岡山市は6月市議会で、市域の8割を占める市街化調整区域内での「ラブホテル」建設を規制するため、「開発行為の許可基準等に関する条例」の改正案を提出する。市街化調整区域内での建設は本来認められないが、都市計画法で「既存宅地制度」を利用して建設することができる。「既存宅地制度」は2006年度に都市計画法の改正で廃止されるが、駆け込み建設を防ぐために、条例で規制することとなった。
愛知・東郷町は3月、ラブホテルを規制する「ホテル等適正化条例」を制定した。外部からフロントやロビーを見通すことができず、食堂や会議室がないなどの施設をラブホテルとみなす。建設を認めないと同時に、一般のホテル建設に際しても、隣接土地権利者全員と周囲300m以内の住民の3分の2以上の承諾を必要とする。
北海道・北広島市は2003年10月、ラブホテル建築規制検討委員会を発足。2004年3月には提言書をまとめ、条例で規制することが望ましいとした。
ラブホテル以外に、パチンコ店やゲームセンターなどを規制する自治体もある。
兵庫・宝塚市は2003年9月、パチンコ店などの建築を規制する「パチンコ店等、ゲームセンター及びラブホテルの建築等の規制に関する条例」を改正した。商業地域のみで認めていた建築を工業地域などでも認める一方、学校や通学路、図書館など指定施設の周辺で建築規制区域を設けた。また、建築する場所が商業地域や工業地域でも住宅が多い地域から50m以内だと建築できないようになった。建築工事の中止と原状回復などの命令に応じない場合、6ヵ月以下の懲役または罰金とし、建築確認申請前の事前説明会を開かなかった場合は5万円以下の過料とした。
神奈川・小田原市は2003年11月、「地域の安心・安全を守る都市づくり宣言」を出した。川東南部地域の工業系用途地域152haを対象に、敷地面積1ha以上で、延べ床面積5000u以上の店舗・飲食店、ボウリング場など運動施設、カラオケボックス、パチンコ店、ゲームセンター、劇場や映画館、公衆浴場などを規制する。土地利用調整委員会が業者からの開発の相談を「了承しない」ことで、進出を防ぐ。渋滞緩和や青少年健全化が狙いで、周辺の道路環境が整う2008年頃には見直す方針。ただし、この宣言に法的強制力はない。
兵庫・西宮市は3月、「地区計画等の区域内における建築物等の制限に関する条例」を制定した。同地区内に出店を計画していたパチンコ店はこの動きを察知して2月中旬に着工を開始。「環境保全条例」に基づく市長の同意を得ていないため違反となるが、20万円以下の罰金を支払うだけで工事を続行できる。「地区計画等の区域内における建築物等の制限に関する条例」では、すでに着工しているパチンコ店の建設を止めることはできず、周辺の住民は出店反対を表明。業者側は建設続行の構えを崩していない。市の対応は後手に回った格好。
千葉・鎌ヶ谷市は3月、「教育環境保全条例」を制定した。学校や公民館、生涯学習センターなどの教育施設の周囲100mを「教育環境保全地域」と定め、地域内でゲームセンターやパチンコ店などの風俗営業店が出店する場合、事前に市に届け出を求めるというもの。届け出を受けた市は情報を各施設や周辺のPTA、自治会などに提供し、必要な場合は市が業者に計画変更の要請をする。
栃木県は4月から、市街化調整区域への大規模商店街施設の建設を、地元市町村の合意や農地計画と調整がつけば認める。対象は敷地面積5万u以上の物品販売やレストランなどの施設。パチンコ店や風俗店などは認めない。
奈良・河合町は2月、県よりも厳しい内容の「パチンコ店営業の規制に関する条例」を廃止した。この条例は、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」や県条例で規制対象となっていない準工業地域や、学校の周囲200m(県条例では100m)、古墳などの史跡からは500m(県条例に規制なし)以内でパチンコ店の営業を禁止するというもの。同町内で、準工業地域への出店を希望する業者が現れたため、町は条例廃止に踏み切った。なお、「パチンコ店等、ゲームセンター及びラブホテルの建築等に関する条例」を制定していた宝塚市は、市規制地域に出店しようとしたパチンコ業者を訴えたが、2002年に敗訴し多額の損害賠償を命じられ、条例を改正した。(田中潤)
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