宮崎県と宮崎市は7月から、医療保険が適用されていない体外受精と顕微授精による不妊治療を受けている夫婦に対して、治療費の一部を補助する事業を始める。県内や市に1年以上居住し、県内外の指定医療機関で4月以降に治療を開始して、夫婦の前年の所得合計額が650万円未満であることが条件。治療費の2分の1以内を助成し、1年度につき最高10万円。通算2年度分まで助成する。2004年度当初予算に県は3323万円、同市は1380万円を計上した。また、同月からは、東京都でも実施する。
この特定不妊治療費助成制度は、保険が適用されない体外受精、顕微授精を受ける不妊夫婦に、治療費の2分の1、年10万円を上限に2年間、国と自治体が折半して支給する仕組み。実施主体は都道府県、政令指定都市、中核市。実施自治体の中には、居住年数に条件をつけたり、女性に年齢制限を設けたりするなど、国の要綱に含まれない独自の項目を盛り込んでいるところもある。実施自治体以外の住民が不妊治療を受けた場合は、都道府県が助成する。6月末時点で、全国では16府県がすでに実施しており、2004年度中に27都道府県が実施する予定。
なお、札幌市は、「精神的ケアも含めた体制を確立したい」などの理由で2004年度の予算措置を見送った。北海道・旭川市も当初は見送ったが、6月補正予算に計上した。住んでいる地域によって助成が受けられないのは不公正だとの声も上がっている。
また、沖縄県は6月、不妊治療専門相談窓口「不妊専門相談センター」を設置した。相談員や医師が、電話や面接などで指導・助言し、医療機関紹介、治療内容相談のほか、家族のトラブルなど心理的ケアまで行う。センターでは専任助産婦4人が輪番制で電話相談を受け付け、内容に応じて医師やカウンセラーとの面接相談を行う。「不妊専門相談センター」は国のエンゼルプラン事業に基づいており、2003年度で全国35ヵ所に設置されている。2004年度中に全国の各都道府県で設置予定。(田中潤) |