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三位一体改革で地方自治体の予算編成が危機に

2004/03/04

 北海道・小樽市では3月2日の市議会で、麻生総務相が国会において2004年度予算案で事実上の赤字予算を組んだ同市に対して「首長の資質が問われる」などと答弁したことを受けて、山田市長は「それなら、麻生総務相は大臣の資質があるのか」とやり返し、議場からは拍手が沸いた。
 同市は2月13日、2004年度一般会計予算案を発表したが、19億1000万円の歳入不足を収入の見込みのない「カラ財源」として雑入の費目に計上する赤字予算となった。赤字分は2004年度決算時に2005年度予算から繰り上げて充てる方針。三位一体改革による交付税や臨時財政対策債の歳入、景気低迷による市税収入などの減少が予想以上に大きかったのが原因。

 三位一体改革の影響で、「カラ財源」で予算を編成している自治体はほかにもある。

 沖縄・平良市は2月2日、2004年度予算編成で、歳出が歳入を超えた赤字計上の一次内示を行った。歳入151億9000万円に対し、歳出は6億7100万円多い158億6000万円を計上。予算編成の段階での赤字は全国的にも極めて異例のこと。だが、県からは2005年度予算分で不足分を補うことは、地方自治法の予算単年度主義に違反するとして異例の指導を受けて、10日に歳入と歳出額の帳尻を合わせた予算に再編成した。それでも、歳出額に見合うよう膨らませた歳入は「カラ財源」で、一次内示で6億7000万円の歳入不足となっていた歳出額のうち、予備費を中心に1億円を抑制したが、残りの歳入不足は赤字決算に先送りされた格好。
 また、同市は2月5日、同じように2004年度の予算編成に苦慮している石垣市とともに、県に対して共同で財政支援を求めていく方針を固めた。

 沖縄・伊良部町は3月2日、2004年度予算案を最終内示したが、歳入不足を埋めきれず、歳出額に見合うように「カラ財源」で歳入を膨らませて、予算編成にこぎつけた。地方交付税、臨時財政対策債の減少で3億3900万円が不足。歳出を抑制するため、職員給与の削減や、臨時職員44人の全員解雇などにも踏み切った。

 青森・三厩村は3月3日、「カラ財源」1億2860万円を計上した2004年度一般会計当初予算案を3月定例会で提出するが、民間企業の倒産に当たる「財政再建団体」に転落する可能性が出てきたことを明らかにした。2003年度決算見込みで累積赤字が1億4780万円あり、2004年度当初予算案の「カラ財源」を加えると、2億7640万円に累積赤字が拡大。2004年度決算時で標準財政規模に占める赤字比率が25.1%となり、「財政再建団体」転落ラインの20%を超える。転落回避のためには、2004年度内に6400万円の歳出削減か歳入確保が必要で、村有地の売却で3730万円を見込んでおり、残り2600万円の歳出削減を果たせないと「財政再建団体」に転落することとなる。

 総務省は赤字予算編成を「違法」と指摘、このような「カラ財源」についても「望ましくない」との見解だが、「どうしても歳入不足になる市町村とは個別に相談し、支援する」としている。(田中潤)