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授業料や給食費などの徴収も強化

2004/04/27

 前回、「滞納に悩む自治体 徴税強化へ」の記事を紹介したが、学校の授業料や給食費などの徴収強化に取り組む自治体も多い。

 福島県は4月21日の県立学校教頭会議で、県立高の授業料未納入金対策として、未納入者に対する学校側の「徴収マニュアル」を示した。授業料1ヵ月滞納者には督促状を送付、2ヵ月滞納者には保護者に対する面接指導、3ヵ月滞納者には家庭訪問で納入を促し、4ヵ月滞納した場合には学校長の判断により出席停止を命じることができるというもの。また、2004年度から授業料の免除を決定する際の最低収入基準額を10%引き下げ、毎月17日の授業料の口座引き落とし日を一般企業などの給料日が多い25日前後に変更する方針。2003年度末の未納額は5340万円となっている。

 岩手・滝沢村は2月、小中学校の給食費を1年以上滞納している保護者を対象に未納金回収を強化するため、「村長専決条例」を改正。条例改正前でも、悪質な給食費未納者に対して、裁判所を通じた督促を行うことは可能だったが、督促後2週間以内に異議申し立てがあった場合、訴訟を行うためには議会の議決が必要だった。条例改正後は、村長の専決処分として、議会の議決なしに提訴や分納に同意することが可能になる。裁判所が未納者の財産を差し押さえるケースが増え、未納金回収が進むとのこと。村の未納額は2月時点で174件、2660万円。村は2001年以前から滞納がある悪質な未納事案19件について申し立てを行い、盛岡簡裁は4月中旬に支払い督促を未納者に発布した。

 仙台市は2月、小中学校の給食費滞納に対し、生活困窮の家庭以外は原則として、訴訟など法的手段を前提とした強い姿勢で支払いを求める方針を決めた。2月下旬から滞納世帯に「法的手段前提」の姿勢を通告し、滞納理由を確認。「生活困窮」の世帯には、生活保護などを促し、助言を無視して受給申請しなかったり、受給資格がないと判断されたりした世帯は徴収対象とみなす。徴収対象整体には再度文書で催促状を送り、2週間程度の期限付きで支払いを求め、応じない場合は法的手段を取る方針。2002年度の滞納額は1568世帯、3501万円。

 また、大阪府は2004年度から、全府立高校の普通教室に設置するクーラーについて、空調代を生徒1人に全日制で年5400円徴収する。減免措置は設けず、催促状を何度出しても滞納が続いた場合は生徒を出席停止とし、その後2ヵ月間、滞納が続けば退学処分とする。都道府県立高校で、一斉に全普通教室に設置するのは大阪府が初。設置費用は192億円で13年かけて払う。工事費は府の一般財源で賄い、生徒からの空調代は電気・メンテナンス代の一部にあてる。(田中潤)