広島県は5月27日、6月議会で「県営住宅設置及び管理条例」の改正案を提出する方針を決めた。条例案に「県営住宅には暴力団組員を入居させない」と明記、県営住宅から暴力団組員を排除する。組員の入居が判明次第、県は退去を求め、従わない場合は明け渡しの訴訟も辞さない。入居希望者の申込書には、組員かどうかをチェックする項目を設ける。広島市、福山市、呉市も県と同様の条例案を6月議会に提出する方針。国交省によると、「全国でも県や市レベルでは聞いたことがない珍しい取り組み」とのこと。
広島県はそのほかにも暴力団対策に取り組んでいる。
県は2003年7月、公共工事から暴力団などを排除するため、不当な介入を受けた建設業者に県と県警への報告、届け出を義務付ける施策を始めた。言いがかりやあいさつ料の要求、下請けの参入強要といった暴力団などの不当介入を受けた業者に、県への報告、県警への届け出を義務付ける。怠った業者には、1ヵ月以上の指名除外処分が適用されることもある。
県警はその導入に合わせて、27全署に公共工事等不当介入排除専門官を配置。専門官は、届け出窓口である各署の刑事課長の指示で現場に出向き、業者からの聴取や介入の実態調査をするほか、要求をしてきた暴力団などへ警告し、捜査を進める。県など発注側の工事担当者との連絡役も努める。
県警は2003年11月、街宣活動を悪用した政治結社の違法行為を取り締まる「街宣屋等特別対策本部」を設置。政治結社が得た違法な利益が暴力団の資金源になっているとして、摘発に乗り出す。
県警は2004年3月、暴力団との関係が判明した企業に対して融資の自粛を求める制度を開始。県内に営業拠点を持つ銀行や信用金庫など金融機関67社に協力を要請した。暴力団関係者が役員に名を連ねていたり、便宜供与があった企業を県警が確認した場合、県銀行協会や県信用保証協会など金融4団体を通じて金融機関に企業名や所在地などを連絡。金融機関は自主判断で、企業への融資中止などの措置を取る。法律上の強制力や罰則はない。(田中潤) |