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甲西町 たばこ小売業者を誘致する条例制定へ

2004/06/08

 滋賀・甲西町は6月5日、市町村たばこ税の増収を狙い、たばこ小売業者を誘致するための条例を制定する予定であることを明らかにした。売り上げの5%を上限に奨励金として交付する「投資誘発まちづくり条例」と最大3億円を低利融資する「民間活力創出支援条例」で、10年間継続して1億円以上納税できる企業を対象とする。市町村たばこ税は、小売り業者が所在する自治体に納められる仕組みとなっている。

 滋賀・栗東市は12月、市への納税額が7年間で60億円以上を見込まれる企業に対して、振興資金5億円を交付するよう、「企業事業資金貸付条例」改正案を提出。いったん委員会可決したが、2004年度の地方税制改正で市町村たばこ税都道府県交付金の創設が確実となり、条例改正の目的を達成することが難しくなったため継続審議とし、3月定例会で議案を撤回した。改正案は、3年半で納税額が30億円に達すれば振興資金2億5000万円を交付し、次いで60億円になればさらに2億5000万円を交付するため、借りた5億円の返済はなしとなるものだった。
 栗東町(当時、2001年10月から市へ移行)は1998年7月、小売業者に売り上げの5%を還付する「企業誘致特別条例」を施行し、町のたばこ税はそれまでの年間3億円から一挙に10億円へと増収となった。だが、総務省(旧自治省)は「一部業者への公金支出は不適切」「他の自治体への影響が大きい」「税体系が崩れる恐れ」との理由で指導し、1999年9月に同条例は廃止された。
 市は小売業者を引き止めようと、2000年6月から「@企業事業資金貸付条例」と「A工場誘致に関する条例」を施行している。@は10年間で納税額が50億円に達する見込みのある企業に5億円を貸し付けるというものだが、Aは土地取得奨励金として、上限3億円が交付されるのに加えて、固定資産税も2分の1に減免される。そのため、@の適用を受けている企業がAとの格差をなくすよう求めていた。

 なお、たばこ交付金制度は、昼間人口を含む成人1人当たりのたばこ税収が全国平均の3倍を超えた場合、超過分を都道府県に納める仕組みで、2003年度の税収に照らすと、栗東市、大阪・田尻町、京都・美山町などが対象となる。最も税収が突出している栗東市は、業者誘致前に2億〜3億円程度だったたばこ税収が2002年度決算では35億円にも上り、税収全体の25%を占める。市の試算によると、滋賀県へ納めることになる額は22億円。初年度は経過措置として2分の1に減額される。(田中潤)