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富山県 ピンクチラシを規制する条例制定へ

2004/06/11

 富山県は6月議会で、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」を改正して、公共の場でピンクチラシを配ることや、屋外など公共の場所にチラシを張り付ける行為を禁止する。配布行為が続いた場合は、6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金を科す。9月から施行される予定。
 富山市によると、県の条例が改正される前に、業者が駆け込みで市中心部周辺、郊外に無店舗型風俗店(出張ヘルス)の宣伝用ピンクチラシを張り付け、配布しているとのこと。2003年5月に市中心部周辺の奥田、光陽、蜷川、広田の4校区で450枚のピンクチラシを回収したが、2004年5月には張り出しが目立つ山室、山室中部、藤木、新庄の4校区も新たに回収地域に加え、回収枚数が1261枚となった。

 以下、ピンクチラシを条例で規制している自治体を紹介する。

 山口・下関市は3月、「迷惑ビラ根絶に関する条例」を制定、6月から施行した。市内全域を対象に、歩道橋やベンチ、街路樹、信号機、電話ボックスなどの「道路上の公共物」に限定して、ヤミ金融ビラとピンクビラについて、住民や、市内の企業・学校に通勤、通学する人ならだれでもはがして処分できるとした。市長のビラ排除命令に違反した業者らを、罰金100万円以下とする罰則規定も設けた。

 宮城県は3月、「ピンクちらし根絶活動の促進に関する条例」を改正、5月から施行した。ピンクちらしの定義を「性的なサービス提供」や「業者の連絡先」を記載したものとし、実態に即した内容に変更。罰則規定を盛り込み、ピンクチラシの撒き散らし常習者や、他人にピンクチラシの撒き散らしをさせた営業者に対し、6ヵ月以下の懲役、または50万円以下の罰金を科す。また、撒き散らし目的でピンクチラシを所持・携帯していた場合も、30万円以下の罰金または拘留などが科される。

 福岡市は3月、「ピンクちらし等の根絶に関する条例」を改正、5月から施行された。ピンクちらしの定義を、従来の「派遣型ファッションヘルスの広告、宣伝用の張り紙や立て看板」から「性的好奇心をそそるような写真や絵、文言があるちらしやポスター」と拡大。さらに、所持していただけで100万円以下の罰金を科せるようにした。

 千葉県は3月、「ピンクビラ等の提示、頒布、差入れ等の禁止に関する条例」を制定した。デートクラブなどを宣伝するビラやチラシを電話ボックスなどに掲示した場合に50万円以下の罰金、住宅などに配った場合は30万円以下の罰金または科料を科す。常習の場合はいずれも6ヵ月以下の懲役が加えられる。警察署長が、ピンクビラを警察職員に外させることができることも定めている。

 群馬県は3月、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」を改正、ピンクビラの公共の場での配布や掲示、住宅への差し入れなどを禁止した。違反者には20万円以下の罰金、または拘留(常習者は6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金)を科す。ピンクビラについて、「屋外広告物条例」で電話ボックスなどへの掲示に対してのみ規制していた。また、今回の条例改正では、ピンクビラのほかに鉄パイプや木刀などの凶器を正当な理由なく、公衆に不安を覚えさせるような方法で携帯することも禁止した。

 大分県が3月、「美しく快適な大分県づくり条例」を制定。ピンクチラシの張り付けのほか、ごみのポイ捨て、動物のふんや死がいの放置、自動車や自転車の放置、落書き、サーチライトなどの投光器の使用を禁止した。罰則は5万円以下の過料。罰則規定はないが、歩行中の喫煙も禁止した。また、公衆便所設置者の適正管理義務や日常生活での悪臭などについての配慮も盛り込んだ。

 千葉・松戸市は12月、「安全で快適なまちづくり条例」を制定、ピンクビラの掲示・配布を禁止した。違反した場合は業者名を公表するとしている。そのほかに、空き缶やタバコのポイ捨て、落書き、飼い犬・猫のフンの放置、路上への置き看板やのぼり旗トつきまとい勧誘、通行をさまたげるビラ・ティッシュ配り、市長が指定する重点推進地区内での指定場所以外での喫煙なども禁止した。(田中潤)


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ピンクチラシを条例で規制する自治体増」(2003/9/12)