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構造改革特区、第4回認定申請受付は102件

2004/02/05

 政府は1月30日、構造改革特区の第4回認定申請受付の結果を公表した。計画申請数は全102件、そのうち95件が新規申請で、7件が変更申請。3月末までに特区認定の可否を決める。なお、島根県の6市町村が申請したことで、「申請空白県」はゼロとなった。以下、各地方紙に掲載されたものの一部を紹介する。

【教育関係】
■三重・阿児町「伊勢志摩インターネット高校特区」
 株式会社が通信制高校を町内に開設して、インターネットを通じて授業を行うというもの。情報環境を生かし地域振興を図るのが狙い。

■秋田県「スペース・イオ学習特区」
 不登校の小中学生がITなどを活用して行った学習を出席扱いとできるというもの。通信指導も出席扱いで、メールやファクスを使った自宅学習も出席扱いとなる。

■兵庫・尼崎市「計算教育特区」
 小学校2〜6年生を対象に新科目である「計算科」を新設するというもの。数の仕組みやそろばんの計算方法を理解する「学ぶ場」と、そろばんに習熟する「試す場」の2形態を取り入れる。2年生は年10時間、3〜6年生は50時間を予定。地域のそろばん習得者を非常勤職員として配置する。

■奈良・生駒市「情報教育推進特区」
 小学校の授業に「情報」を新設するというもので、パソコン教育などをカリキュラムに組み入れる。小学校低学年は、国語授業のうち年間35時間程度を「情報」にあてる。中、高学年は総合学習授業のうち35時間をあてる。

■愛知県「あいち・知と技の探究教育特区」
 高校の生徒が大学や企業で自由に学べるようにするというもの。学校外での学習について、認定単位数を拡大する。大学レベルの教育や企業でのモノづくりの現場を学ぶことで、独創的な人材を育てる狙い。

■金沢市「「世界都市金沢」小中一貫英語教育特区」
 小中一貫で英語教育を可能にするというもの。小学校3年生以上で「英語科」を週1時間新設し、中学校で英語授業を現行の週3時間から4時間に拡大。また、小6以上から1学年上の教科書を前倒しで取り入れ、中3の7月で教科書の学習範囲をすべて習得、残った期間に副読本を活用してふるさとを英語で発表できる力を養成する。小学校の英語科は通知簿での評価対象とする。授業以外でも15分程度のショートタイムによる指導を週1回以上導入する。

■奈良市「「世界遺産に学び、ともに歩むまち―なら」小中一貫教育特区」
 義務教育の9年間を4・3・2年制の前・中・後期に再編するというもの。新教科に、1年生から「英会話科」、3年生から「情報科」、5年生から「郷土『なら』科」を導入する。5年生以上の中期課程からは中学校教科書も使用でき、市独自の副読本も用意するとのこと。

■群馬・太田市「定住化に向けた外国人児童生徒の教育特区」
 ブラジル人の小中学生を地区ごとの拠点校に集め、母国語の教師らが指導にあたるというもの。日本語とポルトガル語のきめ細かなバイリンガル授業を実施する。

【農業関係】
■長崎市「長崎いきいき農業特区」
 株式会社などが農業に参入することを可能にするというもの。遊休農地の拡大防止と解消を図る。

■愛知県、豊田市「農ライフ創生特区」
 農地の貸し借りをできる農業者の保有農地下限面積を現行の40アールから10アールに引き下げたり、自治体や農協以外に農家やNPOなどが市民農園を開設できるようにするというもの。遊休農地を企業の定年退職者らの力を活用して再生する。

■岩手・雫石町「しずくいし・元気な農業・農村いきいき特区」
 農地取得や貸し付け要件を緩和したり、遊休地に市民農園を開設するというもの。そのほか、農家が民宿を開業しやすくするために簡易な消防設備で開業を容認することや、自家製濁り酒「どぶろく」を提供することを求めている。

■鹿児島・西之表市「さつまいも地域資源再生特区」
 農地を農業生産法人以外に貸し付けできるように農地法の特例を適用して、市が借り受けた遊休農地を、菓子用のサツマイモなどを栽培する企業に貸し付けるというもの。

■福井県「福井型エコ・グリーンツーリズム推進特区」
 民宿に義務づけられている消防設備の設置要件を緩和したり、市町村やJA以外の農業生産法人も市民農園開設をできるようにするというもの。当初は、今立町、上中町との提案事業として、それぞれ「いまだて手わざ・農業体験特区」、「かみなか農村交流特区」として申請したが、特区推進室と協議し、2つの特区を合わせて「福井型エコ・グリーンツーリズム推進特区」として、県が提案する広域的な計画とした。

【都市再生関係】
■和歌山県「和歌山元気まちおこし特区」
 大型店出店の際に、届け出後、認められるまでに8ヵ月かかるのを、手続きの簡素化で最短1ヵ月に短縮するというもの。中心市街地の活性化を目指す。

■熊本・水俣市「水俣環境・リサイクル産業特区」
 土地開発公社の所有する造成地について、現行では売買が前提となっているのを、賃貸可能にするというもの。立地を希望する企業の初期投資軽減を図る。

■仙台市「杜の都新エネルギー創造活用特区」
 資本関係など密接な結びつきのない複数事業者間の電気供給を認めない電気事業法の規制を緩和して、複数事業者が共同で太陽光発電などによる電力利用を行うというもの。事業所が連携してエネルギー消費効率化を図る。

■広島県「広島国際物流・交流特区」
 税関の執務時間外に通関手続きをする際、業者の手数料負担を半額にするというもの。通関がスムーズになり、地場産業の国際競争力強化や企業誘致が進めるのが狙い。

■広島・沼隈町「みろくの里スローライフ特区」
 外国人研究者の在留期間を3年から5年に延長するというもの。漢方の研究を進めるため、中国人医師らの受け入れ態勢を整えるのが狙い。

■静岡県「しずおか景観形成促進特区」
 急増しているプラスチック製などの張り札や立て看板、のぼり旗など、現行の屋外広告物法では不可能な違反広告物を除去できるようにするというもの。また、除去するまでに1ヵ月必要とされているのを、即時撤去できるようにする。熱海市と三島市などの一部地域で実施する。

【医療福祉関係】
■兵庫・香住町「障害者福祉サービス特区」
 高齢者のデイサービスに用いる施設を知的障害者も使えるようにするというもの。町にとっては新たな投資の必要がなく、障害者にとっても自宅に近い施設が利用できるという利点がある。

■福井県「ふくい幼稚園入園年齢緩和特区」
 幼稚園の入園時期を満3歳になる年度当初にするというもの。現行よりも最大11ヵ月の前倒し入園が可能となる。

■岩手・江刺市「幼保一体化特区」
 幼稚園における幼稚園児および保育所児等の合同活動事業と、保育所における保育所児および幼稚園児の合同活動事業を可能にするというもの。教育・保育の理想的な融合を図り、保護者の多様なニーズに応える。