DPF導入費の4分の1を県が助成する。対象車は、県内の路線バス600台のうち300台を見込み、2004年度は10台を計画している。

 一方で、北海道では、首都圏の排ガス規制強化を背景に、路線バスに中古バスを導入するケースが増えている。新車は1台2000万円程度だが、中古バスは1台50万〜100万円で、外装の塗り替えや暖房器具の増設などの修繕費を加えても300万円以内で調達できるとのこと。首都圏のバスは融雪剤にさらされていないため、車両状態も比較的良好。ただし、2004年度あたりから大量供給も一段落して、中古バス入手が難しくなりつつある。(田中潤)