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市町村合併:3月実施の住民投票は10件

2004/04/02

 3月は、市町村合併に関する住民投票が11件実施された。そのうち、沖縄・下地町で3月28日に実施された住民投票は、投票率が43.60%と成立要件の50%に満たず、不成立となった。同町は、「町民は判断を町と議会にゆだねた」として従来どおり合併推進を進める方針。そのほかに、佐賀・北方町(2月)や沖縄・西原町(2003年9月)などの住民投票でも投票率が成立要件に達せず不成立となったことがある。

 以下、日時順に実施された住民投票を紹介する。

【3月7日】
 熊本・産山村は、町村合併の枠組みについて住民投票を実施(投票率は83.31%)。「一の宮町、阿蘇町と波野村」との4町村案が525票、「南小国町、小国町」との3町村案が176票、「単独」が480票となった。だが、同村議会は3月25日、一の宮町、阿蘇町、波野村との合併を推進する決議案を否決。住民投票で決まった合併の枠組みが振り出しに戻った格好。また、一の宮町、波野村、産山村の3町村でも、法定協を設置する住民発議をそれぞれ否決した。

【3月14日】
 鹿児島・枕崎市は、知覧町との法定協設置の是非を問う住民投票を実施(投票率は57.25%)。「賛成」が9536票、「反対」が2155票となり、両市町は4月1日、法定協を設置した。両市町では、枕崎市長と知覧町議会が1市1町を、知覧町長と枕崎市議会が両市町を含む2市5町(加世田市、笠沙町、大浦町、坊津町、川辺町)の枠組みを支持する複雑な構図となっていた。枕崎市議会が2月臨時会で、1市1町設置案を否決したのを受けて、市長が住民投票を請求した。

【3月21日】
 埼玉・江南町は、熊谷市、大里町、妻沼町との「1市3町」での合併の是非を問う住民投票を実施(投票率は59.54%)。「賛成」が2704票、「反対」が3150票となり、「反対」が「賛成」を上回る結果となった。
 そもそも熊谷市と深谷市、大里郡7町(岡部町、川本町、花園町、寄居町、大里町、江南町、妻沼町)は「2市7町」による合併を目指していたが、2003年1月に、熊谷市と深谷市による合併協議が庁舎の位置を巡って決裂。これにより、「2市7町」での枠組みが深谷市、岡部町、川本町、花園町、寄居町の「1市4町」と、熊谷市など「1市3町」に二分した。
 江南町は今回の住民投票の結果を尊重しなければならず、同町は31日、「1市3町」での法定協からの離脱を申し入れ、当面は単独でやっていく方針を明らかにした。熊谷市は大里町、妻沼町との合併協議を継続する考えだが、大里町は江南町を除く合併協議の継続に慎重な姿勢を見せている。
 また、寄居町は3月に、「1市4町」の法定協から離脱する意向を示しており、「1市4町」の法定協は崩壊する模様。

 埼玉・小鹿野町、横瀬町、荒川村は、秩父郡市7市町村(秩父市、吉田町、両神村、大滝村)での合併の是非や枠組みを問う住民投票をそれぞれ実施(投票率は72.50%、57.11%、65.39%)。
 小鹿野町では、「両神村との合併」が3689票、「7市町村での合併」が2998票、「合併しない」が162票となり、小鹿野町は22日、両神村に合併協議を申し入れ、24日に両神村は受け入れの意向を表明。両町村は吉田町を含めた3町村での合併を検討し、29日に吉田町に合併協議を申し入れた。吉田町は秩父市、大滝村、荒川村との4市町村での合併を検討している。
 横瀬町では、7市町村合併に「賛成」が1407票、「反対」が3135票となり、同町は26日の臨時議会で、秩父郡市7市町村による法定協からの脱退案と廃止案を可決した。
 荒川村では、7市町村合併に「賛成」が2041票、「反対」が1197票となった。

 群馬・嬬恋村は、長野原町、草津町、六合村との法定協設置について是非を問う住民投票を実施(投票率は72.31%)。「賛成」が3317票で「反対」の3012票を上回った。村は2003年10月のアンケート結果で「合併反対」が多数を占めたことを受けて、2003年末に4町での法定協が設置される前に合併協議から離脱し、自立路線を進めていた。だが、この結果を受けて、4町村による法定協を設置し、すでに設立されている3町村の法定協と並行して合併協議が進められることになる。

 広島・大和町は、合併の枠組みを問う住民投票を実施(投票率は87.15%)。「三原市、本郷町、久井町」が2919票、「東広島市」が2146票となり、同町が三原市、本郷町、久井町とすでに進めてきた合併協議が信任された。同町は2003年5月に、当時合併協議を進めていた東広島市との合併方針を転換。リコール運動まで起きたが、町長は辞職して2003年8月の町長選で、再当選していた。

 高知・西土佐村は、中村市、大方町、佐賀町との合併の是非を問う住民投票を実施(投票率は82.64%)。「賛成」が1662票、「反対」が879票となり、合併を推進してきた同町の方針が認められた格好。佐賀町でも5月に、住民投票が予定されているため、4市町村での合併が最終的に確定するのはそれ以降となる。

【3月28日】
 兵庫・南光町は、佐用町、上月町との合併の意思を問う住民投票を実施(投票率は74.88%)。「合併する」が1945票で、「合併しない」の860票を上回った。佐用町、上月町は4月に法定協を設置しており、南光町は両町に法定協への参加を申し入れる予定。
 南光町は2003年11月、三日月町を加えた4町での合併の是非を問う住民投票を実施し、「合併する」が多数を占めたが、2003年12月に三日月町が実施した住民投票では、「合併しない」が半数を超え、1月には4町による法定協を解散。今回は、異例の2度目となる住民投票だった。(田中潤)