7月10日付徳島新聞によると、2003年に「ごみゼロ(ゼロ・ウェイスト)宣言」を行った徳島・上勝町では、24都道府県(北海道、宮城県、千葉県、石川県、長崎県、広島県など)の市町村議や自治体職員、市民グループなどからの視察が相次いでいるとのこと。同宣言は、「未来の子どもたちにきれいな空気や美味しい水、豊かな大地を継承するために、2020年までに焼却、埋め立て処分をなくし、上勝町のごみをゼロにする」としている。2001年1月から実施しているごみの34分別についての視察が目立っており、2001年度の視察は39人だったが、メディアで報道されたため2002年度は248人となり、さらにごみゼロ宣言を行った2003年度は574人と急増した。
そのほかにも、視察が活発に行われている自治体がある。
千葉県は2004年度から、給与や出張経費などの内部事務を一元化して集中処理する県の新組織「総務ワークステーション」を設置しているが、他県や組織の大きい横浜市などからの視察が相次いでいる。職員60人と外部職員60人の120人体制で、知事部局と出先機関および行政委員会事務局職員ら1万2000人分の事務処理を担う。人件費と事務経費を含めて初年度だけで13億円の削減効果があり、翌年度は23億円に上るとのこと
北海道・札幌市では2月、毎年恒例のさっぽろ雪まつりを実施したが、国内の自治体、商工関係者やインド、ニュージーランド、モンゴル、中国などの観光関係者などが視察に訪れた。国際的なイベントに定着したまつりのノウハウを学ぶのが狙い。市によると、12件の視察があったとのこと。
東北初の高度小児医療専門施設である、宮城県立こども病院は2003年9月に開設したが、病院開設を控えた行政や医療機関、設計事務所の関係者や、高校生や大学生の視察・見学者からの視察が相次いでいる。開院後3ヵ月で137件、1600人の視察があったとのこと。病院の殻にとらわれないユニークな取り組みや、治療に臨む子供と家族を支援する先進的な体制などが注目されている。
なお、京都・園部町は自治体で全国初の商品券を発行するなどユニークな施策で注目されているが、視察が殺到して職員が忙殺されるのを防ぐため、2002年1月から、自治体などの視察受け入れの際、費用負担を求めている。1団体当たり10人未満は3万円、10人以上は5万円。2002年度は20件、260人、73万円の収入、2003年度は10件、121人、38万円の収入があったとのこと。(田中潤) |