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市町村合併でマンモス議会 続々誕生

2004/03/02

 山梨・南アルプス市では2月27日、議員在任期間の短縮を検討している市議会の「合併特例議員任期と議員定数検討特別委員会」で、在任特例で2005年2月末まで延ばした議員の任期を9月定例会の最終日までとし、自主解散することを決めた。同市は合併前の旧6町村合併協で、合併特例法の議員在任特例を1年11ヵ月間適用することを決め、旧町村議員(当時95人、現在93人)がそのまま市議となっていた。自主解散する場合は、4分の3以上の議員が出席し、5分の4以上の同意が必要。「合併特例議員任期と議員定数検討特別委員会」には87市議が参加しているので、自主解散はほぼ確実となる。総務省によれば、「自主的な解散は聞いたことがない」とのこと。

 在任特例などにより議員の任期を延ばすのは、行政の効率化を目指す合併の理念に逆行しているとの批判もあるが、在任特例を適用してマンモス議会となる自治体も多い。

 青森・八戸市、田子町、名川町、南部町、階上町、福地村、南郷村、新郷村の八戸地域合併協は2003年9月、合併予定の2005年1月から八戸市議が改選される2007年5月までの2年4ヵ月は町村議の身分を失わない在任特例の適用を決めた。人口規模に基づく地方自治法の法定数が38人なのに対して議員数は146人となる。それでも、現行の議員報酬について、市議が町村議の2.6倍となっており、市議と町村議の報酬を統一するという意見や、「1市2制度」とする意見もあり、意見集約されていない。

 秋田・大曲市、神岡町、西仙北町、中仙町、協和町、太田町、南外村、仙北町の大曲仙北合併協は2月、議員の在任特例の適用を決めた。法定数が30人のところを、146人がそのまま最長で1年間は議員として就任する。在任特例の期間については、「合併後1年以内」となっているが、具体的にどれだけの期間にするかは、現在のところは未定となっている。

 佐賀・武雄市、山内町、嬉野町、塩田町の県西部合併協は2月、2005年3月の新市誕生から1年2ヵ月を限度として、議員76人全員が議員のままとなる在任特例を適用することを決めた。その後の2006年4月実施予定の議員選挙では、定数30人以内で実施することも決めた。

 沖縄・具志川市・石川市・勝連町・与那城町の合併協は2月、2005年3月末の合併後も2006年10月までは、議員87人が引き続き議員に就任する在任特例の適用を決めた。その後の定数は34人とする。

 在任特例の採用を協議中の自治体もある。

 青森・弘前市、黒石市、岩木町、藤崎町、大鰐町、尾上町、平賀町、相馬村、西目屋村、常盤村、田舎館村、碇ヶ関村の津軽南地域合併協は2月、在任特例、定数特例を適用した場合の試算を明らかにした。現在の12市町村の議会議員の報酬、手当の総額は9億2000万円。議員報酬を最も高い弘前市議に統一すると、法定定数で3億9000万円、定数特例で7億8000万円、在任特例で17億円と、現在の報酬、手当総額に比べて年間7億8000万円の支出増となることが分かった。なお、法定数は46人で、定数特例を適用した場合は4年間に限り92人、在任特例を適用した場合、2年以内は201人のままにすることができる。

 山形市、上山市、山辺町、中山町の合併協は2月、議員定数について協議したが、議席数47の定数特例を主張する山形市と、議員92人全員が新市議員となる在任特例を唱える上山、山辺、中山3市町の意見が対立。山形市と編入される3市町の間に、大きな溝が生じていることが明らかになった。

 そんななかで、在任特例を適用しないことを決めた自治体もある。

 静岡・磐田市、豊田町、竜洋町、福田町、豊岡村の磐南5市町村合併協は2月、新市の議員定数について、定数・在任の各特例を適用せず、定数を34人とする方針を決めた。5市町村の現議員数は86人で、一気に34人にまで削減する。

 鹿児島・東市来町、伊集院町、日吉町、吹上町、金峰町の日置合併協は2月、在任特例も定数特例も適用せず、定数を30人とすることを決めた。5町の町議90人(定数92)は合併前日に失職する。

 なお、2003年4月に発足した香川・東かがわ市は、在任特例を適用し、議員42人が2年間任期を延期してそのまま市議になった。だが、住民側から反発の声があがり、10月に住民投票を実施して、議会を解散に追い込み、定数を24に大幅削減した。(田中潤)


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