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合併問題がごみ問題に発展

2004/03/17

 静岡・清水町は3月15日の町議会で、町長が否定し続けてきた沼津市との1市1町での合併に応じる可能性を示した。両市町は2001年に、「2005年に法定協に移行し、2010年4月に合併する」との密約の覚書を取り交わしたが、清水町は三島市なども含めた2市3町での合併を目指し、「沼津市との単独合併はありえない」と発言。沼津市は、覚書が無視されているとしてこの発言の撤回を求め、清水町に対して町のごみ処理などの受託事務を中止する可能性について文書で通告していた。
 清水町は沼津市との合併に含みを持たせる一方で、町当局は、ごみ・し尿処理の受け入れ可能性について、職員レベルで三島市と函南町に調査に行ったことも明らかにした。

 群馬・藤岡市は3月15日、任意協への参加を呼びかけている新町に対して、同市が受け入れている新町の可燃物について「地元の賛同が得られなければ、今後は受け入れられないこともある」との考えを表明した。市は現在、鬼石町、吉井町と任意協を設置しており、5月に法定協への移行を目指している。新町は玉村町との合併を目指しているが、高岡地域任意協(高崎市、群馬町、吉井町、倉渕村)にも参加している。
 藤岡市と新町は2002年12月に、ごみ焼却処理業務に関する契約を締結。市清掃センターで町からのごみを受け入れており、その量は2003年2月から1月までで3900トンに上る。契約は単年度で結ばれており、3月末が更新期となっている。

 このような合併問題により、自治体間のごみ焼却処理業務を打ち切ろうとする例はほかにもある。

 広島・宮島町は4月から、大野町が宮島町分のごみ処理費を2004年度予算案に計上しなかったために、ごみ処理ができなくなる可能性が出てきた。このようなごみ問題が浮上したきっかけは合併問題からで、宮島町では合併相手として広島市派と廿日市市・大野町派が対立しており、議論が進まないという状況になっていた。
 宮島町では2003年8月の町長選で、広島市との合併推進を掲げる町長が誕生したため、廿日市市・大野町との任意協には参加せず、2003年11月には広島市と研究会を設置した。宮島町は2002年度から、大野町にごみ処理を依頼してきたが、大野町は2003年秋に、「合併しないが、ごみは頼むでは通らない」としてごみの受け入れを2004年3月までと通告。1月に1年間だけ継続することで合意したが、2003年度より700万円高い1億2000万円の処理費がネックとなり、大野町は2月、予算計上を見送った。
 また、宮島町は深刻な財政難に陥って、県から行財政運営について、地方自治法に基づき財政運営を適正化するように勧告も受けている。経常収支比率は2002年度普通会計決算で全国最悪の136.5%で、宮島競艇の配分金などを財源に頼って財政運営を進めてきたため、2000年度から配当金がゼロとなり、問題が一気に表面化。2003年度は、公営事業会計の水族館事業会計の建設改良積立金から5億円を借り入れ、2004年度は7億円を借り入れる。町は自主再建を断念しており、合併推進路線に転じていたが、その結果、ごみ問題が浮上した。

 静岡・島田市は2003年12月、川根町に対して2003年度でごみの引き受け契約を打ち切ると伝えたが、2月に話し合いを行い、解決に向けて歩み寄ることとなった。当初、市幹部は、川根町が島田市・金谷町との合併協から離脱したことへの「報復」であることを認めていた。(田中潤)