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少人数学級の導入広がる

2004/03/24

 埼玉・北本市は3月22日の定例議会で、少人数学級に関する「市立学校教員の給与及び勤務時間等に関する条例」案を否決。さらに、同事業費2100万円を盛り込んだ2004年度一般会計当初予算案なども慎重審議が必要とし、会期の延長を決定、25日に採決することになった。同事業は、市内の小学1年生を対象に30人以下の少人数学級を編成、市費負担の教職員が直接学級を担任できるようにするというもの。「きめ細かな教育特区」が第3回特区で認定され、教職員の採用試験も実施して、4月からの導入に備えていた。
 ところが、国が少人数学級も国庫負担対象として従来の制度を緩和したため、埼玉県は2004年度から、小学1年生について、学級編成基準を現行の38人から35人に引き下げた。この県の方針もあって、北本市では「30人と35人でどう違うのか」「財政が逼迫している」などの反対意見があがり、2004年度からの30人学級の実施は困難となった。
 公立小中高の学級編成は40人が基準だが、埼玉県は2002年4月から、小学校1〜2年と中学校1年については、その学校においてその学年が3学級以上ある場合に限って、38人を基準にして少人数学級を実施。今回、県はさらに運用を緩和して、2004年度から学級数とかかわりなく、小1で35人、小2と中1で38人とした。

 埼玉・志木市では3月16日、第4回構造改革特区で申請した「ハタザクラプラン教育特区」が認定された。市費で教職員任用ができ、県の同意と合わせて、4月から小学3年生の少人数学級に、市費負担の教職員を担任として充てるというもの。市は2002年4月から、小学1〜2年生を対象に25人程度の少人数学級を実施していたが、市費で採用できるのは音楽などの専科教員のみで、県費配当教員以外を担任に配置することができなかった。
 県内では、埼玉・行田市も4月から、「浮き城のまち人づくり教育特区」により小学校1〜2年生と中1に市費の担任を充てる見込み。

 少人数学級を導入する動きは全国的に広がっている。文科省によると3月13日、公立小中学校で少人数学級を導入する都道府県が、2003年度の30道府県から2004年度は13県増えて43道府県に拡大する見通しであることが分かった。少人数学級を実施しないのは、東京、岐阜、香川、佐賀の4都県のみとなる。教員給与の半額を国が負担する「加配教員」の対象は少人数指導などに限られていたが、三位一体改革の補助金見直しで、都道府県の判断で少人数学級にも適用できるよう弾力化されたため、少人数学級の導入が促進した模様。

 山口県は、2004年度から、県内の公立中学校の1年で既に採用している35人学級制を2〜3年に拡大する。全校・全学年で少人数学級を取り入れるのは、全国初となる。中学校179校のうち2〜3年に36人以上の学級がある62校が対象で、87学級増やし、新たに非常勤講師174人を採用する。人件費は、県と市町村が半分ずつ負担。県は2004年度の一般会計当初予算案に、「中2中3少人数学級化支援事業」として、1億9480万円を計上した。

 また、大阪府は2005年度の教員採用試験から、1次テスト合格者が2次で落ちた場合、翌年に限り1次を免除することを決めた。人数の多い団塊の世代の退職、少人数学級などに備えた大量採用のためで、全国最多規模の2000人程度を採用する。大阪府は2004年度の教員採用試験で、他都道府県の現職教員100人の採用枠を設けるなど、1500人程度の採用を決めている。(田中潤)


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