京都府は4月から、「小規模企業おうえん融資」を実施。受け付け開始の4月19日から5月25日までに、707件、45億5700万円の融資が成立した。従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)の企業が対象で、府税と京都市税(京都市民の場合のみ)を滞納していないことが条件。限度額は1250万円。売り上げの増減や国の納税要件(黒字)を満たすかどうかで、利率(2.0%〜1.5%)は異なる。融資期間は、運転資金で5年、設備投資で7年。府信用保証協会が債務保証し、担保や連帯保証人の必要はなし。
埼玉・草加市は4月から、「商工業活力増進資金融資」を実施。当初予定していた、融資の限度額を超えてしまい、4月7日で受付を締め切ることとなった。県信用保証協会と共同で1週間程度の審査で運転資金などの融資が受けられる融資制度で、市の審査の代わりに、同協会が運用している「中小企業信用リスクデータベース」で迅速に審査し機関を短縮する。市内に1年以上、事業所を置く中小企業が対象。融資限度額は2000万円、保証人は企業代表者だけで担保は不要。融資の条件に「市税の完納」「債務超過がない」などの枠を設定している。
北海道は2004年度から、金融機関から融資を受けられない道内中小企業を対象に、企業の事業再生計画をサポートし、道が「お墨付き」を与えることで金融機関から融資を受けやすくする支援制度を導入した。地域産業支援センターに相談し、同センターなどが「再生可能」と判断した場合、企業と同センターが共同で事業再生計画を策定する。融資額の上限は1社当たり1億円とし、用途は人員整理などにかかる支出に限定、通常の運転資金には使えない。年間100社の利用を見込む。同計画を策定した企業に対し、実際に融資するかどうかは各金融機関の判断に任せる。融資が焦げ付いた場合、道と道信用保証協会がそれぞれ融資額の4割を損失補てんし、残る2割は貸し出した金融機関の負担となる。
大阪府は2004年度、府内の地方銀行や信用金庫に総額12億5000万円の資金を預託することで、中小企業への貸出金利を通常の3〜5%から1%引き下げる新制度を始める。原則無担保で、金融機関による100億円の融資実現が目標。融資対象は、経営革新や技術開発の強化を目指す年商5億円以下の中小企業。1社当たりの額は3000万円程度で、300社への融資を見込む。
そのほか、ここ半年ほどで、自治体が実施した中小企業への融資制度を紹介する。
茨城県は2003年10月、債務超過ながら再生能力のある中小企業に対して、損失保証を行う中小企業再生支援融資制度を創設した。@金融機関が個別に判断して1社5000万円まで融資するケースとA県中小企業再生支援協議会の審査で1社1億円まで融資するケースの2パターンに分けられる。融資先が破綻した場合、@のケースでは、融資額の7割を国が、残りの融資額の3分の1を県と県信用保証協会が損失補償する。Aのケースでも、国が7割、残りの融資額の半額を県、県信用保証協会が負担する。県は融資枠として9月補正予算に60億円を計上した。
山梨・大月市は2003年11月、「『元気を出せ』経営支援緊急融資条例」を制定した。市内小規模商工業者が金融機関から融資を受ける際、信用保証協会と市が債務を保証するというもの。事業者が借入金を返済できなかった場合、保証協会が代位弁済する。保証協会が保険金で補えない損失部分は、その9割を市が保証する。保証協会の損失を市が保証することで、融資の促進を図ることが狙い。原則的に無担保で第3者保証人は不要。
福岡県は2003年12月から、無担保・第3者保証人不要の新融資制度「元気フクオカ資金」を創設した。県と金融機関、信用保証協会が3分の1ずつリスク負担する仕組み。これにより金利は通常金利の保証料に加えた程度に抑えられ、5000万円を限度に運転資金の融資を始める。
仙台市は2004年1月から、宮城県と同市の制度融資と信用保証協会の保証付きで銀行などから受けた融資を一本化した上で現在の金利で借り換える「再生支援借換特別保証制度」を実施した。高金利の債務返済で資金繰りが圧迫されている企業を支援するのが狙い。支払不能となった場合は、信用保証協会が金融機関に対して代位弁済。協会の損失は80%が保険でカバーされ、市は16%を損失補償する。残る4%は協会の負担となる。(田中潤) |