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プレジャーボートの不法係留対策

2004/07/21

 7月18日付静岡新聞によると、静岡・伊東市では、伊東港沿岸に大量放置されているプレジャーボートの対策を検討する「伊東港水域利用推進調整会議」が発足したとのこと。県が6月に実施した調査によると、同港水域では340隻のプレジャーボートを確認。そのうち、所有者不明のボートや放置された沈没船、廃棄船は80隻。調整会議は2005年度を目標に放置禁止区域を指定、2006年度にはプレジャーボートの係留施設を整備する。

 以下、プレジャーボートの不法係留について、自治体で実施している取り組みを紹介する。

 神奈川・藤沢市は2003年6月から、有料で一時的に係留を認める「暫定係留」を開始。境川河口付近にある弁天橋からその上流の新屋敷橋までの2.5キロの区間。年間10万4000円支払えば、暫定係留が許可される。暫定係留しないボートは退去命令や、行政代執行により撤去する。

 新潟県は6月、上越市の関川水系3河川に不法係留されているプレジャーボートの撤去を始めた。不法係留されているプレジャーボートは44隻で、所有者に何度か自主撤去を促す指示書を交付しているが、一向に改善が見られないとのこと。

 兵庫県は9月から、相生市の相生湾全域を禁止区域とし、2005年度までに御津町〜赤穂市の沿岸部をプレジャーボート放置禁止区域とする方針。一方で、県は2004年度に、相生湾の那波港に60隻分の係留施設を建設するなど不足している係留施設整備を進める。県は2003年度実施の調査で、同沿岸部でプレジャーボート1400隻を確認している。

 石川県は2005年度以降に、河川のプレジャーボートの不法係留対策について、重点取り締まり区域を設定して警告に従わない場合は強制撤去する方針を決めた。2002年4月実施の調査で1400隻のプレジャーボートの不法係留を確認。このうち犀川と大野川で計380隻と3割を占めている。県は両河川をモデル指定して重点取り締まり区域を設定する一方で、正式な係留場所が確保されるまでの暫定的な係留区域を設け、総合的な対策に当たる考え。

 滋賀県は5月、琵琶湖岸における船の不法係留や土地占用などを取り締まるため、条例を制定する方針を明らかにした。強制的に移動した船舶について、持ち主が引き取りに来れば、移動と保管にかかった費用を請求できる仕組みを想定している。
 また、県は7月から、改正した「琵琶湖等水上安全条例」を施行。水上バイクを含めエンジンのあるレジャー用船舶を「プレジャーボート」と定義し、プレジャーボートの乗船者に救命胴衣を着用させることを操船者に義務付け、警察官の指示に従わない場合は20万円以下の罰金を科すとした。貸船業者やマリーナ業者などに対しても着用を指導するよう求める。さらに、すべての船舶で酒酔い操船禁止を盛り込み、違反者には2ヵ月以下の懲役か30万円以下の罰金とする罰則も設けた。(田中潤)


※ プレジャーボートとは、営業用船舶や漁業用船舶に含まれない小型船の総称で、ヨット、クルーザー、モーターボート、ディンギーなどの主にスポーツ、またはレクリエーションを目的とした船舶。近年は、海や河川などに無秩序に係留されたプレジャーボートのために漁船などの利用船舶の係留・保管の阻害や港内の安全航行に支障が生じるなど問題となっている。
 不法係留については河川法で罰金などの罰則を設けているが、不法係留のほとんどを占める5トン未満の小型船舶は所有者登録の必要がないため、これまで所有者の特定が難しかった。しかし、2002年4月に「小型船舶の登録等に関する法律」が施行され、5トン未満も登録が義務付けられた。