山形・寒河江市、西川町、朝日町は5月29日、任意協を解散した。同任意協は2003年7月に発足。8回の協議会会合、105回の分科会会合を開き、2003年12月には新市建設計画案をまとめていた。西川町と朝日町は3月、3市町での合併の是非を問う住民アンケートを実施。2町とも「反対」が多数を占め、法定協への参加が見送られることになった。両町には、「対等合併とはいえ結局は吸収される」「いずれ過疎化が進む」「合併は寒河江ダムの税収目当てで、借金の多い寒河江市だけが良くなる」との意見があった。また、朝日町は飛び地合併となることも影響した。
埼玉・上尾市、桶川市、伊奈町は5月29日、合併協議準備会を解散した。合併方式をめぐって、編入合併を求めた上尾市に対して、桶川市は新設合併(対等合併)を主張、伊奈町は桶川に合併方式で譲歩するよう働き掛けていたが、折り合わなかった。
以下、合併協を解散、離脱した最近の事例を紹介する。
青森・階上町は4月13日の町議会で、八戸地域法定協(八戸市、田子町、名川町、南部町、福地村、階上町、南郷村、新郷村)の継続について同意を求める議案を否決。法定協から離脱する意向を表明した。階上町は2003年2月の住民投票の結果、同法定協への参加を決めたが、法定協では、都市計画区域の線引きに反対し、事務局案を差し戻したことなどがあった。住民グループも3月、「階上町の自立を求める」陳情を町議会に提出し、採択されたため、法定協離脱を目指す動きが表面化した。
沖縄・多良間村は4月15日、宮古地区法定協(平良市、城辺町、下地町、伊良部町、多良間村、上野村)からの離脱を表明。「同村の合併協離脱問題が審理停滞を招いている」「住民投票で過半数が合併に反対している」ことが原因。同村以外の5市町村は6市町村による法定協を解散し、5市町村による法定協の枠組みで、2005年1月日の合併を目指す。
愛媛・宇和島市は4月15日、吉田町・三間町・津島町との法定協から離脱する意向を表明した。津島町が建設事業費を増大させる反面、借金を新市に引き継ごうとしている点や、新市の名称を巡って「宇和島市」を主張する宇和島市に津島町が反発したり、組織機構で水産課設置を望む津島町に市が反対したことなどが原因。これを受けて、津島町長は5月20日、公約である1市3町の合併ができなければ、責任を取って辞職する意向を示した。宇和島市、吉田町、三間町は3町での合併に向けて検討している。
青森・大間町は4月26日の臨時議会で、むつ下北地域法定協(むつ市、横浜町、川内町、大畑町、大間町、風間浦村、佐井村、脇野沢村)での法定協継続について同意を求める議案を否決。同町は法定協からの離脱を明らかにした。同町は2003年9月に、法定協設置議案をいったん否決したが、10月になって可決した経緯がある。同町は2003年12月に住民アンケートを実施、町存続を望む意見が周辺7市町村との合併を望む意見を上回った。また同町では、大間原発が2012年3月に運転開始の予定で、2013年度からは原発関連の多額の固定資産税が入る。2024年度までの税収は総額395億円と見込まれ、2004年度後半から2011年度までに交付が見込まれる電源3法交付金は72億6000万円に上る。それでも、町の試算では2005〜2012年度の8年間は赤字が続き、2007年度以降は財政再建団体に転落することが予想されており、2005年度以降の8年間をどう乗り切るかが課題となる。大間町を除く7市町村は法定協を解散、6月に、新たに法定協を設置する予定。
山口市、防府市、徳地町、秋穂町、小郡町、阿知須町は4月26日、山口県央部法定協の活動停止を決めた。新市庁舎の設置位置を巡り協議が難航したことが原因。新市庁舎の設置位置は「合併時は山口市、将来は新市で決定」で合意したが、「合併後10年を目途に、JR新山口駅周辺が適地」との付帯決議に防府市が難色を示した。その後、山口市、秋穂町、小郡町は阿知須町を含めた4市町での合併を検討しているが、阿知須町は6市町村での法定協継続を求めている。防府市、徳地町は2市町での合併を検討中。
群馬・月夜野町は4月26日、利根沼田地域法定協(沼田市・月夜野町・水上町・新治村)から離脱する意向を表明。同法定協は5月31日から休止した。沼田市が4月に、いったん合併協議から離脱した白沢村、利根村と法定協を設置したため、月夜野町・水上町・新治村が反発していた。
栃木・大平町、藤岡町、岩舟町は4月30日、法定協を解散した。新市庁舎の設置位置を巡り協議が難航したことが原因。
埼玉・美里町は5月6日、住民投票の結果を受けて、児玉地域法定協(本庄市、美里町、児玉町、神川町、上里町、神泉村)に離脱を申し入れた。同協議会は2002年12月に発足し、13回目の協議会では合併後の新市の名称を「こだま市」とすることも決まっていた。
石川・門前町は5月10日、穴水町との合併協議の凍結を求める決議案を可決した。法的拘束力はないが、今後の合併協議に影響するものとみられる。両町は2003年4月に法定協を設置し、4月12日に新町名を「鳳町(おおとりまち)」に決定。凍結決議は、庁舎位置や議員・職員定数など協議が本格化する矢先だった。
兵庫・洲本市は5月10日、五色町との法定協を休止する考えを表明した。派遣していた職員も法定協から引きあげる。洲本市は合併期日を巡って、ITを導入した電算システムへの移行がスムーズにできる2005年1月1日で譲れないとしていたが、五色町は12月に完成する新庁舎への移転などが重なるため、合併特例法の期限の2005年3月31日を主張していた。
岐阜・岐南町は5月12日の臨時議会で、岐阜広域法定協(岐阜市、羽島市、岐南町、笠松町、柳津町、北方町)からの離脱を求める請願が採択され、同法定協からの離脱が決定的となった。2003年5月に実施した住民投票で岐阜市との合併を選択したが、この結果を覆した。羽島市が4月に実施した住民投票の結果、法定協を離脱したことや、岐阜市の産廃不法投棄事件が合併へのマイナス材料になった。
また、笠松町も6月6日に住民投票を実施。岐阜市との合併に「反対」が「賛成」を上回り、岐阜市から離脱することととなった。羽島市、岐南町に続く、笠松町の離脱で、岐阜市との合併を目指すのは柳津町と本巣郡北方町のみとなった。
高知・赤岡町、香我美町、野市町、夜須町、芸西村、吉川村は5月24日、6月30日付で法定協を廃止することを決めた。野市町、赤岡町、夜須町の各臨時議会が同日、法定協廃止議案を可決したことで、6町村議会すべてで可決された。野市町と芸西村は4月に、それぞれ住民アンケートを実施した結果、いずれも合併反対派が過半数を占めた。これにより、2町村は5月14日、法定協からの離脱を表明し、法定協解散につながった。
鹿児島・大崎町は5月24日の市町村合併問題調査特別委員会で、曽於南部法定協(松山町、志布志町、有明町、大崎町)から離脱する規約変更議案を可決した。5月に実施した住民投票の結果、「合併しない」が多数を占めたことをを受けてのこと。
熊本・甲佐町は5月26日の臨時議会で、いったん否決していた御船町との法定協廃止案を可決した。御船町は同案を可決しているため、法定協は5月31日に廃止となった。4月に御船町で実施した住民投票で合併に反対が多数を占めたため、両町長は合併の見送りに合意していた。
群馬・玉村町は5月26日、合併せずに自立することを表明した。オブザーバー参加していた伊勢崎市・赤堀町・東村・境町法定協からも離脱。玉村町では新町との任意協設置を目指す動きもあったが、新町が5月に実施した住民投票の結果、「高崎地域との合併」が多数を占めたことも影響した。
岩手・野田村は5月23日、住民投票を実施、普代村との合併に「反対」の意見が多数を占め、任意協を解散する意向を示した。三位一体改革が進み、小さな両村が合併しても財政面などに不安が残ることが原因とみられる。野田村は6月3日、久慈市・山形村の任意協に参加することで合意した。(田中潤) |