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横浜市 広告収入増収への取り組み

2004/07/02

 横浜市は6月30日、市営バスと市営地下鉄で実施する座席シート広告の募集を始めた。バス車両1000台と地下鉄車両38台に広告を募集。広告料金は、バスが1台当たり年間52万5000円〜78万7500円(走行エリアによる)、地下鉄が1両あたり105万円。制作費用は、バスが100万円で、地下鉄が120万円。広告主は、広告料金と制作費用を合わせた金額が必要となる。

 横浜市は6月3日、市営バスやごみ収集車など公用車にホイールカバー広告を導入することを発表した。ホイールカバーはタイヤが回転していても、静止した状態が維持できる仕組み。2ヵ月ほど乗用車2台とごみ収集車1台の公用車で試行し、その後に広告主を募集、ごみ収集車と市営バスの計2000台の導入を目指す。

 そのほかにも、横浜市は広告獲得のためのさまざまな取り組みを行っている。

 横浜市は2004年度から、市営バスの停留所に広告パネルを設置する予定。市と契約を結んだ広告事業者1社がスポンサーを募る。事業者に広告パネルを設置した上屋(屋根)を停留所に建設してもらう。停留所は事業者の財産とし、事業者は広告料収入から清掃や改修など維持管理を行う。上屋の建設費は1ヵ所200万円で、市は毎年30ヵ所ずつ建設しているので、この半分の15ヵ所で広告つき上屋ができると、年間3000万円の経費削減となる。広告物の表面積は1面につき2u以内で、掲示面は2面以内。都市景観の水準を保つため、広告のデザインは専門家が選考を担当する。同様の取り組みは岡山市が実施している。

 横浜市は2月から、港南区役所窓口で、転入者に渡す「横浜市民便利帳」などの資料を入れる封筒(角2、年間1万枚)と、住民票などの証明書類を入れる封筒(角6、同9万枚)に広告を掲載。封筒代や印刷代を代理店負担とし、新たな市場開拓となる代理店から完成した封筒を寄付してもらう方式で、年間36万円の経費節減を見込む。東京・葛飾区、中野区、府中市などでも採用しており、これらの自治体への掲載実績のある広告代理店に委託した。

 横浜市は2004年度から、市立動物園「よこはま動物園ズーラシア」で使う餌代などの一部を、個人からの寄付で賄う制度「アニマルペアレント」を導入した。寄付は好きな動物ごとに1口1万円から受け付け、寄付者の名前が園内設置のプレートに刻まれる。2002年度決算では、料金収入4億1100万円に対し、市の管理委託料が2倍以上の9億5800万円に上り、年間の餌代に5000万円かかっている。同様の制度は、北九州市の市立動物園「到津の森公園」が2002年1月から導入している。

 横浜市は2003年5月末から、横浜国際競技場へのネーミングライツ(施設命名権)を募集。契約金額は年5億円、期間は5年以上が条件だが、関心を示した企業との交渉が不調に終わり、スポンサーが現れないまま1年以上が経過した。現在も新たな打診を待っている状態。(田中潤)


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