栃木・高根沢町は4月18日、宇都宮市との法定協設置の是非を問う住民投票を実施(投票率63.08%)。「賛成」が7410票となり「反対」の7195票を上回った。これを受けて同町は5月17日、宇都宮市と法定協を設置した。なお、同町は既に町議会の意向を受けて芳賀町とも法定協を設置しており、これに反発した町民が宇都宮市との法定協設置を請求。町議会が設置議案を否決したため、今回、住民投票の実施を決めた。宇都宮市も上河内町、河内町、上三川町と法定協を設置している。
静岡・由比町は4月25日、静岡市との法定協設置の是非を問う住民投票を実施(78.38%)。「賛成」が4361票、「反対」が1992票となり、4月27日には静岡市と法定協を設置した。静岡市は既に蒲原町とも法定協を設置している。
以下、市町村合併に絡んで、4月に住民投票を実施した自治体を紹介する。
岩手・平泉町は4月4日、一関市、花泉町、東山町、川崎村との法定協設置の是非を問う住民投票を実施(85.93%)。「賛成」が3554票、「反対」が2590票となり、既に議会の議決を得ている4市町村に平泉町を加えた法定協の設置が決まった。町議選も同日実施され、賛成派が10人、反対派が6人となった(改選前は賛成派が8人、反対派が10人)。同町ではこれまで、一関市などとの合併を目指す町長と、衣川村との合併を推す議会多数派が対立していた。
愛知・祖父江町は4月11日、稲沢市、平和町との合併についての是非を問う住民投票を実施(66.83%)。「賛成」が6931票と「反対」の5502票を上回り、6月に予定している合併協定書の調印に向けて前進した。
埼玉・吹上町は4月18日、合併の枠組みなどを問う住民投票を実施(73.75%)。「鴻巣市・川里町との合併」が7596票、「行田市・南河原村との合併」が7245票、「合併しない」が1753票となった。また、町長選と議員選も同日実施。「合併は住民投票の結果を尊重する」としていた新人が、行田・南河原との合併を掲げた前町長を破り当選した。町議選でも、新町長を支持する新町議が過半数を超えた。
佐賀・厳木町は4月18日、唐津市、浜玉町、相知町、北波多村、肥前町、鎮西町、呼子町との合併の是非を問う住民投票を実施(80.14%)。「賛成」が2529票、「反対」が1067票となり、議会特別委の判断とは反対の結果になった。この住民投票の結果を受けて同町は4月19日、町議会で合併関連議案を可決した。
鳥取・気高町は4月18日、鳥取市、国府町、用瀬町、智頭町、鹿野町、青谷町、福部村、河原町、佐治村との合併の是非を問う住民投票を実施(62.02%)。「賛成」が4045票、「反対」が1716票となり、新しい鳥取市が人口20万人以上の「特例市」となる公算が強まった。ただし次に述べるように、法定協から智頭町が離脱すると、人口が19万740人となり、特例市になる要件を満たさなくなる。特例市になると、騒音規制法や振動規制法など、13法律14項目の事務が県から委譲される。
鳥取・智頭町は4月25日に、鳥取市、河原町、用瀬町、佐治村との大規模合併を問う住民投票を実施(79.59%)。「賛成」が3143票、「反対」が2953票となった。同町は2003年10月にも住民投票実施したが、前回と同じ結果となった。これにより智頭町を含む5市町村での法定協は存続することとなり、5月10日には、鳥取市、河原町、用瀬町、国府町、気高町、鹿野町、青谷町、佐治村、福部村での東部9市町村法定協と一本化し、同日付で県東部10市町村法定協とすることを議決。同日には、単独存続を主張していた智頭町長が「自分の気持ちが持たない」として辞職した。鳥取市と周辺9町村は5月15日、合併調印式を実施したが、智頭町は5月17日、臨時町議会で編入合併の賛否を問う議案を否決。翌日予定されていた県への合併申請書提出が延期された。さらに5月20日、合併案を再提案したが再度否決。合併推進派の住民グループは5月24日、合併反対派8人に辞職求める文書を郵送。辞職しない場合は、解職請求の手続きに入り、請求代表者を町選管に届け出る。町としては、6月20日に投開票を予定している町長選で決まる新町長に判断を委ねる考えとのこと。合併協定書調印後に議会で否決された例は、2003年10月に広島市との合併を進めていた海田町議会など数例ある。
岐阜・羽島市は4月18日、岐阜市、岐南町、笠松町、柳津町、北方町との合併の是非を問う住民投票を実施(62.02%)。「反対」が1万8010票となり「賛成」の1万3867票を上回った。岐阜市の産廃不法投棄事件が新市の財政に及ぼす影響への懸念が大きかったとみられている。この結果を受けて同市は4月28日、法定協からの離脱を表明した。
兵庫・御津町は4月18日、姫路市との法定協設置の是非を問う住民投票を実施(71.56%)。「反対」が4680票、「賛成」が2165票となり、両市町の法定協設置はなくなった。同町は2005年3月の合併を目指して、既に龍野市、新宮町、揖保川町、太子町と法定協を設置しており、姫路市も4月5日に、香寺町、安富町との法定協を設置している。今回の住民投票は3月に、住民グループが請求し、実施された。
埼玉・美里町は4月25日、本庄市、上里町、神川町、児玉町、神泉村の5市町村との合併の是非を問う住民投票を実施(59.29%)。「反対」が3038票、「賛成」が2765票となり、同町は法定協から離脱の意向を表明。同法定協は6月解散予定。
熊本・御船町は4月25日、甲佐町との合併の是非を問う住民投票を実施(63.73%)。「反対」が7451票、「賛成」が1962票となり、法定協廃止案を御船町が可決した。甲佐町は5月19日、法定協廃止案を否決したが、2町での法定協は事実上困難となり、5月31日に法定協を解散する予定。
広島・大野町は4月25日、大竹市との法定協設置の是非を問う住民投票を実施(43.67%)。「反対」が5787票と「賛成」の3251票を上回った。同町は4月1日に、廿日市市との法定協を設置しており、これまでの路線が信任された。(田中潤) |