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地方競馬 累積債務さらに増大

2004/04/07

 岩手競馬は4月3日、水沢市の水沢競馬場で開幕した。市民団体がイベントを開催するなど支援し、販売総額は2億9200万円(2003年度比11.4%増)となった。
 同競馬組合は2003年度予算で、県競馬会館と旧盛岡競馬場跡地を計21億円で売却予定だったが買い手がつかず、競馬事業の赤字額19億9000万円と合わせて、2003年度の単年度赤字は40億9000万円、累積赤字は2003年度末で106億4000万円(見込み)となった。
 管理者である増田知事は3月22日、2006年度までの3年間で黒字転換を目指して抜本的な経営再建に取り組み、存廃を最終判断することを表明。2004年度前半中に経営改善計画の策定し、その枠組みに沿って2005〜2006年度は事業を継続する。

 地方競馬の状況は依然として厳しいもので、累積債務が増大し自治体財政を圧迫している。農林水産省によると、2002年度に単年度収支が黒字となったのは、21主催者(足利市と島根・益田市は2002年度、山形・上山市は2003年度で撤退し、現在は18主催者)のうち、埼玉県浦和競馬組合(4億5200万円)、特別区競馬組合(1億8600万円)、千葉県競馬組合(1億7700万円)、佐賀県競馬組合(8800万円)の4主催者のみ。なお、2002年度末時点で累積赤字の多い主催者は岩手県競馬組合のほか、北海道(173億8600万円)、高知県競馬組合(89億8900万円)、神奈川県川崎競馬組合(47億9600万円)、群馬県競馬組合(44億1600万円)となっている。

 全主催者の2003年度の単年度収支はまだ明らかになっていないが、地方紙などで明らかになっているものを紹介する。

 高知県競馬組合は、106連敗中の人気サラブレッド「ハルウララ」の活躍で、2003年度は9200万円の黒字の見通しとなった。高知県は2002年度末に、単年度収支で赤字ならば廃止することを決定。同県競馬組合は賞金を最大40%引き下げ、従業員給与を10%削減した。黒字分の使い道は、4000万円を施設改修などに使う財政調整基金に繰り入れ、5200万円は2004年度の売り上げが伸び悩んだ場合に賞金類の減額を防ぐ調整用財源に使う。それでも、2003年度の自場分の年間総売上額は66億3200万円(2002年度比10億円減)と、まだまだ予断を許さない状況となっている。

 そのほか、栃木県(9億9800万円)、愛知県競馬組合(8億円)、群馬県競馬組合(7億900万円)、石川県(5億円)、佐賀県競馬組合(3億3000万円)、北海道市営競馬組合(2億円)などで単年度収支が赤字であることが明らかとなっている。

 2003年度で撤退することとなった上山市は、市が所有する本場(上山競馬場)、松山、飯舘(福島)の3発売施設を各競馬主催者に貸与する形で、場外発売を続ける。2004年度の売上金は66億6500万円の見通しで、施設貸付料として売上金の4%が市の特別会計に入る。
 また、かみのやま競馬の跡地処理について、合併協議を進めている上山市と山形市が対立している。上山市は、場外馬券売り場部分などを除く17万4000uの跡地を同市の土地開発公社へ43億8500万円で売却し、調教師やきゅう務員らへの見舞金や負債処理などに充てることを決めたが、それに対して山形市が反発。両市は合併後、上山市の公社を山形市の土地開発公社に統合することで合意しており、山形市は土地が塩漬けになることを危惧。両市の合併協議は新市の議員数をめぐっても、上山市は在任特例の適用を求めて対立しており、競馬場跡地処理問題でさらに協議が難航することが予想される。(田中潤)


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