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コールセンター誘致 自治体間で競争熾烈

2004/06/21

 石川県と金沢市は7月、コールセンター業界大手の「もしもしホットライン」を誘致する。従業員は地元採用を中心に300人程度。企業からの依頼で、電話による受付、問い合わせ、調査などのコールセンター業務を請け負う。県と金沢市は設備投資額の5%ずつを助成。また、県が専用電話回線料、市がオフィス賃料のそれぞれ半額を補助する。県は新規雇用者1人当たり地元採用で50万円、県外なら25万円を助成、さらに新規雇用者が市民の場合、市が20万円の奨励金を出す。

 コールセンターはオペレーターが顧客からの相談や苦情に電話で対応する拠点で、数十人から数百人規模の雇用を生み出すため、各自治体の誘致競争は熾烈となっている。

 仙台市は2003年10月〜3月まで、情報通信関連産業への雇用促進を目的に「コールセンター・スタッフ養成講座」を計6回開いた。10日間にわたり、電話の対応に加え、パソコン操作などコールセンターで行われる業務内容を実践的に習得する。養成講座は1回の定員が20人。受講料が無料(テキスト代は2000円)とあって、希望者が殺到した。

 佐賀県は2003年12月から、コールセンターで働く人を育てるため、センター業務の無料基礎講座を開講。即戦力の人材を確保して、多くの雇用が期待できるコールセンター誘致の目玉にする。講座は12講座(定員各20名)を開設する。
 また、同県は4月、誘致企業を担当した職員が異動後もその企業の窓口を兼務する新たな人事制度を設けた。異動後も担当職員については企業を定期的に訪問して企業側の要望を聞き、問題点の把握に努める「誘致企業永続専任職員」となる。その専任職員第1号には、九電が5月から業務を開始する佐賀市のコールセンターの立地を決めた際に窓口となった職員が任命された。

 宮城県は2月、コールセンター立地促進特別奨励金を増額し、制度を拡充した。2005年度末までに県内にコールセンターを新設や移転、増設する企業が対象で、県民をフルタイム換算で21人以上雇い入れることが条件。交付内容は基本額と加算額の2種類。基本額は、新規雇用者数に雇用形態別単価を掛けた額で、限度額は設けない。単価は新規の常用雇用者で30万円、新規の短時間労働と派遣労働者が24万円。期間中に雇用規模を拡大した場合にも1回に限り追加交付する。加算額は、各センターのコスト構造に応じて一定の補助率で交付する。投下固定資産額や通信回線使用料、オフィスや設備機器の賃料にそれぞれ5000万〜3000万円を限度に支給する。パートから契約社員に採用替えするような雇用安定化、オペレーターへの教育研修費、従業者の保育支援に関する経費の補助について、各センターの裁量で自由に組み合わせ、総額3000万円を超えない範囲で受け取れる。

 北海道は5月、コールセンターを誘致するため、進出を決めた企業の就職説明会の開催費用を全額負担するなど誘致促進事業を実施する方針を固めた。6月定例議会で、関連の事業費2460万円を提案。開催費用を負担するほか、コールセンターの就職希望者を対象に電話応対マナーやパソコン操作の講習会を開催する。北海道によると、道外企業6社と道内企業2社が2004年度から2005年度にかけ、札幌、旭川、釧路など道内計10ヵ所での開設を検討しているとのこと。10ヵ所の開設が実現すれば4000人の新規雇用が見込まれる。(田中潤)