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福井県が全国に先駆けて国民保護計画策定に着手

2004/03/04

 福井県は2月20日の知事記者会見で、全国に先駆け国民保護計画の策定に着手するため、2004年度当初予算案に「県民保護計画策定事業」として2318万円を計上したことを明らかにした。2004年度末までに同計画と住民避難マニュアルをまとめる。2004年度中に国が国民保護基本指針をまとめ、それに基づき2005年度以降に、自治体などが国民保護計画を策定する予定となっているが、福井県の場合、拉致問題や不審船の接近、原発の集中立地など独自の事情があり、国のモデルが示される前に準備を進めることとなった。

 国民保護法制に関するほかの自治体の取り組みについては、鳥取県が2003年7月に有事を想定した住民避難の独自マニュアルを作成。国民保護法制が整備されるまでの「空白期間」をカバーするもので、有事の際に県は対策本部を設置し、住民の避難誘導の主体となる市町村を支援するほか、警察や自衛隊など関係機関の役割を明記した。
 同県は2003年11月には、自衛隊の指導、助言を得て、2004年度中に県内39市町村個別の住民避難マニュアルを作成する方針を決めた。消防庁は2005年度に市町村版の避難マニュアルのモデル案を示す方針だが、県は国より先行的に独自のマニュアル作成に取り組む。

 岐阜県は2003年11月、有事の際の避難・誘導について、県や市町村、指定公共機関の役割などを定めた「県民保護対策の手引き」を発表。テロなどで国家の中枢機能がマヒした際、知事が住民保護のために自衛隊を指揮・命令できるような法整備が必要との見解を示した。

 埼玉県は1月から、国民保護法制定準備室を設置した。消防庁のアンケートによると、東京都と高知県が国民保護計画の作成などにあたる部署をすでに設置しており、埼玉県を含む44道府県が2004年度中の新設などを検討中と回答。長野県は「既存の組織で対応する」とのこと。(田中潤)